中高ドイツ語翻訳練習 ミンネザング デァ・フォン・キューレンベルク

追記20220624

読みが深まりました。韻律はまだわかりません。一行目のmirは、nhdの文法書で大変恐縮ですが、詳解ドイツ大文法S.624の情操的三格(ethischer Dativ)「関心を抱いて」「つくづくと」を参考にし、「思い耽って」ととりました。Dat.は難しいですね、勉強不足ですみません。とりあえず直訳調でぎこちないですが、一行ずつ訳しました。
リルケの為にドイツ語古文を、という当初の目論見は成功しています。さらに関心が広がり、言語学も楽しんでいます。
De GruyterのEinführung in das Mittelhochdeutsche、綺麗な青色の本ですが、通読したいですね。赤色はmhd-nhdの辞書です。

Ⅰ ≫私は昨夜遅く、思い耽って胸壁に立っていました、
その時、ある騎士がとても美しく歌うのが聞こえました、
人群れの中からキューレンベルクの調べで。
彼は私の為に国を去らなければなりません。さもなくば、私は彼で楽しみます。≪

Ⅱ さあ、いますぐに私の馬と武具を持ってこい、
なぜなら、私はある貴婦人の為に国を去らなければならないからだ、
彼女は私に彼女に好意を抱くよう強いようとする。
彼女は私の愛を常に欠かなければならない。

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以下、以前の文章

ミンネザング(Minnesang)は中世ドイツの恋愛抒情詩のジャンルです。minneは愛、sangは歌という意味です。ドイツ語の古文である中高ドイツ語(Mittelhochdeutsch、1050年頃~1350年頃)で書かれました。騎士=詩人が貴婦人に捧げる詩です。
僕はリルケを主としてドイツ詩をもっと豊かに読むために、古文の勉強を始めました。さっそく思う所がありました。
真偽は分かりませんが、彼は自分の出自が貴族であると主張しました。憶測に過ぎませんが、昔、貴族の音楽だったクラシックについて考えたりしてヒントを得たのですが、貴族こそが芸術を極められるのだ、という自負があったのかもしれません。
ミンネザングの恋愛詩としての完成度の高さに驚きます。その魅力を少しでもお伝えできれば、と思います。
この詩では、女がかなり男に入れ込み、男は怖くなって逃げだします。


(原文)
Der von Kürenberg*1

1
>Ich stuont mir nehtint spâte an einer zinne,
dô hôrt ich einen rîter vil wol singen
in Kürenberges wîse al ûz der menigîn.
er muoz mir diu lant rûmen, alder ich geniete mich sîn.<

2
Nu brinc mir her vil balde mîn ros, mîn îsengewant,
wan ich muoz einer vrouwen rûmen diu lant,
diu wil mich des betwingen, daz ich ir holt sî.
si muoz der mîner minne iemer darbende sîn.


(日本語訳)
デァ・フォン・キューレンベルク*1

1 女の歌
「私は夜遅く城壁にいました。人群れの中から、ある騎士がキューレンベルク調でとても美しく歌うのが聞こえました。彼は私のためにこの国を去らなければなりません。そうでなければ、私が彼をとことん愛します。」

2 男の歌
さあ、すぐに私の馬と武具を持って来い。ある婦人のために国を去らねばならん。彼女は私に愛の奉仕を強いるが、ずっと私への愛に飢えねばならん。


*1 Der von Kürenberg デァ・フォン・キューレンベルク…最も初期の詩人。1150年~1160年頃に詩作。オーストリア地方あるいはドーナウ地域の人。「高きミンネ」のテーマはまだ扱っていない。


(ヴェルナー・ホフマン、岸谷敞子、石井道子、柳井尚子訳著、ミンネザング、大学書林、平成13年、p.2)

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