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エンジニアと人生:2020年が私に与えた影響

2020年がまもなく終わります。

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Photo by Kelly Sikkema on Unsplash

エンジニアと人生 Advent Calendar 2020 8日目の記事です。7日目は 佐々木 謙さんの 2020年の振り返りと2021年に向けて という記事でした!

さて、エンジニアと人生というテーマで今までをふりかえる機会をいただきました。半生について書こうかと思ったのですが、未完の大作になる予感しかしません。今回は2020年に絞って書きます。

それにしても、2020年は中々の大物でした。

時系列

1月:トロント市内でAirBnBの住居から一年契約のコンドミニアムに引っ越した。
4月〜8月:フルリモートの就職活動をして、Shopifyに転職した。
6月〜10月:コロナの影響が長期化、心と身体の健康を保つ努力をした。
11月〜12月:2021年の見通しが立たない中、「サバイバルモード」に集中している。(いまここ)

コロナの影響

コロナの影響は世界的にみて類を見ないものとなっていますが、個人的にも相当なダメージを受けました。

まだ春夏はコロナの影響は感じるものの、仕事、プライベートともになんとかしていたように思います(忘れているだけかも)。ちゃんとした家と呼べる場所に引っ越し、天気がよくなる時期だったことも、プラスに作用しました。

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家の近くにあるミニビーチ。


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家から働く環境。ほぼ一年を通して変わっていません。モニターやウェブカムをアップグレードしたくらいです。


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3月18日時のオフィス近くのフードコート。このあたりから目に見える形でコロナの影響を感じ始めました。でも、長期的なインパクトについてイメージできていなかった。


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おやつをつくってみたりしました。


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近場の公園。天気がよくて、外で距離を保って散歩する・ジョギングする分にはコロナのことを忘れられました。

フルリモートワークの功罪

ストレスの質が変わったのは、時系列3. のShopify勤務開始9月からです。従業員数が数千人の会社で働くのは初めてで、フルリモートでのオンボーディングも初めてです。

オフィスがもたらす機能のうち、仕事をすすめる「Getting things done」に特化したものは、すでにフルリモートでもできるツールが揃っています。(Slack, Google Meet, Github, etc)この方が生産性が高まる、という調査もあります。

しかし、まだ誰も正解を見つけられていないと痛感したのは、「関係性をつくる」「人、チームの考え方に触れる」機能が失われたこと。英語だとこういう暗黙知を "Subtext" と言うらしいです。オフィスだとランチをともにしたり、ミーティングの前後で雑談をしたりで、自然に学習できたものが、突然なくなってしまいました。

これはコロナ以後にオンボーディングを受けた人と今までの社員との間で、ボディブローのように質の差が現れてきます。会社も問題を認識していて、意図的に「コーヒーチャット」のようなタイトルで、自分のチームとは関係ない同僚に積極的にGoogle Calendarの招待を送ることが推奨されています。

配属されたチームはなかなかのハイパフォーマンスチームで、入ってすぐに成果をだすことが求められました。無事プロジェクトに貢献することはできたものの、慣れないオンボーディングのストレスとのダブルパンチで、10月後半~11月にかけて、とても精神的にきつかったです。

オフィスがあったとしても仕事のストレスはそこまで変わらなかったでしょう。しかし、オフィスがもたらしてくれていた「関係性を自然につくれる機能」が、実は心のメンテナンスにとても重要な影響を与えていたのだ、ということに否応なしに気づかされました。

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オフィスのあたりまえ。/ Photo by Annie Spratt on Unsplash

サバイバルモード

そんな中で、現在の自分は「サバイバルモード」ともいうべき状態にいます。

精神的に負荷がかかっていることを、素直に認める。
トロント、Shopifyでエンジニアとして働けているというのは、コロナ禍にあってとても恵まれた状況です。それは認識しつつ、だからといって個人個人が感じている負担というものが薄まるわけではありません。現在が非常事態であること、それが自分にどれだけストレスであるか素直に感じることが、第一歩でした。

Mindspaceという瞑想アプリをやっていますが、一週間のうち数回、毎回10分程度でも、「なにもしていない状態」をつくることで、自分の状態を素直に感じることに役立ちました。


この機会に、人生で最も重要なことに思いを巡らす。
Shopifyは今年のかなり早い段階で Digital by Default というコンセプトで永久的なフルリモートワークに舵を切りました。オフィスがもつ役割も、今後がらっと変わるようです。

それを受けて、かなりの数の同僚も、オフィスセントリックではない働き方、ライフスタイルを実現するために色々なトライをしています。実家から働ける人はそちらに居を移したり。

私のリードのアドバイスで心に響いたのは、"Optimize for your personal life first. Then optimize for work, and other things that follow". まずは自分の人生の最適化を図りなさい、というメッセージです。

今までオフィスがもたらす機能を最大限に活用するという大前提で決断をしてきました(4年半前の海外移住もその一つです)。その考え方が強制的にリセットされた状態です。

日本で働き始めたときから数えると、過去十何年間、当たり前の行動指針だったものを変えるのは容易なことではありません。が、これをまたとないチャンスだと捉えることもできます。

オフィスという集権的な機構がなくなったとしたら、会社のダイナミズムはどう変わるのか。今までないがしろにしてきた価値で、実はそっちのほうが重要だったものはあるのか。

次の生産年齢後半、もしかしたら全く想像していなかった人生を設計する機会かもしれません。そのとき、どこに、誰といるのか。想像力を試されています。

2021年を迎えるにあたって

抱負:主にShopifyでインパクトを出すというふりかえりで、下記三項目を考えてみました。

・物事を理解する解像度をあげる。
・ストーリー仕立てで話を組み立てる。
・「終わりの状態」を考える。

中心にあるコンセプトは、集団で会話するときに、着実にインパクトを出すために必要なこと。Shopifyに入ってみて驚いたのですが、数千人の大企業にも関わらず、末端のチームへの権限移譲がかなりの範囲で進んでいます。チームにもよりますが、かなりの物事がアドホックに、会話ベースで進んでいきます。

その中でインパクトを出すには、上記のような集団での会話をドライブする能力が必須だなと感じています。

長期的に夢を描く

蛇足かもしれませんが、私が考える理想の働き方、人生の過ごし方とはなんなのか、これを機に思いを巡らせてみました。下記キーワードだけ並べ散らかしています。

工房・アトリエ。作品を出す。作品によって認知される。ものづくりを継続的にする。個人の作品という範囲と、スケーラビリティが両立できている状態をつくる。知の巨人になる。新しい物事の視座を、社会になげかける。サロン。新しいアイデアが集う場所を物理的につくる。

つくりたい場所のイメージ

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松岡正剛さんのミーティング兼書斎

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1,500万再生の Hardware / Software mix geek. 工房。

あとがき

エンジニア要素がゼロの「2020年が私に与えた影響」を書きました。人生要素はたっぷりです。最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。ぜひ感想メッセージいただければ幸いです。Twitterはこちら。

エンジニアと人生 コミュニティの Advent Calendar、明日は d0ne1s さんの記事です。お楽しみに!

(cover photo by Tim Mossholder on Unsplash)



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