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詩)通り雨

通り雨が靴まで濡らした
歩く度に聞き慣れない音が
不快な足下を無視して
楽しげに肩を叩く
髪から滴り落ちた雨は
全てを流し切らぬまま
皮膚に留まり熱を奪っていく
分厚い雲の隙間から光が差し込む
自由に歩ける日が来る事を願い
傘を忘れた自分を笑い飛ばした
風がゆっくりと雲を流して
少しずつ壊れた日常を動かして行く
いつかの昨日に戻れるようにと
代わり映えのしない明日を
何度も連れて来る
冬の雨は少しの希望を伝え
幾らかの厳しさを置きざりにしたまま
何処かに去って行った



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