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未経験からITエンジニアになるためにはどうすればよいのか?

みなさんこんにちは。

私はMicrosoft365の導入・構築をメインに仕事をしています。
対応領域としてはExchageOnline,Teams,EntraID,Intuneあたりが多いです。
現職に就いて3年ほどが経ちました。

上を見ればもっとプロフェッショナルな方はいくらでもいらっしゃるとは思いますけれど、どうにかやっております。

しかし、私は元々IT業界でキャリアをスタートしたわけではありません。
今の会社に転職してから、この仕事をするようになったのです。

今回は、私がどうにか未経験からエンジニア業をやってこれた理由を考えてみたいと思います。

一言にエンジニアと言いましても、当然領域によって扱う技術も知識も大きく異なりますので、あくまで一例としてご覧いただければ幸いです。

IT業界に入るまで

私は元々文系学生で、ITと無縁の世界にいました。
Officeも大して使っておらず、社会人になるまでCtrl+Cのような誰でも知っているレベルのショートカットも知りませんでした。
PCは一応持っていましたが、使い方もよくわからないし何だか苦手だなぁと思っていました。

そこから何でITを生業にするところまで行ったのかという話ですが、思い返すといくつかの転機があったように思います。
異業種への転職ではありましたが、突拍子もなくIT業界を考えたというわけではなかったです。
それは1つ重要なポイントであると思います。

きっかけその1 VBAの面白さを知る

以前の仕事はとある法人の職員でした。いわゆる事務職でした。
特にExcelを使って作業したり、数字を出したりすることが多かったです。

事務仕事ですので、別のファイルから数字を取ってきて入力して加工して、、、というような仕事も結構ありました。
月次で動いている業務では、毎月同じ時期にその作業をする感じになります。

ところで、私にはITエンジニアとして重要な資質である「面倒くさがり」が備わっていました。
次第に「この作業をコンピューターにやってもらえないものか」と思うようになりました。

色々調べる内に、Excel関数やVBAの存在を知りました。
特にVBAはコードを書くとExcelの加工を自動でやってくれるというのです。

見様見真似から始めて、少しずつ変数を使ったり、ループ処理を使うことを覚えました。

思えばこの時、初めてプログラミングの世界に足を踏み入れたことになります。
「コンピューターはこうやって動かすんだ」
「普段マウスで操作している裏ではこういうことが行われているんだ」
と新鮮な発見があったことを覚えています。

今や義務教育でもプログラミングは扱うようですが、当時はIT関係者以外では率先してやるほどではなかったように思います。

何事も仕組みがわからないから苦手に思うのであり、理解すれば苦手は得意になる、そんなことを思った経験でした。

きっかけその2 システム更改プロジェクト

当時、組織内外で共有して使っているオンプレミスシステムがあり、たまたまその更改に携わる事になりました。

ただ実作業をやるのはベンダー(某大手Sierのグループ会社)でしたから、私は主に進捗を確認したり、細かい仕様を関係者と調整するといった事を担当していました。

システム開発や導入を行うとき、独特な言い回しや概念がいくつも登場します。
例えば、要件定義、単体試験、WBS、バッチ処理などです。
聞き馴染みのない人も多いでしょう。

私も最初はそういう部分で苦戦しました。

そこで、ITパスポートを勉強することにしました。
ITパスポートはIT関係の一般知識についてまとめられていますから、入門にはぴったりでした。

さらに勉強したことがそのまま実務にも直結したので、ただ資格の勉強をする以上の有意義さもありました。

今は立場が代わってベンダー側になったわけですが、ベンダーがやるべき仕事やお客さんが期待する点など、その時の経験は今も活きていると思います。

ITエンジニアとして働いていくために

一念発起して転職したはいいものの、転職時の私の知識はITパスポートレベルで、Microsoft365のことも殆どわからない状態でした。
今考えるとよくここまでこれたものだと思います。

もちろん様々なことを勉強してきたわけですが、振り返って初学者に有意義だと思われるポイントをいくつか紹介したいと思います。

「浅く広く」から始める

最初は学習範囲があまりにも多いため、途方に暮れてしまうかもしれません。
この段階で大切なのは、ざっくりで良いので色々な領域を満遍なく勉強していくことではないかと思います。

ITの世界は様々な仕組みが連動することで機能しています。
そのため、知識が断片的だと関連性が見えなくなってしまうのです。

ネットワーク、プロトコル、DNS、コーディング、サーバー、OS、Webサービスなど、ひと通り触れてみるといいと思います。

特に私の仕事はITコンサル的な側面も多少あるので、時には情シスなんでも相談みたいなことになることもあります。
そんな時、どこかの領域がすっぽり抜け落ちていると、どうしても話を続けることが難しくなります。

先述のITパスポートや基本情報などは全般的な内容が網羅されているので、資格取得の有無はともかく、勉強としては良いと思います。

仕組みを理解する

浅く広くのステップがひと段落したら、それぞれ「どういう仕組みで動いているのか」に着目して勉強していくと良いと思います。

ITの世界では全ての事象に原因があります。
人間が作ったものですから、一見よくわからないような事態が起きたとしても、深掘りしていけば必ず原因はあるのです。

仕組みを理解すると何がいいのか?
応用が効くようになることです。

つまり、
「Aの場合はどうか」「Bである」
「ではCの場合はどうか」「おそらく、仕組みから考えるとDである」
といったように見当がつき、仮説が立てられるようになります。

実務の中では、当然自分の知らないものに直面することがあります。
その時は調べたり検証したりして回答を出すわけですが、仕組みが分かっていると回答に辿り着くまでのスピードが全然変わってきます。

仕組みを理解する観点で、参考になった書籍を2つご紹介したいと思います。

苦しんで覚えるC言語

通称苦Cで知られる名著です。

C言語は古い言語です。
今時のスクリプト言語では自動処理してくれるような、データ型や変数のメモリ確保なども人間が記述しなければなりません。

それゆえに、コンピューターの仕組みを理解する上で役に立ちます。
コンピューターはどうやって動かすのか、その一端に触れることができます。

苦Cは「なぜそうなっているのか」の背景部分がとても丁寧に説明されています。
だからこそ苦しんで覚える、な訳ですが、コードを書かない職種の方にもおすすめです。

暗号技術入門

こちらも評価の高い書籍です。

現在の通信において、暗号化は必須の技術の1つと言えます。
特に公開鍵暗号の仕組みは本当に色々な領域で登場します。

暗号技術は難しい話が多いので断片的に情報を見ても理解が難しいのではないかと思います。
本書は暗号技術を順を追って丁寧に説明してくれますので、とてもありがたいです。

手を動かす

ドキュメント類から知識を学習することも重要ですが、それと同じくらい重要なのが「自分でやってみる」ことです。

どういう事か、Intuneを例にお話ししたいと思います。

「Intuneでできること」で調べてみると、色々な情報が出てくると思います。
しかし多くの説明は売り文句のため、実際にどのくらい役に立つのかということはそこからではわかりません。
「位置情報取得」とか「Wi-Fiの接続制御」などと言っても、どのような挙動になるのか、目的を果たすのに充分なのかという部分は自分で確かめるしかないのです。

そのため、実際に管理コンソールで設定を行い、実機を使って挙動を見てみるということをやります。

手間も時間もかかるプロセスですが、このようにして得た知見は自分の血肉となって残ります。
ドキュメントを読んだり教わっただけの内容はすぐ忘れてしまうものですが、自分の手を動かして覚えた内容はいつまでも忘れないものです。

社内を見ていても、わからなかったら誰かに聞いて終わりの人と、積極的に手を動かす人では成長スピードも大きく違うと感じています。

やはりデジタル/アナログに関わらず、エンジニアリングの根底は自分の手を動かすことにあるのでしょう。

日々情報を集める

IT業界は変化の激しい業界だと思いますが、私の扱っているSaaS領域は特にスピード感が早いと思います。

生成系AIの動向などは特にそうでした。

生成系AIが盛り上がりを見せたのはここ1〜2年くらいの話ですが、今やビジネスシーンでChat GPTを知らない人は殆どいないのではないかというくらい、爆発的に広まりました。

最盛期には毎週どころか毎日くらいのペースで、世界のどこかで誰かが新しいものをリリースするくらいの勢いがありました。

生成系AIの話は極端な例としても、Microsoft365でも日々新機能がリリースされます。
半年くらい経ったらこれまでの常識が常識ではなくなっているなんてことも起きます。

それゆえ、情報のキャッチアップはとても大切です。

仕事に直接関係する部分はもちろんですが、雑多なITニュースなんかもチェックしておくと良いです。
一見関係なさそうでも、意外なところで関係があったりするものです。

もう一つ、わからないことがあった場合にネット上にあるナレッジを探してみることも重要です。

IT業界の良いところは、自分のナレッジを積極的に共有する文化が根付いていることであると思います。
ITがこれほどまでに発展した背景の1つでもあると思っています。

日本語の情報が無い時も、英語で検索するとヒットすることも多いです。
もちろん全て鵜呑みにはできないので裏どりは必要ですが、そうした情報はありがたく活用させてもらいましょう。

そして自分が得たナレッジをまた他の誰かに共有してあげてください。

まとめ とにかく好きであること

ここまで書いてきたとおり、ITの仕事はとにかく勉強です。
エンジニアとしての市場価値を高めるのも勉強ですし、まめに情報収集していなければあっという間に取り残されるでしょう。

そう考えると、やはり好きでなければできない仕事だと思います。

私は何だかんだで新しいものが好きなクチなので、どうにかなっています。
これまでになかったプロダクトによって、世界が変わる瞬間は素晴らしいものです。
だから情報を集めたり勉強したりすることも、結局は好きの延長線上にあるのでしょう。

「好き」を仕事にする。
それは一つの理想ではありますが、仕事としてやる場合には当然ネガティブな側面とも付き合っていかなければなりません。
それらも含めて好きでやっている、そう言えるものを見つけることが一番ではないでしょうか。

そういう意味では、今のところこの仕事をしていて良かったと思っています。

以上、ここまでお読みくださりありがとうございました。


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