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ストーリーを紡ぎブランドを醸成する、Goodpatch PRの奮闘記

この記事はインハウスエディターAdvent Calendar 2021 19日目の記事です。

私は自分のことを話すのが苦手で、自社の公式アカウントは毎日見てるのに、個人アカウントは放置しているような人間です。
ですが今年、尊敬するブランドエディターの西丸さんが素敵な企画をしていると聞きつけ、思いきって挙手してみました。

この錚々たるメンバーの中で、私は何をお伝えできるのだろう。。考えていたら、あっという間に担当日。

私は2017年にGoodpatchにライターのインターンとして入社し、オウンドメディアGoodpatch Blogで非デザイナーのビジネスパーソンに向けたコンテンツマーケティングを担当していました。
↓ 例えばこんな記事。

ライター時代に、1人広報をしていた高野に声をかけられ、アシスタント的にPRの仕事を担当するようになった経緯があります。
その後、カルチャー再構築フェーズにおけるPeople Experienceの向上や、国内デザイン会社として初のIPOブランディングなどを経験。最近では創業10周年PRに携わり、10周年社員総会で全社MVPに選んでいただきました。

今回は背伸びせず、ライターだった私がGoodpatchという会社のPRになり、4年かけて学んだことを書いてみようと思います。
インハウスエディターや、PR見習いの方に読んでもらえるとうれしいです。
少しでもご自身と重ね合わせて読んでもらえるように、4年間をいくつかに区切り、学びなどを振り返ってみます。


2017〜2018年:何を書けばいいのかわからない期

まずGoodpatchは、情報発信の文化が根付いている会社です。
代表や社員のSNS・ブログをはじめ、オウンドメディアの記事、主催イベント、動画コンテンツなど、発信の量やチャネルは様々です。(12月は毎年、社員がリレーするアドベントカレンダーだけで75記事発信しています🎄)

「どうしてそんなにネタがあるの?」と不思議に感じる方もいらっしゃると思います。実は私も入社したてのころ、そう思っていました。

オウンドメディアのいちライターから、広報として目標を持つようになってからも、何をどのように伝えていけば良いのか、分からなかったのです。

何を書けばいいのかわからない期あるある

✔︎誰が読むんだというネタを無理やり考えてはボツになる
✔︎「こうしてみたら?」と上司に助け舟を出してもらわないと記事やリリースが書けない
✔︎発信することが目的になっており、事業や組織から逆算されていない

振り返ると「なぜやるのか」ではなく、「何をどうやるのか」ばかりに意識が向いていたように思います。
例えば「社会の流れがこう変わっていて、事業の方向性がこうなっていくから、こんな人を採用したい。そのためにこんな発信を増やしてみよう」といった考えた方ができなかったんですね。

GoodpatchのPR思想は、点(社内のトピックス)を打ち続け、線(ストーリー)でつなぎ、面(ブランド)にするというものなのですが、当時は点しか見ていなかったように思います。

自分ひとりで考えているから、事業のことも組織のことも分からない。でも「こんなことも知らないのか」と思われるのが怖くて、聞きに行けない。だから何が課題なのかが分からない。そんな状態で作るアウトプットなので、自分でも正解だとはとても思えません。

仕事の目的が、指摘をされないことにすり替わっていて、情報を届けたい人の気持ちや体験を、本当の意味で考えられていませんでした。

この「何を書けばいいのかわからない期」は裏返すと、「誰かが最後は決めてくれる」と甘えていた時期でもありました。
矢印が自分に向いていて、自分のことしか考えていなかったのです。

2019〜2020年:教えることで学ぶ期

PRチームに新しいメンバーが加わり、教わる立場から教える立場になることに。今まではフィードバックをもらう側だったのに、今度は自分でクオリティをジャッジして、この会社におけるいい・悪いを言語化する機会が増えまくります。

この時に初めて、今までもらったフィードバックの裏側にあったWhyについて考えました。例えば、Goodpatchの発信するコンテンツが、URLの文字列から写真に至るまでこだわり抜かれているのは、デザイナーやエンジニアに信用してもらうため。好きになってもらうため。すべてがデザインの力を証明するためにあるのです。

自分たちの基準が、デザイン業界の基準を作ると考えたら、中途半端なコンテンツにGOは出せない。

「あの時あの人が言ってたことって、こういうことだったのか」と、答え合わせすることが増えました。(だいぶ時間はかかりましたが。)

教えることで学ぶ期あるある

✔︎教えてる最中にいい言語化ができて、ブレークスルーが起きる
✔︎たまに「自分でやった方が早いのでは?」と考えがよぎる
✔︎でもチームで掛け算の仕事ができた時の充実感がハンパない

2019年の思い出深い仕事のひとつに、Goodpatchの採用デックがあります。
私はライティングを担当し、BX(ブランドエクスペリエンス)デザイナーがデザインを担当した初めてのコラボ案件。この頃にはもう、自分のアウトプットに自信が持てないということは少なくなっていました。

今もこれを見て応募してくださる方がたくさんいらっしゃいます。

このコラボ以降、BXチームと一緒に自社のブランドを醸成する仕事が増えてゆきます。
「夢かなう」という意味を持つ青い薔薇を起点にストーリーを展開した、IPOブランディング。

私たちが誰のために、何のためにデザインするのかを示す「Design to  empower」というキャッチフレーズも、BXチームが考えてくれたもの。
IPO直前にリニューアルしたコーポレートサイトや、ブランドムービーにも展開しています。

2021年:やりたいことだらけ、フィーバー期

そして今年です。4年前、何を書けばいいのかわからなかった頃とは比べ物にならないくらい、伝えたいことがたくさんあります。そんな今、私がGoodpatchでストーリーを紡ぐ時に大事にしている観点を置いておきます。

💙「情報」だけではなく「感情」を伝える

ストーリーを語るためには、舞台(企業)にいる登場人物たちのことを知る必要があると思います。例えば社員のインタビューコンテンツをつくるとき、最近はこんなことを考えるようにしています。

・どんな想いで今ここにいる人なんだろう?
・この人にとっての喜びってなんだろう?
・挫折や失敗をどう乗り越えてきたんだろう?
・昔と今で変わったのはどんな部分なんだろう?
・「一見こう見えるけど、実はこう」な一面はどこだろう?

どんな会社でどんな仕事をしてきたのか、どこの大学を出ているのか、といった「情報」だけではなく、登場人物たちの「感情」をお届けする。そうすることで、共感できたり、応援したくなるようなストーリーが作れるのかなと感じています。

💙ギャップや矛盾、「不完全さ」に注目する

登場人物たちのことを知る時、特にポイントとなるのが失敗や挫折体験。
それをどう乗り越えてきたのか、乗り越えたことで以前と比べてどんな変化があったのか、という部分は共感されるストーリーに欠かせない要素です。

キラキラしたエースに見えるけど、昔はそうじゃなかった。
楽観的に見えるけど、実は何度も修羅場を経験している。
…など、その人を構成する要素を多角的にとらえることで、ストーリーに奥行きが生まれ、共感を呼びやすくなります。

余談ですがGoodpatchでは、創業10周年を迎えるにあたって、社員に共通する価値観やDNAを探るために50名以上にインタビューを行いました。

そこで数々の社員が、口裏を合わせたわけでもなく、Goodpatchらしさを「泥臭さ」「真っ当なことをやる」「うまくやるより前に進める」と表現したのです。私たちはともすればイケイケな会社に映るかもしれないけれど、そうじゃない一面を打ち出すことで、意外性や深い共感をもたらせるかもしれない、と感じました。

そこで実際に公開した記事の一例がこちら。この記事を読んで応募ページを訪れる読者も多かった、お気に入りの1記事です。今年入社したメンバーにも、当時この記事を読んで衝撃を受けたんですと聞いた時はうれしかった!

💙自分以外の視点で考え、文章にしてみる

GoodpatchのPRは、経営者や事業責任者の視座でストーリーを紡ぐことが求められます。

彼らがどんな視点で社会と向き合っているのかを知り、ステークホルダーとの接点に言葉として落とし込むことで、採用や文化、事業にも良い影響を与えられると私は信じています。

自分以外の誰かになりきってものごとを考えると、まだ未知の領域がたくさんあることが分かりますし、もっともっと勉強しなければ…という気持ちになります。

もしあなたが今働いている会社の経営者だったら、
社員に向けてどんな言葉をかけるでしょうか?

もしあのサービスの事業責任者だったら、
事業立ち上げに込めた想いをどのように語りますか?

もしあなたがマネージャーだったら、
どんな人と働きたいですか?どんな求人票を作りますか?

私が経営者やマネージャーの視点に立って書く文章の一例に、社員総会のMVP表彰式で贈られる言葉があります。私は賞状に載せる文章のライティングを、かれこれ2年ほど任せてもらっています。

舞台上で代表がメッセージを読み上げ、賞状を贈る表彰式

キャリアというその人のストーリーの中でも、忘れられない特別な記憶にするために、愛情を込めてしたためるラブレターのようなお仕事。
マネージャー視点だけではなく、受賞者にとって思い入れがある言葉や、Goodpatchらしさを表すコアバリューなど、様々な視点を行き来して毎回贈っている言葉。「あの文章をテキストだけで送ってほしい!」と言ってもらえた時、ああ書いてよかった!と思えるのです。

10周年の社員総会では自分が言葉を贈られる側でした(サプライズだった)

さいごに

ライターだった私は、4年ほどもがいて、PRとしてブランドづくりの楽しさをようやく享受できるようになりました。
折れずに来られたのは、Goodpatchで出会った人たちのおかげ。
だめな時もいい時も向き合ってくれる人、信じてチャンスをくれる人、隣でミッションを半分こしている人、突然ゆるい雑談で和ませてくれる人、実は意外と見てくれてる人…。
「この人の役に立ちたい」と思わせてくれる人とたくさん出会えました。

来年はどんな出会いがあって、どんなストーリーが生まれるのか。
ホリデーはひと休みして、また来年からもブランドを耕し続けたいなと思います。

インハウスエディターのアドベントカレンダーもラスト1週間🎄
12/20(月)に登場されるのは、SmartHRのふじしゅんさんです。このカレンダーではSmartHRのエディターの方が何名も参加してナレッジを発信されていて、コミュニティに還元しようとする姿勢を見習いたいと思いました。実践的な内容が詰まっていると思うので、ぜひすべての記事をご覧ください!

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