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短編小説。

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#風の強い日

雨上がりに想う君。

雨上がりに想う君。

部屋を出て一人で歩いた。
君との思い出をかき消すように、ただ何も考えず。
外はさっきまで雨が降っていて、雨上がりの独特な匂いが立ちこめている。
「雨上がりの匂いってね、ぺトリコールって言うんだよ!ギリシャ語で“石のエッセンス”って意味なんだって!」
得意げに話す君の姿が浮かんだ。
もうその姿を見ることは叶わない。

***

ケーキ屋の前を

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