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#12 インスタントフィクション解釈

インスタントフィクションと記事の説明

インスタントフィクションというのは
その名の通り気楽に即興劇のように書かれた
詩と小説の間のような物語。

非常に断片的な短い文章で伝えられるため
その物語には空白が多く存在し
読み手の経験や知識によって
物語の見え方が大きく異なるものであり

その解釈の揺れを楽しみながら
自分なりに感じた物語を書いていきます。

記事の前提として必要な私なりの見方です。

#1で又吉さんがちゃんと説明しているので
気になる方はそちらの定義をご覧ください。

■題材

なんで#12からかというと
#12のリンクで勧められたからです。笑

それ以上の意味はありません。

■解釈

又吉の説明している解釈が
私の持ったものとは大きく異なっていたので
本当に人によってこんなに間違うものなんだな
と感じました。

又吉の解釈は動画をご覧ください。

この物語の登場人物は2人。
「彼女」と「私」です。


背景にある2人の関係性

「彼女」はかつて「私」の教え子であった。

「私」は国語の教師であり
少し影がどこか大人びている「彼女」と
部活で賑やかな声が聞こえる放課後の図書館で
一緒になることが数回あった。

彼女は図書室でいつもある本を読んでいた。
300ページほどある恋愛小説である。

その小説について一言二言
言葉を交わしたことがある。
2人の間には何もなかったが
その時間がとても特別なものに感じられた。


デートを重ねる2人の関係性

2人は夫婦ではなかった。

卒業後の再会、「私」には妻がいた。

「彼女」の純粋な愛に触れれば触れるほど
「私」はこの関係の後ろめたさを感じた。
それを取り払うように茶化した笑顔で
「彼女」はまた「私」を愛した。


病床での会話

「彼女」はずっと「私」の
後ろめたさに気がついていた。

気がついていて知らないふりをした。

ただそばにいたかった。

「私」がいい人生だったと言った時に
それが「私」の優しさであるとわかり
はじめて「彼女」から別れようと言った。

「私」はというと。

「私」が最後に言った「別れよう」
これが「私」がはじめて
「彼女」についた嘘だった。


複雑な関係の中で
複雑な思いをお互いに抱える中で
2人はいつも言葉数少なく
踏み込めるラインの中で想像するお互いの気持ちは少しすれ違っていた。

それでも本心を告げない
そんな曖昧なまま永遠の別れを遂げることを
「私」は良しとした。

「嘘」はその発言のことだったかもしれないし
2人の関係そのものだったのかもしれない

そんな煮え切らない物語が
私の解釈。

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