詩)夜汽車に乗って
流れる景色を眺めていた
色んな音が耳の中を通り抜けて
置いてけぼりになった私を笑う
田んぼの真ん中や街の灯りの中を
静寂や暗闇を切り裂きながら
ガタンゴトンと夜汽車は走る
途中の駅に待ち人はなく
止まる事を知らずに走り抜ける
窓には光が反射して
途切れ途切れに私の顔を写す
窓に写る男は笑っている様にも
泣いている様にも見えた
シートから伝わる振動は心地よく
目を瞑れば眠りに落ちそうで
叶いもしない願い事が点滅を繰り返す
夜汽車は時間軸のずれた明日へと私を運ぶ
幾ら急いで走っても過ぎ去った昨日には
二度と追いつけやしないのに
希望や後悔をごちゃ混ぜにして
夢と現実の間を夜汽車は走る
いつまでも降りる事のできない私を乗せて