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人は外食するとき、「2回」サイコロを振る

マーケティングについてのメモ。


>森岡毅氏単独インタビュー 丸亀製麺・復活の秘策


というか、USJをV字回復させた森岡さんの話を聞いていると、『マーケティング』ってまさに『ビジネスそのもの』だなあということをヒシヒシと感じます。

森岡さんはメディアでよく『希代のマーケター』みたいな取り上げられることが多いですが、やってることはほぼ経営者と同じです。

高校生のときに『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』という本を読んだことがあるんですが、


一般的に『マーケター』と聞いて想像するような、PCを見ながら数字を分析して次なる施策をパーン!っていうより(もちろんそれもあるんですが)、消費者の気持ちになって、最高のアイデアが出るまでウンウンと唸ったり、従業員一人ひとりと向き合って地道に組織を改革したりと、本当に泥臭いことばっかりやってます。


今回の丸亀製麺の例でも、記事を読んでいると、すぐには効果が出ないんだけど絶対にやるべき正しい施策を、愚直にやり続けることの大事さを感じました。


まず、丸亀製麺での森岡さん率いる『刀』の役割は、『ブランドをつくること』です。

森岡さんが目をつけた丸亀製麺の問題点は、『ブランディングという概念が希薄だったこと』でした。

そして、丸亀製麺の粟田社長が創業時から掲げている哲学は、『出来たての感動を届けたい』でした。

実際、丸亀製麺では保存料を一切使わずに、店内で粉から麺を手作りして、『出来たての感動』にこだわってきていたのです。


にもかかわらず、来店客でこの丸亀製麺最大のブランドエクイティー(資産)を知っている人は、5割未満でした。

そこで森岡さんはまず、『すべての店で、粉からつくる。』という丸亀製麺最大の強みを、CMで訴求することにしたのです。


一般的に『マーケティングの力で経営改革!』というと、派手な広告を打ったり、豪華なイベントを仕掛けたりといったことを想像してしまいがちなんですが、森岡さんがいの一番に取り組んだのは、既に丸亀製麺が持っていた資産を、『改めて強調する』ということでした。

むしろ、目先の小さな結果にとらわれて、本来目指すべきブランドからずれた施策を打つことは、逆効果になると言います。

伸び悩む売り上げ対策として客単価を上げようと高価格のメニューを増やしたり、あるいは逆に価格を下げたり、1杯無料にするキャンペーンを打ったりして客数を増やそうとしますが、そういう小手先の企画は、ブランド価値を毀損するだけです。中長期的な視点に立ってブランドを構築するという根本治療をしないといけない。
※記事中より引用


ただ、このCMを打つ際に森岡さんが意識していたのは、『丸亀製麺が他のうどん店との差別化を図る』ことよりも、『外食としてうどんの立ち位置を向上させる』ことだったそうです。

なぜなら、そもそも外食の際にぼくたちがうどんを想起する回数が、他のメニューよりもまだまだ圧倒的に少ないからです。

たしかに言われてみれば、『お昼ごはん何食べようかなー』と思ったときに、カレーやパスタなどは頻繁に出てきますが、うどんはそこまで出てきません。

そんな小さいパイのなかでシェアを奪い合うよりも先に、まずは『外食としてのうどん』の市場を大きくしたほうが、効率が良いということです。

『人は外食するとき、2回サイコロを振る』という話が面白かったです。

人は外食するとき、2回サイコロを振ります。まず「ハンバーグ、ラーメン、うどんなどのうち、どれを食べようか」とジャンルを決めて、その後に、うどんだったら「肉うどんか、カレーうどんか」と種類を決める。マーケティングで重要なのは、まずは最初のサイコロでうどんが出る確率を上げることです。そうでなければ2回目のサイコロは実はあまり意味が無い。言い換えれば、「うどんは外で食べる価値がある」と思っていただけるように、ブランドエクイティーを構築するのです。
※記事中より引用

そして、こういう『市場そのものの拡大』という施策が打てるのは、『市場が大きくなったときにその恩恵を受けられるのは自分たちだ(=自分たちが業界で一番魅力あるお店だ)』という自信を持っているからでもあります。


ぼく自身、ブランディングとかマーケティングとかっていうと、ついつい派手なキャンペーンなど、とにかく目立つことをイメージしてしまいがちなんですが、そうではなくて、その企業なり人なりが持っている魅力を再発掘して、それを伝えるための地道な施策を、愚直に積み重ねていくことが大事なんだなと、改めて感じますね。

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