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膝の腱の痛み(Tendonitis/ -inosis/ -inopathy)の違い

今回は膝の腱の痛みの名称について解説します。

実際にジャンパーズニーについて英語で論文などを検索すると3つほどとても似たような名前が出てくると思います。(Tendonitis, Tendinosis, and Tendinopathy)

しかし、その違いがよく分からず、論文を読んでいてもこれは本当に今自分が持っている怪我についての話なのか?と疑問に思いながら読み続けることになるかもしれません。(実際に自分がそうでした。)

また、各名称の違いを理解しないまま情報を入れてもその情報を適切に適応できないと思います。

今回の記事で各名称の違いを理解し、適切な用語をGoogleなりGoogle scholarなりに打ち込んで欲しい情報を手に入れてくれれば幸いです。

✅Tendonitis (”急性”炎症) 

この用語は主に
小さい/軽い腱断裂による腱の”急性”炎症時
に用いられます。

● 一般的な症状
・局所的な痛み
・腫れ
・皮膚表面の暖かくなる

原因
・急性の怪我
・腱へ繰り返しの外傷

● 回復/リハビリ期間
・数週間

治療法
・怪我をした関節への負荷を一定数下げる
・薬を使う(ibuprofen (e.g. Motrin, Advil), or naproxen (e.g. Aleve, Naprosyn))
・アイシング
・ギブスを使う


✅Tendinosis (慢性的)

この用語は
一般的なジャンパーズニー
に用いられると思います。

具体的には
適切な回復を行うより前に多くの負荷を与え続けた結果の怪我です。
回復<繰り返しの負荷

● 一般的な症状
・変性
・腱の構造や組成の変化

原因
・十分な回復をする前に腱に過度な負荷を繰り返しかける。
・高強度の運動、スポーツ
・腱の繰り返しの運動/活動

● 回復/リハビリ期間
・数ヶ月

● 治療法
・理学療法
・運動
・手術

 やってはいけない治療法
・NSAIDs or corticosteroidsを使う
(これらの薬は腱の正常な再構築を抑制し、腱の構造を弱め、長期的にマイナス面が多いため。)


✅Tendinopathy (全部)

この用語は
腱に関わるいかなる問題
治癒しない慢性的な腱の状態

を指します。

つまり
腱を怪我したが具体的に診断が出来ていない場合に使うような感じです。

● 一般的な症状、原因、 回復/リハビリ期間、治療法
・基本的には上記2つのまとめ


✅ TendonitisとTendinosisの違いを比較(まとめ)

①-Tendonitis
②-Tendinosis

急性時の回復時間
① : 2-3日
② : 2-3ヶ月

慢性時の回復時間
① : 4-6週間
② : 3-6ヶ月

非外科的治療による長期的展望
① : 約99%完全回復
② : 約80%完全回復

治療目標
① : 炎症軽減
② : コラーゲンや他のタンパク質の形成を促進

手術後の長期的な展望
① : 約95%が完全回復
② : 約70-85%が完全回復

手術後の回復期間
① : 3-4週間
② : 4-6ヶ月


次回、論文やGoogleで検索する際に今回の記事が役立てば幸いです。

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