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幸福ではなく真理を選んだ物語!『チ。―地球の運動について―』を読みました。

マンガ大賞2021で2位にランクインし、気になっていたマンガでした。
「チ。」という謎のタイトル、地動説天動説などマンガでは見ない分野、
各マンガランキングで上位に入っている、、気になってしまいます!

今、発売している4巻まで読み終わったので、感想を綴ります。

あらすじ
動かせ 歴史を 心を 運命を ――星を。
舞台は15世紀のヨーロッパ。異端思想がガンガン火あぶりに処せられていた時代。主人公の神童・ラファウは飛び級で入学する予定の大学において、当時一番重要とされていた神学の専攻を皆に期待されていた。合理性を最も重んじるラファウにとってもそれは当然の選択であり、合理性に従っている限り世界は“チョロい”はずだった。しかし、ある日ラファウの元に現れた謎の男が研究していたのは、異端思想ド真ン中の「ある真理」だった――出典:Amazon

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めっちゃよかったです。
一気に読みすぎて、疲れました。。。

特に印象に残っているのは、圧倒的な熱量です。
15世紀が舞台の本作品では、天動説が常識として受け入れられ、
教会や聖書が善悪の基準になる時代です。教会の意向に沿わないものは異端として、処罰の対象になります。

本作品では、異端である「地動説を研究する人々」が描かれ、
自らの生涯をかけて、信念を突き通します。
異端であることを恐れず、研究を進める様子が熱いのです!

地動説を信じる側の人は、世界を変えたい とか 思っているのではありません。信じたことを曲げれず、自分に嘘がつけないだけなのです。地動説は異端研究です。世の中の常識には反しますし、処罰の対象で、場合によっては死刑ともなります。でも、曲げられないんです。

めっちゃ熱い。


本作品を読んで発見がありました。
マンガや小説、映画で本当に出会いたいものの正体です。

マンガや小説、映画などフィクションで見たいのは、
マンガみたいにカッコイイ技を見たいのではなく、
小説みたいに高度なトリックを見たいのではなく、
映画みたいに迫力あるシーンを見たいのではなく、
紆余曲折ある人間ドラマということです。

もちろん、カッコイイ技も、高度なトリックも、迫力あるシーンも見たいですが、本当に見たいのは、カッコイイ技を習得する動機や 高度なトリックを仕掛けるまでの葛藤、迫力あるシーンでの達成感だったりすることに気が付きました。

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本作品が熱い人間ドラマになっているのは、迷いがあるからだと思います。

主人公の神童・ラファウは最初から地動説を信じていたわけではありません。むしろ否定しました。この否定の考えから、地動説を信じるに至るまでの過程が面白くしています。「もしかすると、、」からの疾走感は最高です。

さらに、地動説を信じるようになっても、敵が現れます。
異端審問官です。
異端である研究をしている人を取り締まる人です。

理不尽に処刑されることはなく、改心するか選択の猶予が与えられます。
生き様が明確に反映されるシーンです。通過儀礼のように地動説を信じるキャラクターにはこのシーンが訪れます。ここでの心模様の描き方が最高にエモいです。自分で選択し、選んだ結果すべてを受け入れる覚悟が決まるシーンが熱くて、熱くて、心に残っています。

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1巻では、15世紀前半が描かれているようです。一方、歴史的事実としてガリレオガリレイは1633年の裁判において有罪になります。つまり、時代が異なりますね。ガリレオの時代のざっくり200年前が舞台です。

この4巻から、どこで終わるのかも気になるところです!

最後まで読んでいただいた方、ありがとうございました。





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