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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

第三章 苦痛の葬送曲(レクイエム)
501.集結 ②

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 トシ子の声を聞いて姿を現したのは、ご本尊の裏に隠れる様に身を潜めていた、フィギュア十四体とガープ、ベレト、ゼパルの三体であった。

 ベルフェゴールが依り代にした悪魔モグラが、仲間達と一緒に歩いてくる姿を目撃した吹木女史が感動したように叫んだ。

「やっぱり! あの動画で見たモグラってプロト六号、シリアルゼロだったのね! アンタ達は私の手で産み出したんだから見間違える筈はないと思っていたのよ! うふふ、お母さんの目は誤魔化せないんだからっ!」

 モラクスは秋沢明と辻井道夫に対して最敬礼をしながら言っている。

「その節はご迷惑をお掛けしてしまいまして…… 改めてお詫び致します、お父さん、辻井ちゃん」

「え? お、おお、てんぽもない」

「ど、どうもご丁寧に……」

 長短ながちかはコユキの近くに駆け寄って嬉しそうに微笑みながらはしゃいでいる。

「大きい人! また大きくなったんだねぇ! あのね、あのね、ジローくんとユイちゃんがねぇ、ハンショクコウイってのにおよんだんだってぇ! よかったねぇ~! ほらお父さん、おっきい人おっきいよぉ!」

「は、繫殖行為? ってはしたないわよナガチカ君!」

「本当に大きいな、コユキさんだったか、上野では女房と息子が世話になったそうだね、礼を言う機会が持てて嬉しいよ、ありがとう」

「あ、は、はい、えっと光影みつかげさんですよね、昼夜ちゅうやさんのお子さんの…… その、ごめんなさい、ウチの叔母、ツミコの馬鹿がご迷惑を掛けてしまって…… アイツおかしいんですよ、アル中だし……」

 酷い言い様であったが、私の観察は一方通行、ツミコと昼夜さんの真実を伝える事が出来ないもどかしさ、分かって頂けているであろうか?

 そんな風にオーディエンスの皆さんの事を考えていたら、善悪が正気に戻った様で大きな声で言うのであった。

「イーチ! インヴィディアと一緒に金づる参拝客達にお帰り頂くのでござる! そうだな、お茶か饅頭でもサービスで渡して納得して貰ってぇ! んで、売り子も含めて全員集まる様に言うのでござる! 情報の共有、これ大事でござろ? 『聖女と愉快な仲間たち』、『六道りくどうの守護者』、『オニギリ友の会』、大集合でござるよぉ! 急ぐのでござる!」

 『六道の守護者』とはコユキの下の妹、リエがシヴァの息子たち、スカンダとガネーシャと組んでいるパーティーであり、『オニギリ友の会』とは、同じくコユキの妹、上の妹リョウコがお猿のフンババと大蟹のカルキノスと結成したパーティーの名前であった。

 ちなみに今回結城昭と吹木悠亜が納品してくれた二メートルのオリジナルフィギュアを依り代にして、復活する予定のヒュドラは『オニギリ友の会』に入る事を希望している、育ての親のカルキノスが参加している事が原因なのだろう。

「「は、はいいぃ!」」

 ダッ!

 慌てて境内に走り出て行くイーチ休とインヴィディアの二人であった。

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