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詩)目を瞑れば

生茂おいしげる木々は豊かな葉をたずさ
その隙間からもれれ出す光
鳥の鳴き声や葉音
小さな動物達が草を揺らし
皮膚とれる
風が運ぶ土の匂い
腐葉土ふようどの中で終わりを告げた命が
また新たな命のかてに変わる
生と生が混じり合い
まるで死を打ち消す様に雄弁ゆうべんに語り
また、光を連れてくる

機械の音がビルの壁に木霊こだまして
ぶつかり合い、音のない隙間を作る
限られた窓から見える空に
少し灰色が掛かかる
目をつむれば
私は独り、声の届かない森の中にいた

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