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2020年3月に読んでよかったテキストたち

こんばんは、けんず(kenzkenz61)です。

無事に2回目を迎えることができたこの企画。今月も、このひと月で読んでよかったテキストを紹介します。自分の備忘録と、誰かへのおすそ分けとして。

さっそくいってみましょう。

1.使いたくないことば

ことばには「考えてきたこと」「大事にしていること」が無意識に反映されると思うから、辞書で答え合わせをするのは意外といい方法なのかもしれない。話していくうちに、その人の辞書がパラパラと見えてくる。

ああ、わかる。となったnote。

本人にその意思がなくとも、誰かに牙をむくことばを言ったり書いたりする、そういう人が苦手です。それを「違和感のあることば」と表現するこのnoteからは、そこにさえ思いやりを感じました。

同じ辞書を持つ人とだけ付き合っていくのもいいかもしれないけれど、優しい辞書を一緒に開ける人を増やしていくことも大切にしたいです。

2.「誰のために書くか」で、「わたしのため」を選んでもいいんじゃないか

ペルソナを決めないということは、コンテンツづくりにもつながってきます。僕自身は、「超個人的」な人生の題材から問いを立てて、コンテンツを企画しています。超個人的で属人的なものづくりが、結果的に読者に刺さると思っているので。

3月の自身の大きな変化として、「Wasei Salon」に入りました。そのことを聞きつけて、友人が紹介してくれたインタビュー記事。

何のために書くのか、的な問いが自分の中で堂々巡りしている最近ですが、その答えになれば、と思って紹介してくれたんだろうなと、彼からの優しさと期待を感じました。ありがたい。

エッセイの効果って、即時的に役立つものではないのだから、まず自分が読みたくて、書きたいものを。それがゆっくりとめぐりめぐって、見知らぬあの人の背中も押せたなら嬉しい。

わたしの人生のことを書けるのは、わたしだけなのだから。

3.普通の人生こそ、書く価値があって、読みたくなる

本にするために読み返していて驚いた。毎回、普通のことばかり書いている。普通の、私の、人生の話だ。回数にして八十回弱。たぶん私だけじゃなくて、誰の中にも、八十回分くらいは食べものの話がひそんでいるのだろうと思っている。

人生つながりで次はこちらを。

3月上旬まで、食にまつわる共同連載マガジンに参加していました。その期間に読んだ一冊。

ごはんの話って、今でも印象に残っているとびきりのご馳走、みたいなものも絵になるんだろうけど、今日もたべる、明日もたべる、そんな何気ないごはんにこそ、大切にしている感覚だとか、こぼさずにすくい上げようとしているものが色濃く表れている気がします。

ゆるゆると、残り78回分、ごはんの話を綴っていきたい。

4.詩の持つエネルギー

朝焼小焼だ
大漁だ
大羽鰮の
大漁だ。

浜は祭りの
ようだけど
海のなかでは
何万の
鰮のとむらい
するだろう。

ポストに月一で投函される町内機関誌。普段は開かず捨てるのですが、なんとなくページをめくっていると金子みすゞさんの特集が。先月「詩歌にアンテナを立てたい」と言っていたら、さっそく出会えました。

上記は『大漁』という詩の全文です。たったこれだけのことばで、強烈な場面転換と、メッセージ。

詩は、日常生活で最もエンカウントしづらいテキストのひとつと思っていたけれど、それはわたしの思い込みだったのかもしれないです。もっと読みたいと思い、本まで買いました。立てたアンテナに見事に導かれているのが嬉しいです。

5.“くもらせてしまうおそれ”に隠した強い意志

そのためにまず、履歴書から顔写真をなくすことに踏みきりました。
写真を見れば、意識せずとも「容姿」の印象が
こころに刷りこまれる。
そして、能力をもつ人を選ぶフィルターを
くもらせてしまうおそれすらある。

今までの自分たちの方針、これまで「いたみ」を与えて続けていたかもしれない方々、そういったものを全部ひっくり返して、新しいスタンスを世に示す。

この広告、ともすれば、これまでは性別や容姿を重要視していたことを白状したか、と捉える人も出るわけで。だからきっと“くもらせてしまうおそれ”に込められている意志とか決意みたいなものは計り知れないなと。

少なくともわたしは、この広告から強くて肯定的なものを感じました。

6.身近なものを、自分のことばで

意識的に「地元を見る」という行為を行なったのは初めてだっただろう。今はインターネットで検索してしまえば、情報をすぐに取得できるようになった。自分の言葉を持たなくとも、何かの魅力を語るための言葉を拾うことはたやすい。

最近「3回ほど出会った記事は、とりあえず読んでみる」ことにしています。3回も出会うなら、わたしの周囲の人たちにとって興味関心が高いはずなので。この記事はまさにそのように出会い、読み進めていきました。

わたしは中学まで北関東で暮らし、高校進学を機に上京しました。田舎というほど自然が豊かではないし、都会ほど便利で新しいもので溢れていない。中学生の行動範囲で見てきた地元は狭くて面白味がなくて、つい地元のことを「いいところ何もないよ」と言ってしまいます。

一方、わたしの友人たちは、姫路だったり岐阜だったり名古屋だったり、彼らの暮らしている土地のことが大好きで、熱量たっぷりに魅力を紹介してくれます。その度に行きたくなり、今まで縁の少なかった土地が、ぐっと身近に、自分にとって特別になる体験を、この一年で幾つもしてきました。

本当に愛しているもののことは、ありふれたことばじゃなくて、自分にしか紡げないことばで届けていきたいですね。

***

今まで、この記事よかったな、この本面白かったな、と読んで終わっていたのが、書き留めて振り返ることで、読む際の意識も変化した1ヶ月でした。

今月特に大きかったのはWasei Salonに入会したこと。関わる人が拡大し、新しい情報が入ってきた感触があります。

内容自体が興味深い、コンテンツとしてセレクトした要素も多かった気もしますが、必ず一文「その人の芯の通ったことば」があるもの。そこに向き合い、テキストがコンテンツの力を引き出す、その驚きや楽しさを味わいたいと思います。

それではまた来月。


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