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詩)溜池

四方をコンクリートで固められ
排水口はあれど水は流れ込まず
端には木の枝や塵が溜まって
緑の上にプカリプカリと浮かんでいた

雨が降れば水嵩は増え
晴れの日が続けば溜まった泥が露出する
何の目的も意味すらも持たずに作られた池は
水の流れを閉ざされて細波に光が反射していた

時代の風に流されて気づけば隅に追いやられ
煙が立つ時間も短くなった

少ない絵具で書いた景色が
時の移り変わりを皮肉に罵る
短くなった煙草を灰皿に擦り付け
生き物のいない池を眺めて
重たいため息を吐いた

冷たい風は空へと登る煙を
掻き乱して去らっていく

水嵩…みずかさ 塵…ごみ 細波…さざなみ 
擦り付け…こすりつけ 眺めて…ながめて
掻き乱して…かきみだして



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