日本の田舎から海外のテック企業で働いてみようぜ
さて、一つ前の記事からずいぶん時間があいてしまいました(ということを記事を書くたびに冒頭に書いています)。
今回も、上述の記事と同様に「エンジニアと人生」というオンラインコミュニティ上で展開されているアドベントカレンダーの企画で書いたものです。前日はSugiura Mitsumasaさんの僕がエンジニアになったきっかけでした。
カナダの大都市トロントから、日本の田舎松本市に引っ越しました。
今、私は長野県松本市でこの文章を書いています。 2年半住んだカナダトロントを離れ、私の地元である長野県に引っ越してきました。
松本市は人口25万人ほどの地方都市なので田舎というと怒られそうです。今まで住んできた東京(言わずもがなの超大都市)・ベルリン(360万人)・トロント(300万人)と比べるとぐっと小さくなったので、勘弁してください。
カナダを離れた理由は、長期化するコロナの影響が、自分のメンタルを着実に蝕んでいたからです。
現在もその過渡期にいるので、客観的に言語化するのは難しいのですが、決断の時が来たのは2021年の夏、トロントであいかわらずフルリモートでShopifyのエンジニアとして働いているときでした。
全ての同僚とスクリーン越しでしか会話せず、重要な機能の開発を数ヶ月にわたってやっているときに「あ、俺はこのままだと仕事をこなすだけのマシーンになってしまう」という感覚が自分の中に生まれました。
求められるインパクトを出し続けるために、自分のワークライフバランスを想像以上に切り崩していた、と今になってわかります。
何をするとエネルギーがチャージできるのか、は自覚しよう
この自覚はとっても大切で、自分の場合は「同僚と刺激を与え合う物理的なオフィス環境」が何よりも必要なのだということに気付かされました(これをどう日本でつくるのかは後述)。
こういった「弱音を吐く」行為は話す人を選びます。話す人の中には、自分の経験談をすぐ話し出す人、これをなんとか「解決」しようとしてくる人もいます。それを受け取れない気分のときは、同僚や周りに自分の気持ちを伝えることも遠慮していました。
もちろん、この一年間仕事をこなした中でいくつも技術的に学んだことはあるのですが、この記事は人生にフォーカスします。技術記事は https://zenn.dev/kenzan100 で発信していくので、そちらを参照ください。
日本の田舎から海外のテック企業で働くことについて
本来はこれが本題で、いろいろとメリット・デメリットをお伝えできればと思ったのですが、現在引っ越し期間有休消化中(日本企業だと一般的ではないのでしょうか?)で、実際に仕事を開始していません。。
現時点でお話できることをいくつか挙げるとすると、
日本を5年半ほど前に出て、 ドイツで3年半、カナダで2年働いて、(空路の関係上)世界を一周して日本に帰ってきました。
この間で転職が3回・昇進が2回あり、年収は三倍ほどになりました。
日本の感覚で言うと、海外に出てユニークな経験を積んで帰ってくることができたので、客観的にみたら成功した渡航歴なのだなと思います。
こういった帰国者に多いのは「海外ではこう」という解像度の荒い意見の押し付けです。自分の体験をシェアするときは心がけて「2016年のドイツ・ベルリンはこうだった」「コロナ禍のカナダ・トロントはこうだった」という、ピンポイントで意見をシェアします。もし「海外ではこう」と私が書き始めたら、遠慮なく突っ込んでください。
逆に6年ぶりの日本で住む感覚はどうか
日本で住民になるのは2016年頭以来です。日本がどう変わったか、ということに関しては、やはり改善がめちゃくちゃ得意な文化をそこかしこに感じます。破壊的なイノベーションは苦手で、SDGなどの外圧があったとしても、現在の延長線上に当てはめる形でなんとなく変化が訪れる、というパターンがあるように思います。
この雰囲気に共感される方は、本質的にインパクトのあることを成し遂げたい場合、日本以外の場所を志向する、という姿勢を持つのではないでしょうか。「日本ではなく、とにかくここ以外のどこかで」という気持ちになる自分がいます。
日本、特に自分を育んでくれた長野県の諏訪地方には大変愛着があるので、この気持ちをどうやって今後昇華していくかが個人的な課題です。
Shopifyは、世界共通の待遇で完全フルリモートが可能
Shopifyという現在私が働いている会社は、オフィスを完全に捨てました。Digital by Designというお題目で、世界のほぼ全ての場所から働くことを可能にしています(現地での就労環境を改善するために、EMEA/APAC/NAで拠点となる国・都市は未だありますが、オフィスという地点には一切縛られていません)
この環境を最大限活かすためにできることは、おそらく 日本の実家の近くから、今まで変わらない待遇で働くことだなと思い、それをリードに伝えて、許可がおりました。
コロナの変異種が予断を許さず、そして各国での流行には今後もズレが起きるので、おそらく2022年もコロナ警戒中という世界情勢が続くでしょう。
密を避けるためにも、自然に近い日本の田舎でアウトドアライフ、また実家・家族との時間を過ごせるようなものが、コロナ禍での最適解だと思っています。
現に周りでもコロナ出産というか、このタイミングで育休に入る同僚などがぐっと増えたように思います。この時期に会社の制度をめいいっぱい活かしてリチャージしよう、という会社との距離感で働くのが、ちょうどよいと思います。
今後、地方は都市に勝てるのか
さて、地方から世界に向けて働く・発信するということは何度も言われてきたテーマだと思いますが、コロナが不可逆的にそういった「都市からの労働人口の流出」を決定づけるのかという議論は、意見が別れるところです。
自分はもちろん地方に活力がうまれる世界をつくるために活動していきますが(その方が長野出身である自分にとってメリットが生まれるため)、
都市がもつ文化的魅力、一流の人が集う場所、という価値がそんな簡単に薄れることはないだろう、という見方も十分納得できます。
自分が今後試していくのは「二拠点生活」と「ワーケーション」の組み合わせで、日本の地方を同列に扱うのではなく、理想の人の流れ、お金の流れ、環境に配慮した暮らし、をピンポイントで見つけていくことです。
都市に住んでいても慣れで鈍化する感覚
都市には確かに文化があり、そこを目指して集まってきた人が切磋琢磨する環境はありますが、「一個人」として生きるにあたっって、私たちはそれにどれだけ好奇心をもってアクセスできているでしょうか。
ともすれば、それまでにその都市で培った関係性が固定化し、都市がもたらす多面性を一個人としては享受していないのではないでしょうか。
人が変わるには、周りの人、時間の使い方、暮らしている環境のいずれかが変わらないといけないと偉い人が言っていました。
それを真に受けると、地方に移動することや、新しいライフスタイルを地方で模索することそのものが極上の刺激になるとは思います。それを志向していきたいと思います。
また、打ち込めるもの、オンラインも交えた濃い関係性の構築も必須だと思います。私はボルダリングが趣味でやっていますが、過去の自分を超える、という目標は、とても健全です。
もしメタバースがオフィス環境がもたらしていた濃いコミュニケーションをフルリモートでつくりかえられるのであれば、地方から働く人にとってさらに良い未来が待っているでしょう。
まとめ
なぜカナダから日本の田舎に引っ越してきたのか。
世界を一周することで、何が変わったのか。
今後、どういう生活をなぜ志すのか。
といったことについてツラツラと書かせていただきました。まとまりの無い文章でしたが、ここに書いてあるのは一個人のリアルな体験談です。もし共感するポイントあったら、ぜひ感想お聞かせください。もしくは周りの誰かに「こんな人がいたよ」とお伝えください。
https://twitter.com/jp_miyama にてお待ちしてます。
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