2021年 ②家庭支援の10年計画

園の経営を始めてもうすぐ15年目になります。喜びややりがいが沢山あると同時に、一つだけ戸惑いも持ちながらここまで来ました。

いまの社会の現状、こんなにも長時間預かることが常態化、常識化していることを見守り続けていいのかな…と。大人の感覚からすれば一日の時間なんて朝から夕方まであっという間なのですが、子どもの感覚からはかなりの長い時間だからです。(学童を含めて)

昨年はコロナ禍で一斉休校・休園が全国であり、ステイホーム期間がありました。緊急事態宣言が解除されて学校が再開後、私は、保育園の状況も少しずつ日常に戻ってくるのかなと思いましたが予測とは逆で、6月1日の初日から多くの(認可)保育園でほぼ100%戻り、保育時間もこれまで同様にすぐに長時間に戻ったという話を伺いました。(とても驚きました)

しかし、きっと家庭での保育は辛かったのでしょう。予想以上に本当に大変だったのでしょう。私の周囲ではステイホームをしていた園児や家族は、むしろ掛け替えのない充実した時間を過ごしたという方も多かったのですが、社会全体ではごく一部で、多くの家庭は「孤育て」に近いものを感じられたのかもしれません。

話は変わりますが、私は20年以上前、携帯電話普及の初期にまだ多くの方が3G(いまは5G)やBluetooth という言葉を知らなかった時、一部の欧米企業と業界メディアとで普及を企てました。”20年後は夢のテクノロジーによって、人間の生活が凄く豊かになる”と。

今、それから20年以上にたって実際にITが進化している社会環境になりましたが、私たちの幸福感は増したでしょうか?確かに動画は見放題になりましたし、Zoomで会議も飲み会もいつでもできます。テレワークもコロナ禍で一気に進みましたが、家庭が子育ての時間にあてがえる余白まではないように思います。

結局、テクノロジーの進化はどこまでいっても生活や楽しみの「方法」を変えるだけで、人の幸福感まで変えることはできないということが実感したことでもありました。

話を戻します。「保育園」や「学童保育」は現代においてなくてはならないインフラだと思います。私の園も、これからも位置づけとしては「保育園」として、家庭と一緒にする子育てを大切に進化させていきたいと考えております。

同時に、幼少期だけでも社会全体的にもう少し子どもが家族のそばにいられる時間を、家庭に負担や苦痛にならない形で増やすにはどんな支援や応援をすればよいかも様々な関係者と考え、実行に移したいと思っています。

家庭での子育てにおいては「こうあるべき」をあまり真剣に考えすぎず、親自身が「楽しい」と感じることをいつでも出発点に。何ごとも楽しめなければ続かないですよね。今年はそのための支援も、社員と賛同してくれる業界の仲間たちと一緒に、新しい10年計画を作っていきたいと考えています。

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『世界基準の幼稚園~6歳までにリーダーシップは磨かれる(光文社)』



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