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詩)足音

階段を登る足音
どんどんと近づいてきて扉の前で止まる
お盆を床に置いた音が聞こえると
扉は開かれずに足音は何処かに遠ざかる

独りぼっちの部屋は空気が淀んで
煙は天井を抜けずに充満していく

画面に映る砂嵐は何も教えてはくれず
カレンダーの数字にバツを書いては
止まった時間を動かした

私はここにいるのだと嘆いても
この声は何処に向かっているか

扉の向こうに続く世界で
いったい何が待っているのか
消える事さえ出来ずに
息を殺して世界に耳を澄ませる

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