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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

第三章 苦痛の葬送曲(レクイエム)
661.闖入者

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 コユキは問う。

「ええ? 誰?」

「むにゃむにゃ、んがっ! そ、そうでござるよっ! 今十七回目の真っ最中でござるのにぃ! 邪魔したのは誰ぇ、でござるよぉっ!」

「ぜ、善悪! 今って二十八回目だよぉ」

「むむ、そ、そうなの? んじゃぁ前言撤回でござるよぉ! 二十八回目の大切なフルバーストを邪魔したのは誰なのでござるかぁ! って、う、嘘でしょ…… あ、貴方は死んだ筈では…… でござるぅ」

「誰なの? 善悪?」

 ワナワナした表情を浮かべて善悪は答えるのである。

「こ、この人、みっちゃん家の叔父さん、昼夜チュウヤ叔父さんでござるよ! 死んだ筈なのでござる、何で生きてるのぉ?」

 光影ミツカゲの父と同じ姿をした闖入者ちんにゅうしゃはニヤリとしながら答える。

「あんたが善悪、そしてそこのオバサンがコユキだよね? 私はカーリー! あんた達の運命を終わらせない為に駆けつけた、んまあ、言ってみれば救世主だね…… 見た目は昼夜だけどね…… それよりあんた等、怪我は無いかい? レグバの放つフルバーストは危ないんだよ…… 悪魔でも天使でも居ない事にされちまうんだ! さぁ、あたしの後ろに隠れなさいなっ! 護ってあげるからねっ!」

「えっ? フルバーストだったら何度受けても別段変化とか痛いとか、無かったんだけどね……」

「うん、カーリーさん大丈夫なの? でござるよ、レグバって下手でね、ちゃんと打てないのでござるよぉ!」

「ん? その言い方だと何度もフルバーストを受けて未だ生きてるように聞こえちゃうじゃないのよ! 言葉って大事よ? ちゃんと説明しなくちゃ駄目なんだよ? それにフルバーストにちゃんとも何も無いんだからね! 四方向からの光が少し掠っただけで存在が消えちゃうんだから!」

 ソフビサイズの紫の奴が前に進み出て言う。

「久しぶりだな、妻よ! コユキ様と善悪様は嘘は言っていないぞ、ゴッドフルバーストはここまで連続二十八回失敗続き、何の効果もお二人に与えていないんだ」

 昼夜の見た目のカーリーは目を剥いてシヴァに答える。

「お、シヴァ! アンタも知ってるでしょ? フルバーストで影響受けない、ノーダメなんて、ルキフェル様本人かアタシの漆黒の大剣『ダグル・バリザ』、あとはオルクス義兄さんが真似して作った純白の大剣『レジル』位しか無いでしょ? この二人の人間部分が無傷なんてありえないわ」

「だが事実無傷だったんだぞ、多分レグバの失敗とかじゃないか?」

「失敬な、失敗したりしていないぞ! にしてもカーリー、ここの所顔出さなかったじゃないか? 二十年以上音沙汰無しとは、何か有ったのか?」

 カーリーの登場を見てコユキと善悪の近くへと移動してきた、四人の運命神を代表したロットががカーリーに聞くと、昼夜の姿をしたシヴァの奥さんカーリーは、大仰に両腕を広げて答えるのであった。

「参ったわよ! タルタロスの大穴の底に閉じ込められちゃってさ! 何とか脱出したら今日でしょ? 焦っちゃったわよ! 間に合って良かったわ」

「タルタロスの大穴? 何で又そんな場所に…… それに妻よ、お前なら容易に抜け出せたんじゃなか?」

 シヴァの意外そうな声にもカーリーは答える。

「アタシ一人なら楽勝よ、でも今は昼夜から託された依り代使ってるじゃない? 無茶して壊す訳には行かないじゃないの、だから慎重に掘り進めてさ、こんなに掛かっちゃったって訳よ」

「なるほどな」


拙作をお読みいただきありがとうございました!

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