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「仕事していない自分」に価値はあるのか?

面白い実験が始まっていました。

『私生活の動画を20万円で売る』という試みです。


というか、めちゃくちゃ余談なのですが、このインタビューに答えている遠野さんという方、ぼく1年半前くらいにインタビューさせてもらっていまして。


当時オンリーストーリーという社長に特化したインタビューメディアを運営する会社でインターンしていたのですが、そこで当時『Rist』といういまとは別の会社を経営していた遠野さんをインタビューさせてもらいました。

RistではAIを使った画像認識を軸に事業を展開されていて、特に医療や製造の領域に強かったと記憶しています。

当時話を聞かせてもらいながら、『すごく可能性のある事業をされているなー』と思っていたのですが、そのRistという会社は、京セラグループへ売却されたようです。

遠野さんの本人のnoteを読んでいる限り、おそらく思考の順番的には『Ristという会社が目指している世界を、もっと早く実現するためにはどうしたらいいか?』→『京セラのような技術力のある大企業に買収してもらうのが良い』→『なにか新しい事業を始めよう』だと思います。

『会社のことを第一に思って売却した』という点では、ZOZOの前澤さんと近い経緯かもしれません。


本題に戻りますが、これからそう遠くない未来、AIやロボットが人間の代わりに仕事をしてくれるようになって、ぼくたちはベーシックインカムで暮らせるようになる、みたいな未来が語られることがあります。

そのとき、記事中で遠野さんも語られているように、『そのベーシックインカム分のお金はどうやって稼ぐのだろう?』というのは、ぼくも少し疑問に思っていました。

AIやロボットが富を生み出すと言っても、それはAIやロボットが生み出したのであって、人間が生み出したものではありません。

ベーシックインカムの財源となる税金は、どこからやってくるのだろうというのは、ぼくもうまく整理できていなかったところです。

そこを、遠野さんは、ひとつの解決策として『(仮に働いていなくて)普段どおりの生活をしているだけでも、その様子を価値に変えることができるのか』という実験をしようとしています。


これ、めちゃくちゃ可能性あるなと思っています。

ただそれは、正直『お金になるのか』ということよりは、『自分のなんらかの行動が社会に役立っているという実感を持ちやすい』点で、可能性を感じています。

先週、

というnoteで関連したことを書いたのですが、ベーシックインカム的な世界が仮に実現したときにたぶん社会問題になるのは、『お金のやりくり』よりも『自分という存在が他者にとって必要とされていることを感じられるかどうか』です。


そういう点において、いまGAFAに対して、コンテンツやサービスを無料で使わせてもらう代わりに、ぼくたちが垂れ流しにしている『個人の生活の記録』が、ちゃんと『価値あるもの』として可視化されるというのは、ぼくたちの尊厳にとって、良い側面があるのではないかなと思っています。

(倫理的な問題などは、もちろんこれから議論していく必要がありますが)

ちなみに今回の実験を運営しているPlasmaという会社、実験の応募者に対してメールをBCCではなくCCに入れた(だけで)、プレスリリースを出していました。

今回の実験におけるプライバシーや倫理面の大事を、端的に示すプレスリリースです。


ただぶっちゃけ、これも記事中で遠野さんが同じことを行っていたですが、倫理感をはじめとした『世の中の当たり前』は、時代ともに変わっていきます。

30年前まではネット上に実名や顔出しをすることすらはばかられていたのに、いまYouTubeでは『モーニングルーティン』や『Vlog』といった、日常風風景に(近い)動画が人気です。

それくらい、徐々に『個人のプライベートを晒すこと』に対する価値観も、変わってきているのです。


だから、倫理やプライバシー的な話も、なんとかなりそうだなーという見通しが、それなりに明確にあります。


今回の実験、今後のぼくたちの生活の行方を左右するものになるかもしれないし、待ち受ける課題に対しても対処できそうな点まで含めて、これからの進展に注目です。

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