中高ドイツ語翻訳練習 ミンネザング フリードリヒ・フォン・ハウゼン

多言語学習の世界に入ると、どうしても浅く広くになります。中高ドイツ語はあまり読む時間を作れません。モチベ・語学力維持のために、先ほど一遍読みました。
恋愛経験は一回だけしかありません。どうしても馬鹿になれない、嵌り切れない所があります。
ギリシャ語はこれしか知らないのですが、格言にμηδὲν ἄγαν (not not too much、やり過ぎるな)というものがあります。僕はどこかそのような所があります。悪く言えば臆病、良く言えば無難、といった所でしょうか。
それに対して、中世ドイツの騎士の貴婦人に対する恋愛は本物です。やはり詩人であり、戦士であり、命がけです。シンプルですが、目が覚めるような詩です。


(原文)*1
Friedrich von Hausen *2

Hete ich sô hôher minne
mich nie underwunden,
mîn möhte werden rât.
ich tet ez âne sinne;
des lîde ich ze allen stunden
nôt, diu mir nâhe gât.
Mîn staete mir nu hât
daz herze alsô gebunden,
daz sî ez niht scheiden lât
von ir, als ez nu stât.


(日本語訳)
フリードリヒ・フォン・ハウゼン *2

これほど高き愛に
手を出さなかったならば、
救いがあったのだろうが。
考えなしにしでかしてしまった。
だから、常に苦しみが
襲い掛かってくる。
私は誠実だ、
私と心はしっかりと結び付いた、
誠実ゆえに心は高き愛から離れない、
そういう事だ。


(ヴェルナー・ホフマン、岸谷敞子、石井道子、柳井尚子訳)*3
フリードリヒ・フォン・ハウゼン *2

これほどに高き愛を志したのでなかったならば、私にはまだ手だてがあったであろうに。無分別にも志してしまったのだ。そのために絶えず辛い苦しみに耐えている。私の心はあまりにも誠実なので、この愛から離れようとはしない。そうなのだ。


(注)
*1 ヴェルナー・ホフマン、岸谷敞子、石井道子、柳井尚子訳著、ミンネザング、大学書林、平成13年、p.34
*2 フリードリヒ・フォン・ハウゼン:シュタウフェン朝の皇帝に仕えたミニステリアーレで、1171年~1190年の文書にその名が記録されている。領地を特定することはむずかしいが、父親の所領はライン・プファルツ地方、ライン・ヘッセン地方に複数あった。1189年に皇帝フリードリヒ一世の十字軍に参加し、1190年に没。

*3 前掲書、p.35

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