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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

第二章 暴虐の狂詩曲(ラプソディー)
447.ネヴィラスとサルガタナス

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 悲しそうに、いや、正確には人間不信に陥りそうなアスタロトは無視する事に決めたコユキが、実の祖母トシ子との通信を容易くたやすく完了してから、ブルブル震え出しているアスタロトに言うのである。

「んで、アスタぁ? お婆ちゃんに何て言えばいいのぉ? 代わりに伝えてあげるから教えてよぉ!」

 悪魔であった…… んまあ、悪魔なんだけどな……

 アスタロトは無表情のままで答えたのである。

「え? ああ、そうか…… えっと…… トシ子に伝える事って、えっと…… 何だっけかな? あはは、何も浮かんでこないや…… あれ、あれれ、何でだろう…… 涙が…… あはは、我どうしたのかな? お、可笑しいよね? あはは……」

 ネヴィラスが慌ててコユキに言うのだ!

 ここで慌てなくては副官の名折れ、正にそう言ったシーンであったのだ。

「ココココ、コユキ様! 我らの軍団、ムスペルヘイムで入手した魔核! あれ等をオルクス卿のズタ袋に入れて頂ける様に王妃様、トシ子様にお伝えくださいませ! ね? 我が君! アスタロト様ぁ! それで宜しいんですよね? ね、ね! ねねねねね?」

 アスタロトは馬鹿の子の様に放心した感じで口をポカンと開けながらも、何とか答えるのであった、頑張ってるな!

「あ? ああ、お前がそう思うんなら、それで良いんじゃね? 頼むわ……」

「は、はいぃぃぃ! コユキ様! お願いしますぅ!」

「う、うん」

 コユキがトシ子に伝えたのだろう、即座にアスタロトの周囲は数百個の大小様々な赤い石、魔核で埋め尽くされたのである。

 魔核はコロコロと転がり近くに置かれた骨に触れ、見る見るうちに人型の悪魔として顕現していくのであった。

 続々と顕現する悪魔達は、皆一様に古代ローマの重装歩兵の姿をしていたが、見た目ははっきりと二種類に分けられていた。

 一つの集団は金属鎧、ロリカの下に着たチュニックと兜、ガリアの頭頂部に施された飾りも深紅、手に持った大盾、スクトゥムやもう一方の手に握られた槍、ピルムに腰に挿したグラディウスと呼ばれる片手剣のさやまで同様に赤く統一された逞しい男性達で構成されている。

 対して女性だけが集められた集団は薄青の装備に身を包んでいた。

 男性の集団と違っていたのは、大盾では無く小型の丸い盾、パルマを肩に装着している事、腰に差した剣がプギオと呼ばれる木の葉状で幅広の短剣だった事、そして手にしている主装備がピルムの様な槍では無く、アルクスという複合弓ふくごうきゅうに変わっていたが、これらも全て薄青色で揃えられていた。

 女型の悪魔軍団はサルガタナスの前に、男型の悪魔達はネヴィラスの正面へと、それぞれ整列した後アスタロトに対して片膝をついて傅いたかしずいたのである。 

 全員がかしずいた事を確認したネヴィラスがアスタロトに言った。

「我が君、お言葉を」

 アスタロトが答える。

「あ、ああ、お前に任せるわ、我ちょっと一人になりたい……」

「ええっ! そんな、お気を強くお持ち下されないと……」

 パニクりかけたネヴィラスに向けて、コユキがてのひらを向けて言葉を止める様に促し、その後同じ手で自分のでっぷりとした胸を叩く。

 自信に満ちた表情から察するに、任せて置いて! 的なジェスチャーなのだろう、ネヴィラスはそう思い言葉を止めたのである。

 その様子を見ていたサルガタナスがコユキの横に駆け寄り、胸元から大き目の魔核と一本の骨、肋骨ろっこつっぽい物を渡しながら囁くのであった。

「すみませんコユキ様、これ魔神の魔力、聖魔力じゃないと顕現出来ないんですの、ウチのおやっさんあんな感じですので、お願いしても宜しいでしょうか?」

 コユキはキョトンとしながら答えた。

「ん? このお骨と魔核に聖魔力を流してあげればいいのん? んじゃやってみるわね、ねえ、善悪!    これに聖魔力流すんだってさ、やっといてよ!」

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拙作をお読みいただきありがとうございました!


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