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詩)螽斯は蟻の背中に乗って

黒い頭を幾つも並べて隊列を乱さずに歩く
角砂糖は見つからず死骸を担いで運ぶ
ため息すらも無駄に思えて黙々と巣穴に帰る

穴蔵の中の生活は光さえも刺さずに
励ましの声も反響の末に雑音に変わる
不協和音を子守唄にして眠る日々を過ごす

働かない蟻は微睡の中で暮らし
時間に追われている事も忘れて死骸を貪る
妄想に飲み込まれそうになれば目を閉じて笑う


上手くいかない事が起これば
誰かの所為だと押し付けあって
犯人探しに疑心暗鬼がはしゃぐ


働き蟻は囃し立てられ盲目に死骸を運ぶ
聖者の祈りと狂人の叫びが飛び交う中で
喉の渇きを癒す事もな愚直に足を進める

働かなければ角砂糖は喰えず
苦い死骸を貪るばかりで
現実を噛み締めては甘い夢の中で蕩ける

蟻になれない私は冬を越す事が出来ずに
腹を空かせたまま巣穴の中へと運ばれて行く
自由を謳歌した日々を目蓋の裏に探しながら

螽斯…キリギリス 微睡…まどろみ
囃し立て…はやしたて 癒す…いやす
貪る…むさぼる 目蓋…まぶた

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