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ブランドは「世界観」と「価値観」から出来ている

KHOの木口です。この記事をお読みの皆さんは「ブランド」「ブランディング」という言葉に対してイメージされるのは、どのようなことでしょうか?


ブランドは「らしさの認識」、ブランディングは「接点のコントロール」

これまで様々なお客様とブランディングのプロジェクトをご一緒すると、「ブランド」や「ブランディング」という言葉に対するイメージに、ばらつきがあることに気が付きます。よく聞かれるのは、ブランド=ファッションに限定してしまっていることや、ブランディング=広告展開という誤解です。

KHOでは、ブランドを「触れた時に五感(特に視覚)を通じて頭に浮かんだイメージそのもの、らしさの認識」と定義しています。そして、ブランディングを「社会との接点のうち、マネジメント・コントロールできる接点を、徹底的にマネジメント・コントロールすること」と定義しています。

ブランドらしさは「価値観」と「世界観」に因数分解できる

特定のブランドに触れると、さまざまなことが思い浮かびます。商品やサービス、CM、パッケージ、店舗の外装だったり、そこで働く人の姿、親切にしてもらった場合はその体験を思い出す人もいるでしょう。反対に残念だった経験を思い出す人もいるでしょう。そういった頭の中に連鎖的に思い浮かび、総合的に「〜らしいね」と言い換えられることをブランドと定義しています。ブランドイメージと似た内容ですが、昨今はブランドイメージとイメージ以外の物体・実態の部分の境界が曖昧になっているため、イメージもブランドそのものとして定義しています。そして、「らしさ」というのは非常に抽象的なものです。ブランドやブランディングは、具体的な戦略が求められます。KHOでは、「らしさ」は「価値観」と「世界観」に因数分解できるとお伝えしています。

価値観は、「何を大切にするか、物事についての考え方」を指します。善と悪、好ましいこと、好ましくないことに分けられます。ここはあくまでも、自分達が特定の物事に対してどう考えるかという点が大事です。社会的な情勢は汲むべき必要がありますが、それよりも自分達の行動や考察を振り返ることが基本です。

世界観は、「価値観から生まれるその組織特有の雰囲気」を指します(本来の意味異なるのですが、KHOではこう定義しています)。第三者から見た時にどう思われたいか?という議論になりますので、第三者の視点で考える必要があります。


ブランドは「価値観」と「世界観」で出来ている

ブランディングは社会との接点をマネジメント・コントロールすること

ブランディングはブランド化するための行動のことを指します。まず最初に、そのブランドと社会の接点を考えます。業態問わず、おおよそ以下の接点が考えられます。

  • サービス・商品

  • 店舗・オフィス・看板

  • 従業員・ユニフォーム

  • 名刺・封筒や紙袋などのオリジナルグッズ

  • ウェブサイト・SNS

  • 広告

  • 各種営業活動(お取引、コラボレーションなど)

  • 報道

  • 口コミ・レビュー

ブランディングとは上記のうち、「自分達でコントロールし、マネジメントできる」接点をきちんと管理し、コントロールすることです。社会の目に触れるすべての表現に責任を持って、価値観をもとにした明確な説明が求められます。この場面では、「なんとなく」という言葉は禁句です。

そして、どの接点においても「名前」と「ロゴ」は、ほぼ必ず出現します。口コミやレビュー、報道においても同様です。雑誌やテレビで特定の会社のニュースが流れる際は、その会社の看板やロゴを映していることがほとんどです。しかしそれは、看板という「自分達でコントロールできる部分」を第三者が映しているわけです。第三者による商品レビューでも、パッケージや商品の写真を掲載していることも多く見かけます。まさしく会社の顔として機能するので「名前とロゴは適当でいいよね」という考えは本当に避けるべきです。自分達の価値観を反映させた名前・ロゴを検討する必要があります。


起業の時点でブランド・ブランディングの視点を

起業家育成のプロジェクトにも参加をしています。講演でお話しするのは、「独立・起業したいと思ったその時から、ブランドやブランディングの視点を持ってほしい」ということです。順調に業績が伸び、規模が大きくなればなるほど、接点は増加します。そこからブランディングを考えると、何かとしがらみも増え、接点は思った以上に増えているため膨大な作業が発生することになります。最初からブランディングの視点・思考で世の中に表現を重ねていくことで、ブランド価値を最小限の労力で積み重ねることができます。


巨大なブランドも、緻密な作業を積み重ねた結果

実際にブランディングのプロジェクトを行うと「私たちはナイキではないのでブランド作りは無理です」といった自虐的な感想をいただくことがあります。もちろん、ナイキではない会社がナイキを目指すことは間違っています。しかしながら、アップル、トヨタ、SONYといった世界の誰もが知るブランドも、いきなり巨大で強力なブランドになったわけではありません。常に価値観をアップデートし、社会の接点をきちんとマネジメント・コントロールすることで世界観を作り込んでいき、ブランドの価値を徐々に上げていっただけに過ぎないのです。


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