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堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

第二章 暴虐の狂詩曲(ラプソディー)
250.巨体は唸る

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 丹波タンバはあうあう言っているし、コユキもウトウトし始めたので今日の会食はお開きとなった(ならざる得なかった)のである。

 帰宅の途に着くコユキ達三人の内、運転を任されたのは母ミチエであった。
 車の持ち主ツミコが、どうしてもコユキに確認したい事があると言って、ミチエにドライバーを頼み込んだからだ。
 普段の軽自動車と違って、ツミコの愛車ハマーはでかくてかなり運転し難かったが、額に汗を浮かべながらも頑張る母ミチエである。

 それもその筈、H1に始まるハマーの民間転移用の仕様を悉くことごとく取り除いた車体は、軍用車『ハンビー』そのものであったのだから……
 必死に制御しようとしているミチエに叔母ツミコは気楽な様子で声を掛けた。

「ミチエさん! お姉さん、そんな緊張しなくて良いよ、ハンドルさえ握っていればこの子は目的地まで運んでくれるからね♪」

「ん、んな事言ったってぇ!」

 真面目な母、ミチエはハマー(実はハンビー)をぎょすのに必死の様子である、く、クラッチが、か、硬い! 重いっ!

 前のその又前の、元の真なる聖女ツミコのスキルは『機械の支配者マシーンドミニオン』、鉄製の機械であれば故障していようが、大破していようが、燃料切れだろうが、思いのままにコントロールする事が出来る能力である。

 その証左に、ミチエが重いと思ったクラッチは、勝手に動いてハンビーのギアを七速から八速に切り替え、地を這うようなエンジン音を少しだけ高めながら高速道路を二百キロオーバーで、慣れ親しんだ茶園の待つインターチェンジへと更なる加速を続けていくのであった。

「ひっひぃぃぃっ!」

 ミチエの叫びにツミコが苦笑を浮かべながら、然ししかし、楽しそうなムードを湛えつつ口にした。

「んまあ、化け物屋敷に嫁いで来ちゃった我が身を呪うんだねぇ! ははは…… んで、コユキ! あんたのさっきの話し、ってか行動…… 聞かせてもらおうか! どう言う事なの?」

 急におっかない感じになって聞いたツミコに、コユキは眠そうな顔で返した、目は既に3だ。

「どうって…… さっきも言ったじゃない…… アイツなんかおかしかったから『馬鹿』はらったのよぉ! 叔母さんだったら普通の事でしょぅ? むにゃむにゃ……」

「ちょっ! 起きなさいよっ! コユキっ! もう少し分かり易く説明しなさいよぉぅ! おい、こら、説明求む、よぉぅっ!」

 面倒臭そうに薄目を開けたコユキがモゾモゾと説明を始めるのであった。

「んだからぁ~、庭で話してたら何かコイツ嫌いだって! 『馬鹿』かな? って思ったから~、ちっとあおってやったんだよぉぅ! んでアイツの高慢チキの鼻っ柱をへし折るように話を持って行ったらさぁ、顔色が急に曇って、それ見て、アタシはね、ああぁ、悪魔かよって思ってぇぇ、祓ってやる為にラーメン食べに行っただけなのよぉ、分かった…… 叔母さんでもそうするでしょ? そんだけの話し、いつも通りの悪魔祓いよぉ、んふわぁ~、眠むい眠むい、ググゥゥゥゥ、グウグウ…… スヤスヤ……」

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拙作をお読みいただきありがとうございました!



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