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「お金」を使って叩かれる人と、叩かれない人の違い

マーケティング、PRに有効だという文脈で『ストーリーを共有しよう!』みたいな話はよく言われます。

単に成果物を共有するだけじゃなくて、その過程(=ストーリー)も共有した方が、その成果物が『自分ごと化』になる人が多くなって、それだけいっぱい拡散してくれたり、商品を買ってくれたりしやすくなるということですね。

ただ、『ストーリーを共有する』ことの効用は、こういったオフェンス的な側面だけじゃなく、実はディフェンス的な側面でも大いにあるんじゃないか、というのが今日の話です。


「お金」が絡んで叩かれる人と叩かれない人の違い

先日、ZOZO前澤さんの1億円キャンペーンがすごく話題になりましたよね。

賛否両論ありましたが、ぼく自身はというと、あのキャンペーン単独ではなく、実はもうひとつの話と比べながらこの件について考えていました。

それは、『東海オンエア』という人気YouTuberが、超高級時計店で買い物をするという動画です。

当時ぼくは、この2つの出来事を並べて、こんなツイートをしました。

どちらも『お金』に絡んだ話ですが、お金を『使っている』の東海オンエアの動画は叩かれてなくて、お金を『あげる』とまで言ってくれた前澤さんに嫉妬の声が届くというのは、一体どういうことなんだとろうと思っていました。


「知らない」から嫌い、「知っている」から好き

しかし、それが昨日のけんすうさんのnoteを読んで、スッキリしました。

noteのなかで、けんすうさんはこんなことを言っています。

つまり
- 「知らない」と「嫌い」の感情は混合しやすい
- 「知っている」と「好き」の感情も混合しやすい

ということです。

知らなかったら嫌いになって、知ってたら好きになるという法則、言語化してまとめるとすごい単純に聞こえますが、これはかなり頑健性の高い世の真理です。

そして、この法則を上記の前澤さんと東海オンエアに当てはめると、合点がいきます。

つまり、前澤さんのことはみんな『知らない』から嫉妬の感情が沸いて、東海オンエアは視聴者たちが彼らのことを『知っている』から、お金を大量に使っても叩かれないだろうなと。

そして、ここでの『知る』『知らない』というのは、知名度とかそういうことではなく、『ストーリー』を知っているか否かということです。


前澤さんは「知らない」、東海オンエアは「知っている」

まず前澤さんは、ビジネス界隈にいる人たちは、記事などで学生や創業時の話を多少なりとも知っていますが、今回のキャンペーンや月のプロジェクト、剛力さんきっかけで知ったそれ以外の多くの人たちは、大金持ちの前澤さんしか知りません。

そういった人たちにとって、前澤さんは『何の苦労もしないで』億万長者になった創業社長です。

一方で東海オンエアは、YouTube業界のなかでは古参と言えども、それでもたかだか5年程度です。

5年程度であれば、多くの視聴者は東海オンエアの『底辺YouTuber』時代を知っています。

直接は知らなくても、彼らがまだ登録者数が少ないときの話を『最近の思い出』としてちょくちょく動画内で話します。

あと、YouTubeには『アーカイブ』と『レコメンド』の仕組みがあるので、再生回数が少ない昔の動画もぜんぶ残っているし、レコメンドで何年も前の動画が表示されることもあります。

つまり、東海オンエアの視聴者は彼らの『ストーリー』を知っているのです。

以上が、同じ『お金』の話でも前澤さんには批判の声が出てきて、東海オンエアに対しては出ずらい理由です。


「ストーリー」を共有することは一石二鳥

実際、ぼくも『ストーリー』を知ったことによって、その人への印象がガラリと変わった経験があります。

それは、堀江貴文さんです。

ライブドア事件当時、小学校低学年だったぼくは、マスメディアの報道を鵜呑みにして、『ああ、なんかお金が好きそうな人だなあ』という印象を持っていました。

それが大学生になって、堀江さんがこれまでの過去を赤裸々に語った『ゼロ』を読んだとき、『ああ、堀江さんって実はすごく繊細な人なんだ!』と思った記憶があります。


『ストーリー』を共有することは、PRやマーケティングといった正の側面を強化する効果だけじゃありません。

『いま成功してる人も、大変だった時期があったんだ』と思ってもらうことによって、『嫉妬』という負の側面を防ぐ効果もあります。

ぼくたちが著名人の苦労話をイチイチ聞かないと、嫉妬してしまうこと自体の是非は一旦置いておいて、現実として『ストーリー』を共有することは、まさに一石二鳥な戦術なのです。


▼ここ半年くらいのYouTubeトレンドを考察したnoteはこちら


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