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アジアで働く理由の半分:『リオリエント〔アジア時代のグローバル・エコノミー〕』

社会人生活10数年のほとんどをアジアで過ごしている理由の半分と言っても言い過ぎではないように思います。

この本を読めば、ビジネスで10年以上に渡って叫ばれている「アジアの時代」というバズワードが、2000年の深みを持った歴史的事実の結果としての主張であることがストンと腹に落ちるのです。

大学時代、ウォーラーステイン「近代世界システム」を学んだ延長で手に取ったこの本は、歴史研究の面白さとともに、静的で、時代や地域ごとに独立して存在しているかのように錯覚していた世界史を、一挙に繋がりあい、ひしめきあい、変化しあう動的な見方へと導いてくれました。

歴史の研究ってすごいなぁ、自分の世界観って思い込みの固まりだなぁ、とゾクゾクしながら読んだ記憶が残っています。日本で読んで、留学先でのプレゼンのテーマにも選んだ思い出の書。評価が賛否あるところもまたいいですね。

さて、2011年の末に東京からシンガポールに移り、2015年にようやく念願のヤンゴンに辿り着きました。もう10年に渡ってアジアで暮らしているのですが、『リオリエント』の予言は的中したと言って良いのではないでしょうか。

2010年代になり経済の重心は、かつて有史のほとんどの時代の富の中心であった中国をはじめとするアジアに移りつつあります。GAFAという言葉さえなかった時代にBATHを予言したとも言えるかもしれません。

新型コロナの影響で、ここミャンマーでも新しい産業が一気に芽吹いています。特に成長著しいのがシェアライドやフードデリバリー、そしてECです。シェアライドのトップはマレーシア生まれの王者Grabが君臨し、フードデリバリーで一気に市場をかっさらったFoodpandaは本社こそドイツですが創業者はインド人であり、成長のメイン市場はアジアです。ECの恐らくトップを走るShop.com.mmはアリババグループに買収されて急成長しています。大和証券系の大和PIパートナーズが投資するECのrgo47も、頻繁に目にするようになりました。

10年前に海外で事業をしたいと考えた際に、オセアニア、中近東、東欧、アフリカや南米と選択肢がある中で、『リオリエント』が説くアジアを選んだことは、10年後の今の状況を見る限りは正解だったなぁと、
アンドレ・グンダー・フランクに感謝しています。(ミャンマーが肌にあっただけかもしれませんね。笑)

➡︎ ミャンマーを選んだ理由は、こちらに詳しく書いています。


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