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詩)綺麗に見える距離

儚く光る月は石の塊らしい
青い海は掬うと半透明にくすんでいた
緑の木々は近くで見るとデコボコの表皮に
沢山の傷があって、食べ残しの引っかかった
蜘蛛の巣が張っていた
遠くから見ればあんなにも美しいのに
近づいてみたら
見なければ良かったものが見えて
勝手に描いた幻想を
現実が幻滅にかえてしまった

きっと貴方の事も
貴方から見た私も
淡い蜃気楼のままでいれば良かった
温もりや匂いさえ感じる距離は
少し近づき過ぎたのかもしれない

乱雑に並べられた記憶の上に
塵や埃が降り積もり
いつの日か蜃気楼だけが思い出に変わる

儚く…はかなく 掬う…すくう

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