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「色んな音で色んなダンスをしたいんです」

最近、歳でいうと10〜20歳離れた、若くてフレッシュなダンサーと話す機会がちょくちょくある。

僕はダンス歴24年の41歳なので、ダンス界の世代でも3つ4つ変わってくる。


そんな歳もキャリアも離れた若いダンサーと話しているとよく出てくるのが、「色んな音で色んなダンスをしたいんです」という話題だ。

昨日ダンスバトルのジャッジをさせていただいた。
そのバトルのあとに少し話す機会があったダンサーは、HOUSEとBE-BOPとTAPをやっているという。

一応HOUSEがメインのようだったが、5年後10年後はTAPをメインにやっているかもしれないと言っていた。

その興味のあることをとにかくやってみるという気持ちはよく理解できる。僕も同じように、HIPHOPもLOCKもBE-BOPもHOUSEもそれ以外のジャンルのダンスもつまみ食いをするように色々手を付けてきた。だからこそ痛いほど気持ちが理解できる。

僕のそんな良く言えば縦横無尽なダンスキャリアで手にしてきたものは、ニッチな層のコアな人気と、同世代がどんどん先にいく劣等感と、器用貧乏という言葉だ。


HIPHOPでもHOUSEでも1つのジャンルのダンスを10年磨いてきたダンサーAと、HIPHOP・HOUSE・LOCKの3つを10年磨いてきたダンサーBがいたとする。

ダンスバトルで勝つのは、もちろん1つのダンスを10年磨いてきたダンサーAだ。それはダンスバトルイベントはジャンル分けされて開催されることが多いだ。野球選手とサッカー選手が勝負したってどっちが優秀な選手かを判断することはできないし、そもそもどうやって戦うの?という話し。

では、「チームを組みたいからメンバーを探そう!」となると、HIPHOPとHOUSEとLOCKのジャンルを横断した多様性のあるチームを作りたい、がHOPHOPとHOSUEとLOCKをやっている人が少ない。となりチームが組みにくい。

そうこうしているうちに、同世代で以前は一緒に練習もしていた仲間は、ダンスバトルやコンテストで受賞していき、世間からの見方が「若手ダンサー」から「すごいダンサー」へと変わっていく。その様子を外から目の当たりにしていく。

「この部分では自分の方がうまいのに!」「一緒に練習してたのに!」

自分が取り残された気になってしまう。
いつも横で一緒に走ってたやつが、気づいたら遠く前の方にいる。

「なぜだ!!!???」


渦中にいると「なぜか」を理解することはまずできない。
強がりはいくらでも言える。
でも、自分が本来目標にしてたのは"こういうダンサー"か?
いまの状況を求めていたか?
そのもどかしさは長期的に自分をギュッと締めてくる。


この強烈な劣等感を自ら受け入れて処理できるのなら、まったく問題ないと思う。極論、その人個人の問題なので、他人が口出すとかの問題ではないが、悩んでいるのなら仲間や先輩ダンサーに相談してみるのもいいのではないかとも思う。


真っ白の土台に1つずつピースを積み上げていくフェーズ。
積み上げきったら、無駄なピースをこそぎ落として成形していく。
そしてまた新たにピースを積み上げていく。
でまた綺麗に成形していく。

その繰り返しで芸事は磨かれていく。


何千年も一切変わらない芸事以外は、少しずつアップデートされながら続いている。未来は未知数だ。

苦しみもあると思うが、きっと明るいダンス人生とダンスシーンが、今後何十年、何百年も続くことを夢見ています。

やっぱりダンスって楽しいし素晴らしい。



ストリートダンスって何か不思議で、現役を引退してイベントで会わなくなった人でも、ほぼ全ての人が、家で少し踊ったり、公園で実はこっそり練習しいたり、毎日必ずYOUTUBEで最新のダンスをチェックしていたり、とダンスからは離れないんですよね。

ダンスの楽しさを一度知ってしまったら、抜けられないんでしょうね^^

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