ピカピカのりんご
リンゴのおいしい季節がやってきますね。
それでは本日はリンゴの思い出話に一席お付き合いください。
小学校の頃、学校で全校児童に1つずつリンゴが配られたことがあった。
その頃、私の地元では大きな地震があって、我々はいわゆる「被災児童」になった。確か青森だったか、リンゴの産地の農家さんが支援物資としてそのあたりの小学生たちみんなにリンゴを送ってくれたのだ。
ランドセルには入らないので、みんな手に1つずつリンゴを持って帰った。
小学生にとって、剥かれても切られてもいないリンゴを丸ごと1つ手にする機会はそれほど多くない。絶対に家に帰るまでかじるなと言われていたものの、みんなかじるふりをしたり、お手玉みたいに弾ませたりしてうかれていた。
リンゴを丸かじりするシーンは、ディズニーやなんかの欧米のアニメでよく出てくる。そういう描写ではたいてい、かじる前に、肩のあたりなんかでリンゴをちょいちょいと擦っている。なんだかカッコいい。
それを真似したやつがいた。知らない人は一度やってみてほしいのだが、リンゴというのは布などで擦るとツルツルピカピカに光る。これは大発見だった。
「すごい」「すごい」とみんなが服の袖や裾でリンゴを磨きだした。私も磨いた。全体を丁寧に磨き上げ、ピカピカになったリンゴを掲げて、みんなにこにこと家に帰った。
……これは当たり前のことなのだが、拭くと汚れは布のほうにうつる。ついでにリンゴの表面が光るのはリンゴ自体に天然のワックスみたいな物質がついているから。要するに油だ。
服の袖や裾やらズボンの腿やらは、リンゴの汚れと油でテッカテカになっていた。しっかり怒られたことは言うまでもない。
誰からだったか全然覚えてないけれど、送ってくださったリンゴ農家さんありがとう。みんなきちんとアラサーになりました。
今日はここまで。ありがとうございました。
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