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詩)蚊  

寝苦しい暑さに
不快な羽音が重なり
静寂の時間を奪う
苛立ちを晴らす様に両の手を叩く

危な!
もう少しで潰される所やったわ
そんなに目の敵にせんでも
ちょっと血を頂くだけやないか
多少の痒みはあるかも知れんけど
あんたは死ぬ訳でもあらへんのやし
なんも殺そうとせんくてもええやろ

自分らのかける迷惑なんて
たかだか知れとるやろ
あんたかて他人に散々迷惑を掛けとんのに
自分らは殺されてあんたは叩かれもしやんて
舐め腐るのも大概にして欲しいわ

最近はなんや、
昔みたいにようわからんグルグルに
火をつけるんやのうて
自分らが現れた瞬間に
あらぬ方向にシュッて一拭きや
あれでギョウサン殺られてもうたわ
自分らが体一つ、命がけで挑んでんのに
それをあんなんで殺されたら
死んでも死に切れやんわ
あんたも男なら正々堂々と…

“パチン”っと音が弾けて
手の中に赤い斑点を作る

私は小さな命と引き換えに
再び、静寂を取り戻した

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