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タイ・パタヤのビーチで、”ワーケーション”を体験してみた

  Work(仕事)とVacation(休暇)を組み合わせた造語。テレワーク等を活用し、普段の職場や自宅とは異なる場所で仕事をしつつ、自分の時間も過ごすことです。余暇主体と仕事主体の2つのパターンがあります。

観光庁

 この意味を表す言葉、わかりますよね? はい、「ワーケーション」です。働き方改革やリモートワークなどの促進により、「場所にとらわれない仕事の仕方」が可能になりました。PC一つあれば、仕事をすることができる時代です。特に、フリーランスとして、私は「毎日午前9時から午後6時に、どこかの事務所に出勤する」という生活ではなくなりました。タイのカウンターパートからも「月の何日かはタイで仕事できたりしないの?」というお誘いをいただき、「それもありだなー」と思ったり。そこで、前回紹介したシラチャから、車で40分ほどのタイ有数の観光地・パタヤでの休暇も兼ね、ワーケーションの可能性について探ってみました。


タイ有数の観光地・パタヤとは?

 タイ・パタヤとは、タイ湾にビーチが広がるリゾート地で、「バンコクから車で約2時間、スワンナプーム国際空港からは約1時間半というアクセスの良さと美しいビーチと多彩なマリンスポーツが年間を通じて楽しめる」(タイ政府観光庁)リゾート地です。

タイ湾のビーチに沈む夕日=2023年8月30日

 今回で12回目のタイ渡航でしたが、いつも、バンコクに着いたら、仕事で東北に向かったり、南部に向かったり。観光という観光はあまりした経験がなかったので、せっかくならば、パタヤで1泊して、休暇を楽しんでみることにしました。

ビーチの場所を確保! 海を見ていると仕事依頼が

 パタヤのビーチには、たくさんの寝ころべるデッキチェアが広がり、そこを1日当たりの値段で貸切ることができます。私が声をかけたところは、「1日ずっと大丈夫よ~」と言われながら、1日50バーツ(約200円)。リゾート価格を覚悟していましたが、のんびりできる場所を格安で無事にゲット!

ビーチを見ながら寝ころべるデッキチェア。沖合では、水上バイクで遊んだり、パラセーリングを楽しむ人も=2023年8月31日

 ビーチでのんびりしつつ、お世話になる団体では「きょうは時間があるから、何か仕事あったら動けるよ~」と話していると、こんな連絡が。

 私としては「これは、ワーケーションの体験ができるチャンス!」と思い、快諾しました。ある広報用の資料をつくってほしい、という依頼でした。

Wifi環境はどうする?

 ただ、ビーチなのでネット環境はなし。ネットがないと、その資料をつくるためのサイトにはアクセスできない・・・。

 タイでは毎回、空港で「トラベラーズSIM」を購入します。タイでは「AIS」「DTAC」「TrueMove」の3社が空港で旅行者用の数日単位のSIMを販売しています。私は、特にこだわりがあるわけではありませんが、最初に購入した「True」を毎回購入しています。8日間で299バーツ(約1200円)。今回も購入し、300バーツを渡しましたが、残念ながら1バーツのおつりはくれませんでした。笑

TrueのトラベラーズSIM

 そのSIMを使い、スマートフォンのテザリング(スマホを『モバイルルーター=データ通信専用の小型通信機器』のように使って、パソコンやタブレットをインターネット接続させる機能)で、PCにつないでみましたが、「十分に仕事ができる!」

 こんな感じになっていました。

パタヤのビーチでPCを操作する筆者=2023年8月31日

気づけば呼び名は「シャチョサン」

 パタヤビーチでの仕事の環境はというと、「まったく問題なし」。テザリングでつないだPCのネット速度も問題なく、日頃、日本で仕事をするのとほとんど変わらない環境で仕事をすることができました。

 依頼してもらった仕事は、約1時間ほどで完了。前日も電源のないところで仕事をしていたため、PCの充電が不完全で、最後に電源が切れて納品はホテルに戻らざるを得ませんでしたが、十分に仕事を終えることができました。ただビーチをボケーッと眺めながらビールを飲むよりも、ひと仕事を終えてから飲むチャンビール(タイのビールの種類の一つ。像=タイ語で『チャン』のマークが特徴)は、さらに格別でした!

大好きなパッタイを食べながら、ビーチを望んで、ダウンロードしたNETFLIXを見る=2023年8月31日
売りに来たイカを、ビールのあてに購入=2023年8月31日

 ビーチの椅子を貸す店員さんからは、最初は英語で話しかけられていましたが、PC作業をしていたからか、途中からは「シャチョサン」と呼ばれるように。いや、社長さんならば、もっと優雅で豪勢な休暇を過ごしますよ。笑

結論・・・「タイでワーケーションは十分に可能!」だが

 今回、タイでワーケーションの可能性について体験してみました。結論から言うと・・・十分に仕事できる! ネット環境さえあれば、十分に文章を書いたり、写真を送ったり、調べ物をしたりできることが分かりました。Zoomなどのオンライン会議は機会がありませんでしたが、トラベラーズSIMでYoutubeなどもサクサク見れたので、問題ないでしょう。

 これで、どこで休暇を過ごしながら仕事ができる! なんて働き方改革だ! と思いました。

 しかし、ビールを飲むうちに、冷静になってきました。

 「働き方改革という名のもとに、『どこにいても仕事をしろ!』という、国が国民に鎖をかけようとしているのではないか・・・」
 
 まぁ、ワーケーションより、ワーカホリックな仕事大好き人間なので、それも良しですが。笑 記者、協力隊、NPOなど、「365日、何かあれば仕事する!」のが当たり前な生活をしてきましたしね。

 ・・・という原稿を、佐賀の自宅でビールを飲みながら書いている、2023年9月8日の夜。笑

パタヤビーチを背景にカンパイ!=2023年8月31日に

山路健造(やまじ・けんぞう)

1984年、大分市出身。立命館アジア太平洋大学卒業。西日本新聞社で7年間、記者職として九州の国際交流、国際協力、多文化共生の現場などを取材。新聞社を退職し、JICA青年海外協力隊でフィリピンへ派遣。自らも海外で「外国人」を経験した経験から多文化共生に関心を持つ。

帰国後、認定NPO法人地球市民の会入職し、奨学金事業を担当したほか、国内の外国人支援のための「地球市民共生事業」を立ち上げた。2018年1月にタイ人グループ「サワディー佐賀」を設立し、代表に。タイをキーワードにしたまちづくりや多言語の災害情報発信が評価され、2021年1月、総務省ふるさとづくり大賞(団体表彰)受賞した。

22年2月に始まったウクライナ侵攻では、佐賀県の避難民支援の官民連携組織「SAGA Ukeire Network~ウクライナひまわりプロジェクト~」で事務局を担当。

2023年6月より、地球市民の会を退職。同8月より、個人事業「人とヒトの幸せ開発研究所」を立ち上げ、多文化共生やNPOマネジメントサポートなどに携わる。

サポートをお願いします! ウクライナ避難民の定住化や、終戦後に向けた復興、外国人材受け入れの生活環境整備など、基金として活用させていただきます。