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堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

第一章 悪魔たちの円舞曲(ロンド)
169.門番

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 世界中から集まってくれた聖女と聖戦士の頑張りのお蔭で、『聖女と愉快な仲間たち』は結構簡単にボシェット城に程近い場所まで辿り着いていた。

 後もう少しと言う安心感だろうか、コユキがフラグ的な事を口にする。

「善悪! アタシ達が頑張んなきゃね! みんな変に重苦しかったし、頑張ろうね! もう目の前まで来たし、ここまで来れば、したる問題も無いでしょうしね! 」

 しかし、やっぱり様付けとか格好付けて言っていたくせに、その実コユキの本音は、イノセンス・メイデンズのおばさん達が揃って陰気なムードになった事を、強引に自分への嫌悪感に変えてしまおうと言う、若い頃からの癖になっていた『空気変換自己犠牲』のスキル行使であったのであった。

 答える善悪も同様にフラグを踏むのであった。

「そうでござるな! 当初考えていた展開より随分楽勝でござるなぁ~! まぁ、何か出てきても僕ちんが引き受けるでござるよ! コユキ殿は拙者に任せて先に進むのでござる! なに、すぐに追いつくから心配しなくて良いでござる! 何しろ僕ちん、聖魔騎士でござるゆえ~! 」

 すぐ追いつく…… え? なに? 死にたいの?
 オマイラ、アニメとか見た事無いの? 馬鹿なの?
 フラグ踏むの良い加減やめろよ!! な、私、可愛 い孫、観察者であった……
 まあ、こんだけ踏んだら、踏んでしまったのなら当然だよね、立ってしまったようだ。
 殺意と狂気を帯びた声が周辺を染め抜いたのである! まぁ、そりゃそうだろうね……

ガルルルグギャウルルルルっ!!

 当たり前の様に轟いた声は、殺意に満ち溢れていた。
 ボシェット城の城門を侵す存在を許さぬ、そんな強固な意思と殺意を帯びた、門番だろうか?
 四足歩行の動物っぽいものは、悪魔と言うより魔物っぽいフォルムをしていたのであった。

「うががががぁぁぁ! ウグアァァァァァ! 」

 まるで、ここは通さない! かみ殺してくれるわ! と告げる様に響き渡る魔獣の咆哮。
 誰もが体を強張らせるしか無かった。

 しかし、その凶悪な獰猛そうな化け物に向かって、パズスが場違いな声を上げた。

「お前、チロ? チロだよな? お前今はここの門番やっているのかい? 覚えているかい! おいらの事を! パズッちだよ! パズスだよぉぅ! 」

チロ、いや狼っぽいその悪魔は、一瞬動きを止めた後、パズスに鼻を近づけて、フンカフンカした後、大きく叫んだのであった。

「クウゥ~ン! ワフワフワフ! ククゥゥ~ンン!! 」

何やら悲しそうに聞こえるその声を耳にして、パズスは心配そうに話し掛けた。

「ど、どうしたんだ、チロ! まさか、は、話せない、のか? 」

どうやら、本来のチロちゃんはお話しする事が出来るらしい、流石さすがは悪魔と言ったところか。
 じっと見つめていたシヴァが口を開いた。

「なあ、あの首輪…… 何かの魔道具だろうか? 拘束具か? なあ、ねぇちゃん、どう思う? 」

姉ちゃんのラマシュトゥが聞かれて答えるのであった。

「うん、そうだよね、あれが…… でも魔道具とか、魔力紋とは少し違う術式みたいなのよねぇ? もう少し上の、魔王種しか組成できない高度な術式でなきゃ理解できない様な……」

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拙作をお読みいただきありがとうございました!


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