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堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

第二章 暴虐の狂詩曲(ラプソディー)
263.ニコイチ

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「そんな事より、チャント考えなくっちゃいけないでしょう? バアルの事、ってかあの子なんで自由に動き捲ってやがんのよ! 全くイミフじゃない? どうっ?」

「そうじゃった! バアルが自由に動いていると言う事は、かのルキフェルの結界を破ったと言う事じゃろう? しくはルキフェル自身が許可を出したと言う事じゃったぁ! んね、んね、どうする? ダーリン、コユキ善悪! あわわわ、アルマゲドンが始まったのじゃぁ!!!! っ! ぐぇぇぇっ、オェオェオェェェェっっ!」

 トシ子は吐いている……
 コユキと善悪は仕方ないので正直に告白する事に決めたのであった。
 だってゲロが汚くて臭かったから仕方なくである……

「あのね、お婆ちゃん、実はアタシと善悪が、その、みんなの言う『ルキフェル』なんだけどね……」

「うむ、実はそうだったのでござる、今迄黙っていて申し訳ない…… そんで、僕ちん達はバアルに徘徊許可を出していないのでござるよ」

トシ子が答えた。

「ほぉん、あ、そうなの? そんじゃあアルマゲドンじゃ無いね、ま、どうでもいいんだけど……」

 アスタロトがトシ子の吐瀉物を高熱で一瞬の内に昇華させて周囲を清潔な状態に戻したからだろう、イチャイチャを再開していやがる…… くそう!

「そ、そうなのでござる! お見合い相手の事は兎も角、僕チンとコユキ殿は二人で一つ、二人で一つ、二人で一つの一心同体の二人で一つの存在なのでござるよ! 分かるぅ?」

 コイツはコイツで大事な話と自分個人が興味MAXな話を混同させてばかりいる……
 バアルの事に集中しろよ全く。

 狂ったように二つで一つとニコイチ発言を繰り返している善悪は、何故かニヤニヤと気持ち悪い表情を浮かべ始めて楽しそうだ。
 そして、ほんの一拍、一呼吸だけ置いて善悪はトシ子に宣言したのであった。

「兎に角、僕チンとコユキ殿は一心同体、これからも一緒に歩んで行くのでござる! そう言う事でござるよぉぅ! んね? コユキちゃん?」

 コユキは堂々と胸を反らしながら、あんまり分かっていない感じで答えるのであった。

「おうよ! 善悪! これからも頼んだわよぉぉぅ! アタシの背中はアンタにしか任せられないんだからねぇ、人類のために頼むわようぅ!」

「りょ!」

「「「「「「「「「「「「「心のままに、マイ、マスター」」」」」」」」」」」」」

「ダネ、ファアァァァ、ネ、ル、ヨ!」

 アイツだけはいつも通りの様であった、眠いなら眠れば良いよオルクス君、ちょっとでも静かになるから逆に良かった良かった。

 トシ子は相変わらずベタベタしていたのだが、意外な事にアスタロトが真面目な声を出す。

「しかし、そうなるとバアルは許可も得ずに徘徊している事になるな? 長兄の施した『縛り』が破壊されたのであるとすれば…… 些かいささか面倒な事だぞ、これは」

 ここにいるメンバーの中では比較的しっかりしているコユキが問う。

「面倒な事って? 徘徊してて見つけ難くなってるバアル捜索よりも大変な事なのん?」

 アスタロトは更に深刻だった表情を一層厳しい物に変えて答えた。

「ああ、事はより重大だ…… コユキや善悪は未だ思い出してはいないようだが、バアルをヘルヘイムに縛った術式は、もう一箇所、別の場所でも邪悪な存在を縛るために使われているんだ…… 万が一そこが破られたら…… 世界は滅ぶだろう」

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拙作をお読みいただきありがとうございました!

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