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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

第三章 苦痛の葬送曲(レクイエム)
493.お坊さんとお袈裟

はじめての方はコチラ→ ◆あらすじ◆目次◆

今回の話には、『443.上質なキトン』の内容が含まれております。
読み返して頂くとより解り易く、楽しんで頂けると思います。
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 ネットを騒がせたダンスは翌日には更に拡散を続け、口コミが口コミを呼んで暴力的な再生回数を記録したのであった。

 オリンピックを盛り上げたい。

 そんな善悪の気持ちから生まれたパフォーマンスであったが、皮肉な事に逆の効果を生んでしまっていた。

 余りにもバズり過ぎてしまったフォーメィションダンスのせいで、比較された本家本元本命の筈のオリンピック開会式が、今一つ低評価に終わってしまったのである…… そう、あれにはこう言う理由が隠されていたのである。

 全部の責任はプロデューサー気分の善悪のせいなのであった。

 とはいえ、アスリートの皆さんが頑張ったお陰で、東京2020は大喝采の中、無事大団円を迎えたのであった。

 うるうる目頭を潤ませながらテレビに釘付けとなった善悪が見守る中、パラリンピックも大歓声の祝福を受けて終幕を迎えたのである。

 そこで喪失感を覚えた善悪の前に登場したのがダンスワ〇プロジェクトなのである。

「踊ってみるかな? どう? どうなのでござるぅ?」

 そう問われた十四柱では無く、後ろでうろうろしていた編みぐるみ達から強い要望の声が上がってしまったのであった。

 ヤラセテ、オドラセテ、ボクモ、ワタシモ! オドリタイヨッ!

 アオハル…… 永遠の憧憬、記憶の一番華やかな場所、そんな憧れは人と悪魔の垣根さえ超えていたのであろうか?

 兎も角、レッサーたちが身をやつした編みぐるみの声に押され捲った形で、善悪和尚はグンジ〇ウをプロデュースする事になったのであった。

 悪魔達も頑張った。

 その結果が、今、スプラタ・マンユが見ている動画に他ならなかったのである。

 善悪は言った、今や自宅でテレビを見ながら年数千万を稼ぐインフルエンサーとなったオルクスに……

「いやぁ、ちょっとアスタとバアルに某と同じような頭巾を被せてやって欲しいのでござるよぉ! アスタは…… そうでござるなぁ、紫の観音帽子で! バアルは、うーん…… やっぱり灰色でござるかなぁ? 限りなく黒に近い灰色で…… どう? 出来るかなぁ? どうなの? で、ござる!」

 オルクスの答えはこうであった。

「ラクショー、ムムムッ! コレデ、ドウ?」

 音も無く観音帽子と法衣、同系色の袈裟に身を包んだアスタとバアル。

 流石はオルクスである、忘れがちだが『神速』に並ぶ彼の得意技、『物質化』魔力は錆び付いてはいないようだ。

 残るはイーチである。

 善悪がオルクスに何やら呟くと次の瞬間イーチの服装が代わった。

 膝丈の白衣に黒の腰衣、いわゆる裙子くんず、むつかしく言えば小坊主さんのミニスカートみたいな奴である。

「私だけコレなんですね……」

 イーチ、ダキア王ブレビスタの熱の無い声に対して善悪が答えた。

「え? 白好きだったでござろ? 嬉しいんじゃないの、でござる?」

「ま、まあ、白は高貴な色ですから…… じゃあ、嬉しいって事にしておきますよ」

「よし! オルクス君ありがとうでござる、アスタ、バアル、そしてイーチ、行くのでござるよ、着いて来てぇ!」

「「「りょっ!」」」

 こうして本堂で待つ金づる、グフングフンお客さんの元へと、改めて足を運ぶ善悪なのである。

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拙作をお読みいただきありがとうございました!


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