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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

第二章 暴虐の狂詩曲(ラプソディー)
413.ファーム

はじめての方はコチラ→ ◆あらすじ◆目次◆

今回の話には、
『48.手料理』の内容が含まれております。
読み返して頂くとより解り易く、楽しんで頂けると思います^^
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「なんなのよ! 早く食べて感想聞かせなさいよぉ! ほれ、喰えよ! 喰って行けよ! ほらっ! 来いってっ!」

 コユキだっけか? 暴君っぽく、横綱っぽく喰え喰え言ってる馬鹿の声が響く……

 忠節のモードに軽く酔っていたのだろうか、グローリアの大きな声が発せられるのである。

「ぐ、グローリアきますっ!」 ※誤字ではありません

 バクゥっ! モグモグモグ…… ゴックン!

「グ、ググゥっ! んんんんんん~!」

 彼女の覚悟の行為を目の当たりにし、残った八人の心は一つの意思に統一されるのであった。

 モラクスが目尻に涙を湛えたたえつつ、代表して音頭を取るのであった。

「彼女に続けぇ! 生を惜しむな名をこそ惜しめぇ~『聖女と愉快な仲間たち』! バンザーイ!」

「「「「「「「バンザーイ!」」」」」」」

 パクパクパクパクパクパクパクパク!

 全員がそれぞれの前に置かれた変態ピロシキを僅かわずか躊躇ちゅうちょも見せずに各々おのおのの口へと放り込み、遠慮のない咀嚼そしゃくの後に飲み込んだのであった。

「「「「「「「「んん~、んんんんんんんん~」」」」」」」」

 なんだろうか? これ……

 これって何て言う神風特攻隊? 回天? 震洋? バンザイ特攻? な私、観察者であった。

 コユキ一人がボーっとしている中で、次に言葉を発したのは最初に特攻、特別攻撃隊に志願の手を挙げたグローリアであったのだった。

「う、う、う、う、旨いぃぃぃ! コユキ様! これ奇跡の美味さじゃぞい! 売るべき、断固売るべきっ! じゃぞいっ!」

 コユキがパンパンに膨らんだ顔に微かなかすかな喜びを浮かべて答えた。

「でそ? なはは」

 んーんー言っていたメンバーも旨い美味いの大合唱で答えるのであった。

「野性味あふれる獣肉を、複数の旨味で迎え撃ち、相殺する事で都会的な未知の味へと昇華させているんですね!」

「な、な、その通りだぜっ! びっくりしたぁ~!」

「敢えてアンバランスな味のハーモニーを作り出して、キモになっているのは清廉な山葵わさびの風味か…… いやいや、寧ろむしろ深みを増している塩辛にこそこの味の答えがあるのであろうか? むーん、難しい…… とかどうでも良いか! 美味いんだから! 美味いからっ!」

「そうだよ! 美味さしか勝たん!」

「生きてるだけで良かったのに…… 美味しいなんて、なんか感動ぉっ!」

「いやいやいや、最後に加えられた乾燥シイタケの食感な! あのカリカリ感が格別の美味さの秘密じゃぁないのぉぉ~!」

「それなっ!」

禿同はげどう!」

「いいね! いいねがつくねっ!」

 大絶賛であった。 

 ※この九人は特別胃腸が強い特異体質です。良い子や普通の皆はマネしないでね♪

「よっしっ! 新規メニューゲットぉ! んじゃあ毒見も済んだことだしアタシも一つ貰おっかな!」モグモグモグ

 観察者である私の秘かな願いが聞き届けられた瞬間であった。

 胃腸が強い特殊体質でないコユキである、確実に何時間後はピーピーであろう! いいザマである!

 味だけは美味しかったのであろうピロシキをバクバク食べている二軍からは目を移して、今回の一軍メンバーの様子を見てみるとしよう。

 さて、馬鹿みたいだった二軍と違い一軍のメンバーは命がけ、ガチでヤバい状態に向き合おうと言う、本番待ったなし状態であった。

 こっちのガチ勢の切っ掛けとなる、アヴァドンが声音こわねに緊張を込めて言ったのである。

「みんな良いか? んじゃあ行くぜ、『支配者バシリアス』! 静止せよ!」

 ジィィ――――――――――――――――――……

 一軍が見守る中、何も起こらないかに見えた、その時、その場に響き渡ったのはダメダメ兄貴、オルクス、スプラタ・マンユの長兄にして、善悪コユキの最大の友の声であった!

「ソコ! アジィ! ツカマエテェ! ンデ、パズゥ! カ、カコンデェ!」

おうっ!」

「アンダステンっ! 『鉄盾アスピーダ』」

 弟達の答えた声も頼もしい! 

 ンン――――――――――! ン――――――――――――! 

 アジ・ダハーカの分身を動かした声に合わせて、パズスが展開した鉄盾アスピーダで囲んだ範囲から聞こえて来たのは、一匹の羽虫が発する、小さな羽音だけだったのであった。

「ハ、ハエ?」

 オルクスの声がその場を静寂に包むのであった。

 アジ・ダハーカの分身の小竜が捕まえて、パズスの鉄盾アスピーダで隔離した存在は、ほんの小さな一匹の蝿、それだけだったのである。

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拙作をお読みいただきありがとうございました!


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