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詩)空っぽ

缶の蓋をしっかりと閉めた

空っぽの缶だと叫んでいたが
本当は何かを入れる隙間もない位に
汚い物が溢れ返っていた
入れていた筈の綺麗なものも
汚いものに混じって見分けがつかない

缶の中身を誰にも見られたくなくて
部屋の奥へと仕舞い込んだ

缶をなくした部屋の真ん中は
色んな物が散らばって
自分が何処に座れば良いのかも
わからなくなった

色んな事が右から左に流れていって
逃げ出すように部屋の奥へと潜り込んでは
エンドロールを眺めるみたいに
ただ惚けて穴から見える世界を眺めていた

大事に抱えていた缶の蓋が
不意に訪れた感情を拾い上げて
カタカタと震えていた

惚けて…ほおけて 蓋…ふた



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