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野生なら有効

財布を忘れたかと思った。

かと思った、ぐらいで助かった。昼食を食べてお会計をしようとカバンを漁ったが、財布が見つからなかったのだ。実際はよく探したら奥の方にちゃんとあった。

忘れちゃいけない物を忘れた!と思った瞬間の血がグワッと下に下がるような感じは、なかなか別で再現できるものではない。心臓がぐおっとなるし、体温もめちゃめちゃになる感覚がする。

私は人よりも忘れ物が多い上に、物を決まった場所に置くことができないしそそっかしいので勘違いをする機会も多く、しょっちゅう血の気が引いている。老いて死ぬまでに心臓の打つ回数がどの生物も同じだというのなら、早死にするかもしれん。

こういうとき、精神と肉体の連動って速いな!と思う。忘れ物に気づいたときに、驚きとか、混乱とか、どうしようどこに置いたっけいやお会計どうしよう、みたいなことを考えるよりも速く、身体の方が緊急事態の状態になる。なったとてどうしようもない、というかなった方が困るのに。

我々がサバンナに生きていれば、確かに緊急時には心拍数を上げて身体を活発にした方が良かっただろう。その方がライオンから逃げられる確率が上がるだろう。だが、我々はサバンナに生きてはいない。

数年前に、その連動がバグって医者に通ったことがある。面接をして、いやぁ緊張したわぁ~と思いつつ帰ったのだが、なぜかその緊張の状態がいつまでも終わらなかったのだ。家で風呂に入っていても、寝転んでTwitterを眺めていても、心臓がハッスルしようとする。100メートル走後の呼吸になる。

こいつぁやっべぇぞ、と思ったので即心療内科へGOした。まぁつまりは人間がやべぇときにだけつながる回路が常時つながりっぱになっている状態になったというわけで、そういう回路をブチ切るクスリ(βブロッカーです)などをもらって復活しました。

バグるとなおのこと感じるのだが、肉体と精神、鶏と卵並にどっちが起点なのかがわからない。人間、雑ですね。やっぱりそこまで信用するもんじゃないのかもしれません。肉体や精神などというものは。ポンコツであることを前提に生きた方が良い。吟味したほうがいい。その怒りは空腹由来ではないかどうかとか。


今日はここまで。ありがとうございました。


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