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堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

第二章 暴虐の狂詩曲(ラプソディー)
281.養豚

はじめての方はコチラ→ ◆あらすじ◆目次◆

「ヒロフミ殿、お、お父さん(ポっ)お誕生日おめでとうでござる! ワンちゃん飼ったのでござるな、昨日は見かけなかったでござるが……」

「ん、ああ、拾ったんだよ、茶畑でな…… 昨日はリエが散歩に連れていった所だったからね、あと、お祝いありがとう! でも、もう目出度いめでたい様な年じゃないんだが」

「んな事無いのでござる、生を喜び重ねた年月としつきに感謝し未来に希望と期待を持って踏み出す節目、誕生日は素晴らしい慶事でござるよ」

「お、おう、そうか、いや、そうですね、和尚様ありがとうございます」

そう言って居住いを正して深々と頭を下げるヒロフミに善悪は焦ったように言うのであった。

「いやいや、堅苦しい話し方は止めて欲しいでござる、子供の頃からお世話になっているのは僕ちんの方でござるゆえ…… いつも通りよしおでも善悪でも気軽に呼んでくれて構わないのでござるよ、息子だと思ってくれて構わないのでござる」(ポっ)

「そうですか…… んじゃお言葉に甘えさせてもらうか! 改めてありがとな、善悪君」

「いやいや、昨日は期待させた上でガッカリさせてしまって申し訳なかったのでござる、これこの通り」

頭をツルっと下げた善悪に対してヒロフミは諦観ていかんを込めたニヒルな笑顔で返した。

「いや、時代は流れ続けて行く物だよ、まるで大河の様にね、それに逆らい自分一人の脆弱ぜいじゃく拘りこだわりさお差しても圧倒的な変遷という流れをどうこう出来る訳じゃない、実はずっと前から理解していたんだよ、こんな事続けて居ちゃいけないってね、俺も時代に合わせて進み始める良い頃合なんだろうさ、それは良い、良いんだが…… ただ……」

「ただ?」

ヒロフミは普段からの温和そうな表情を消して、無表情になって言ったのである。

「サター○を破壊した張本人…… あの馬鹿娘だけは絶対に許さない! 一生飼い殺しで幸せとか幸福とかハッピーとか知らないままで豚の様に飼育して行こうと決めた! 決定事項だっ!!」

 善悪は驚いた、普段優しく温厚その物に見えたヒロフミの中に、こんなコユキ張りのガッツ、所謂いわゆる、石松魂が隠されていたのだから当然だろう。

 しかし、この養豚宣言を聞き流す事など善悪に出来る訳も無かった、そりゃそうだろう、捕らわれのジュリエットンとロミオ善悪の悲恋なんて結果は嫌に決まっているのだから。

 故に善悪は嘘も交えた説明をヒロフミにするのであった、それはもう必死に、マスクもせずに飛沫を飛ばし捲るのであった。

「いやいやいや、その考えは間違いではなかろうか? と言うよりもはっきり言うのでござるっ! 間違っているのでござるよ! ダメ絶対! そもそもコユキ殿が○ターンを壊してしまったのもご家族を助けようと、少しでも居心地が良いと思われる畳部屋に運ぼうと頑張った結果に伴う不幸な事故でござる! 結果だけ見て責めるんじゃ、そこらの左翼や右翼、ネトウヨや安っぽい左右の芸人風情と同じではござらぬか? 自分は安全な所から言いたいように発する、そんなゴミにはなりたくないであろ? ん、んん? さらに、さらに! 先代のサター○の犠牲によって新たに紡がれた絆は、更なる奇跡をもたらしたのでござる! なんと、ここ、茶糖家を強襲したヤギ頭、現オルクス君(尊い)と某の力を合わせ、コユキ殿の指示で(嘘)、ここ大事だからもう一回言うのでござるが、コユキ殿の直接の指示によって(大嘘)、ヒロフミ殿のご希望の、待望の逸品を取り寄せる事に成功したのでござるから! 決定は覆すのでござる! 豚を閉じ込めちゃダメっ! 野生で、野生で! 猪でっ! 分かった? 分かってんのかこのジジイぃっ! で、ござるよっ!」

 凄かった、熱かった、善悪が陽性だったら絶対ヒロフミも感染してしまった事であろう。
 善悪の熱々火傷必至の声に驚いてしまい、言葉を無くしてしまった結構大人し目のヒロフミに対して、畳み掛ける坊主。

「今回お誕生日のプレゼントに用意させて頂いた物は、ソニ○クの青みも画面対応も初出と全く同じ環境でプレイできる物でござる! これは去りし遠き日、ドリキャスにアップデートした拙者が、受験勉強でゲ─ムや趣味の類を一切断ち切っていた、哀れな従兄弟、光影にあげた物でござる…… ヒロフミ殿の現状を憂いたコユキ殿、コユキ殿、コユキ殿の願いに答える為に、我輩が連絡を取って存在を確認し、みっちゃんに付箋紙にプルートマークを書かせて貼って貰い、『ウーバー○ーツ』のベクトル反転によって取り寄せたものでござる! 良い? 分かったか? この引き篭もりのジジイメ! コユキちゃんが自由に動けなかったら、こんな物、貰えなかったんだからなぁ! このこのこのっ! で、ござる!」

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拙作をお読みいただきありがとうございました!

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