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noteとSHOWROOMがとった戦略の違い

noteとかYouTubeとかは、誰でもコンテンツを投稿できるメディアです。

あとは、TwitterとかFacebookとかもそうですね。

逆に、テレビや新聞、雑誌などはコンテンツを投稿できる、というよりコンテンツとして出られる人や枠が限定されています。


ここ5~10年くらいの『素人革命』というか『SNSドリーム』というかなんというか、誰にでも実力さえあればのし上がることができる舞台を用意したのは、間違いなくnoteやYouTube、Twitter、FacebookなどのCGMでした。

CGMというのは、ぼくもいま知った専門用語なのですが、『Consumer Generated Media』の略で、きょうこのnoteを書くためにちょっと下調べをしているときに見つけました。

要は、一般ユーザーが誰でもコンテンツを投稿できるメディアのことです。

ちなみに一般ユーザーによって作られたコンテンツのことは、UGC(User Generated Contents)と呼ばれます。


きょうは、『CGMはユーザーのためにちゃんと次のステップを用意しないといけないんだな』という話をします。


さっき、SHOWROOM代表の前田さんの記事を読みました。

>SHOWROOM「前田裕二」は今何を考えているのか 「脱DeNA」で新メディア企業に生まれ変わる


記事のなかで、SHOWROOM事業を始めてから6年以上が経つなかで、思い通りだったことと、思い通りではなかったことを話していました。

そして、思い通りではなかったこととして、『SHOWROOMだけでの発信では満足できない人が出てきたこと』を挙げていました。

ちなみにSHOWROOMは動画配信サービスで、YouTubeよりももう少し配信者と視聴者の距離感が近いサービスです。

想定外だったのが、ファンが増えた配信者がSHOWROOMで発信し続けることに満足できなかったこと。
トップユーチューバーのヒカキンさんでもテレビに出演する。
自分のパフォーマンスを少しでも多くの人に知ってほしいという人は少なくない。
SHOWROOMの次のステップとして、配信者がテレビや映画、雑誌、ファッションショーなどを目指すようになったのは想定外だった。
(記事中より引用)


要はSHOWROOM内で人気の出た配信者が、次のステップとしてテレビや映画など別媒体へ進出するようになったということです。

YouTuberだと、記事に出てきたヒカキンさんはめっちゃテレビに出てるし(あれはYouTuberという職業の認知を広めるなどの、パイオニアとしての意味もあると思いますが!)、あと最近だとヴァンゆんチャンネルというコンビYouTuberが、太田プロに移籍してテレビにも出始めるようになっています。


ただ、言われみるとたしかにそうだよなという話でもあって、SHOWROOMにしてもYouTubeにしても、そこで配信している人たちも、叶うならば最初からテレビや映画に出たかった人が多いと思います。

ただ、テレビや映画は、SHOWROOMやYouTubeと違って、コンテンツを投稿できる枠が限られていて、とても競争率が激しかったり、いま枠に収まっている人たちをどけるのにめっちゃ労力がかかったりします。

それだったら自分でコンテンツをどんどん出しちゃったほうが、てっとり早く活躍できるなと判断して、SHOWROOMやYouTubeなどのCGMというフィールドを選んだのだと思います。

そして、そのCGMの場で実力が認められて、(本来狙っていた)限られた枠であり、たくさんの人に自分のパフォーマンスを届けられるテレビや映画に行けるチャンスが出てきたのであれば、ぜひ行きたいと考える人が多いのは自然といえば自然です。

言い方を選ばずに言うと、こうしてCGMが『踏み台』っぽい役割になることは、宿命なのかもしれません。

もちろん、そうして自分を世に出してくれた最初のメディアを『本拠地』とうか、活動の基盤としてはSHOWROOMやYouTubeでやりたい!と思っている配信者は、たくさんいると思いますが。


そしてこういった動きに対して、SHOWROOMの前田さんは対応策として、(次のステップ先である)テレビの限られた枠を買い始めました。

具体的には、テレビ番組のスポンサーになるということですね。

テレビの枠の一部をSHOWROOMが持って、SHOWROOMと接続させることによって、『SHOWROOMで活躍すればテレビに行けるよ!』ということで、配信者のモチベーションを上げることを目的にしています。

ただこれって、テレビや映画の限られた枠を買うのに、お金がめちゃくちゃかかるんですね。

あと、これだと構造的に結局SHOWROOMで配信することのモチベーションが『テレビに出られるかもしれない!』ということで、モチベーションを外部に依存してしまっている状態になります。

これは、前田さん的には中長的ににはあんまり良くない状態だと判断しました。


そこで前田さんが繰り出した次の一手は、『自分たちでテレビや映画くらいみんなが憧れるメディアを作ること』でした。

――一部の人気芸能人しか参加できない短尺動画メディアを新しくリリースします。これが配信者のモチベーションの1つになるのでしょうか。

新しく作る短尺動画メディアに出ることが憧れとなり、そこに出たことに対して、実家に電話したら両親が泣き崩れるくらいの場所にしたい。
そのために必要なのが作品性や希少性、クローズド(誰でも簡単に出演できないこと)だ。
SHOWROOMはオープンな場だが、この短尺動画メディアはクローズドにしていきたい。
SHOWROOM上でトップコンテンツと思われるような人ですら、出ることが難しい場にしていく。
(記事中より引用)


そしてここまで読んだとき、『あっ、noteとSHOWROOMは違う戦略をとったってことなのかな』と思いました。

noteは『クリエイターの出口を確保する』ということで、日経やテレビ東京など、いくつもの枠が限られた、いわゆるマスメディアと提携して、次のステップをそのまま外に置いておくことを選びました。


つまり、noteもSHOWROOMも、誰でもコンテンツを投稿できる点においては同じですが、SHOWROOMは誰にでもコンテンツが投稿できるわけではないメディアを自分たちで0から立ち上げる道を、一方でnoteの場合は既存の枠が限られたメディアと提携して、そのまま出口として活用する道を選んだっていうことなのかなと思います。


そしてこの方向性の違いは、おそらくnoteとSHOWROOMがそれぞれ目指すところの違いだったり、各企業の思想の違いだったりに起因するのかなと。

ただ『自社メディアのユーザーたちの次のステップを用意してあげる』という同じ目的に到達するために、SHOWROOMとnoteがまったく違う道を選んだ(ようにぼくには見えている)のは、とっても面白いなと思いました。

ということで、『CGMはユーザーのためにちゃんと次のステップを用意しないといけないんだな』という話でした!


▼元ネタツイート


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