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2016年3月:ベルリンでエンジニアとして働くことになりました。

Photo by 🇨🇭 Claudio Schwarz

https://kenzan100.hatenadiary.jp/entry/2016/02/21/174638 の転記。日本語ブログの一本化を考えていて、その一環です。

(日時の文脈は、2016年2月当時のものです)

突然のご報告ですが、来月頭よりベルリンでエンジニアとして働くことになりました。この場を使って、働くことになった経緯と今後の展望を書きます。これから海外でウェブ系のエンジニアとして働く人の参考になれば幸いです。

まず私の属性ですが、31歳、文系出身、主にRuby(Rails)でウェブアプリを書いています。エンジニア歴五年くらいです。プログラミングを始める前は、大学時代に友達と始めた会社でゲームをつくっていました(会社は存続していて、2016年現在8年目です)。

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こんなゲームをつくっていました

主に日本のスタートアップ企業で働いてきました。DB設計/インフラ構築含め、一からウェブサービスを開発することもあれば、既存サービスの登録者数を2ヶ月で倍増させる施策に携わることもありました。

昨年はひょんなことから、ニューヨークの選抜式のプログラミングキャンプに三ヶ月滞在しました。そのときの詳細は下記にまとめています。

エンジニアとして働くようになってから思っていることで、また海外に数ヶ月滞在してより強く思うのは、「英語はもはや標準語で、情報のインプット/アウトプットが英語でないことは、成長する上で不利である」ということです。

すこし偏った考え方かもしれませんが、現時点ではそう思います。

理由は単純です。より多くの人に自分の考えを伝えたい人は、母国語が何語であろうと、英語で発信します。情報の母数が圧倒的に大きいので、その中で浮かび上がってくる情報にはみんなが注目します。その結果、さらに英語での情報量が増える。このフィードバックループが働いていると思うからです。

Github、StackOverflow、HackerNews.. こういったサイトに全世界からエンジニアが集まり、英語で議論しています。個人的にも、RailsCastsThoughtbot社が提供するスクリーンキャスト、そして 英語が原著である数々の技術書にお世話になりました。

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ThoughtbotのCTO Joe Ferrisさんは声がとても良い

ベルリンという選択肢

そんな経緯で海外でのエンジニアキャリアへの思いを強くしていた矢先に、複数の方から__「ドイツ ベルリンのスタートアップシーンがアツいらしい」__という噂を聞きました。

実際に日本人エンジニア二人が渡独し会社を立ち上げていたり、他にもグッドパッチさんが海外オフィス第一号としてベルリンにオフィスをつくっていたり

以前の職場の同僚は、世界中のスタートアップを巡る中で、ベルリン発のスタートアップWunderlistの職場環境に強く感銘を受けたそうです。

そのときに、ベルリンのウェブ業界では英語さえ喋ることができれば不自由しない、ということも聞きました。

ワーキングホリデービザの使い道

そして最後に自分の背中を押したのは、ワーキングホリデービザの存在です。

今まで自分の中のワーキングホリデービザのイメージは「異文化理解のための留学の大人版」のようなもので、自分とはあまり関係がないと思っていました。

ただ、就労ビザを取ることの難しさを去年ニューヨークで肌で感じた昨年末、「ワーキングホリデービザで就職先を見つけ、そこから就労ビザに移行する」というやり方があることを知りました。

さらに、私がこの方法を真剣に考え始めたときには、すでにワーキングホリデービザの取得期限が間近に迫っていました。ドイツのワーキングホリデー申請資格は、「申請日に、30歳以下であること」。31歳の誕生日がタイムリミットです。

31歳の誕生日が一ヶ月後に迫っていた私にとって、この期限は「今決断しなければ、人生で選択できるチャレンジの一つが永久に失われる」という類のものでした。

妻には「見通しが甘すぎる」とこってりと絞られましたが、最終的には妻と私二人で、(移住覚悟で)ベルリンに生活の拠点を移す、という決断をするに至りました。

仕事のオファーをもらうまで

ビザが取れるからといって、雇ってくれる(それも自分が望むポジションで)組織がなければ、就労ビザの取得は望み薄です。
自分の現在のスキルセットがどう評価されるのかまったく分からない状態で、とりあえず現地のウェブエンジニア向け求人をあたってみました。

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Berlin Startup Jobsというどんぴしゃのサイトがあり、情報は毎日のように更新されます。

全部で5,6社にレジュメを送り、ベルリンに移住することになった経緯をそのメールの冒頭に書き添えました。結論からいうと、無事そのうちの一社からオファーをいただき、ベルリン到着後すぐにその会社でエンジニアとして働き始めます。

その会社はここ。ドイツ人二人だけでやっている開発会社で、三人目として自分が参加します。https://nerdgeschoss.de/

そのうち一人の Jensというエンジニアは、ベルリンで Swift.berlin というミートアップを主催しており、余暇でサーバーサイドSwiftのウェブフレームワークを自分で開発していたり、技術的に大変面白い方です。

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他の会社からも総じて反応がよかった訳ではなく、この会社だけが今の自分のスキルセットを評価してくれました。雇用はお見合いなのだなと、つくづく思います(もし今エンジニアとして就職活動、転職活動をしている人がいたら、決して一社一社からの評価に気を揉まないでください)。

この会社がなぜオファーをくれたのか自分なりに分析してみると、

1.英語に関しては苦労せずにコミュニケーションできること(ドイツ語が喋れなくてもまったく問題ない、とのことでした)

2.スタートアップでウェブアプリを0から素早くつくる、という経験があったこと。

3.Swiftが出たばかりのときに作ったiOSゲームをGithub上で公開しており、それを気に入ってくれたこと(実は現在の開発環境だとビルドできません.. )

ざっくりとこんな所だと思っています。

この選択を正解にするために

自分はエンジニアとしてまだまだ未熟です。それでも自分となんのしがらみもない海外の開発会社からオファーをもらえたことで、チャレンジする道が拓けました。

ただ、この方法がオススメかというと正直迷います。場所が変わることは強烈な成長ファクターだと思いますが、結果成長するかどうかは、その人次第ですよね。

「日本でまず技術力を伸ばして、それから海外でもどこでも、自分が挑戦したい分野に挑めば良いのでは」という考えにも共感します。ウェブアプリ開発という文脈で、東京のレベルが低いとはまったく思いません。

ただ、自分の場合たまたま「英語で情報をインプットしているときのほうが、よりプログラミングにハマる感覚が強かった(成長実感が強かった)」というイメージがあるので、今回の道を選びました。

あとはこれを正解にしていけるよう、現地で精一杯、願わくば JensとChrisという二人のドイツ人と一緒に「代表作(サービス/プロダクトなのか、ライブラリなのか、はたまた組織そのものなのか分かりませんが)」をつくれるよう、粘り強く挑戦していきたいと思います。

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自分が働く会社のチーム紹介ページ。この "YOU" が俺になります。

似たような経験をすでにしていらっしゃる方、これからしようかどうか迷っている方、そんな方々にとっての一つの視座になれば幸いです。

とりあえず、今一番不安なのは、日本のおいしいお米が食べられなさそうなことと、集団でディスカッションするときに、会話においてけぼりになりそうなことです..

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