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ルイス・キャロルの「アリス」考察

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『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』および関連作品の考察。 作中のパズルを解く記事が中心です。
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#タロット

『不思議の国のアリス』タロットについての補足

タロットについての補足です。

『アリス』シリーズのタロットは時代的にはライダー/ウェイト版でなくマルセイユ版と考えるべきでしょう。

『不思議』では物語の中で正位置と逆位置、1枚のカードに対応するエピソードが2つあるのが普通ですが、調べていくと1枚のカードに3つ以上のエピソードが当てはまる場合も多く、無理に限定する必要はありません。

42か21か
キャロルが42という数にこだわっていたのは有名

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『不思議の国のアリス』巨大な子犬

『不思議の国のアリス』第4章で、アリスが巨大な子犬(enormous puppy)と対峙する場面。

タロットこの場面はタロット(大アルカナ)の寓意では11番の「strength」ですね。
「力」のカードはライオンが乙女の膝の上に乗っているデザインです。
「柔よく剛を制す」とか「愛は暴力に勝る」とか、大体そんな感じ。

というわけで、アリスが子犬を翻弄する場面も「力」を象徴するのです。

また、こ

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『不思議の国のアリス』公爵夫人の2つの顔

『不思議の国のアリス』第6章の公爵夫人の屋敷の場面の挿絵を見て下さい。

・・・「醜い顔の」公爵夫人がいますね。

では、上下逆さにしてもう一度見て下さい。

・・・「尖り顎の」公爵夫人が現れました。

第9章のクローケーの場面で彼女が再登場した時、「夫人の顎が尖っている」という描写に戸惑った人も多いのではないかと思いますが、こんな仕掛けだったのですね。

「上下逆さの顔」や「襟巻きを着けたような

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