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動物愛護法の数値規制改正案について

皆さんは犬が好きですか?
僕は大好きで、愛犬との出会いがなければ果たして今の自分は生きてこられたのかも疑問に思うくらい救われてきました。
(その記事はこちら)

今日中に動物愛護法の各種数値規制改正案が可決されるかどうかが決まろうとしています。
その内容とは、繁殖犬のケージの大きさに関する決議案で今までよりも狭いものが提案されてると二階堂ふみさんのインスタで知りました。

※数値規制は犬や猫の繁殖業者などに対し、施設の設備や構造、親の生涯繁殖回数の上限などについて定めるもので、環境省令に盛り込まれる計画だ。
その中で特に問題視されているのがケージの大きさについての数値規制。この基準値を下回るものでなければ問題ない、という最低限の数値がこの度提出されました。

これ……
繁殖犬が一生を過ごすことになるケージの大きさが
高さ=体高×1.3
幅=体高×1.1

を満たしていれば何も問題はないって、どう考えても狭すぎるでしょ。
そんな狭い空間で犬たちが繁殖だけを繰り返し強制させられて一生を終えるなんてことはあってはならない。
※ケージの外に出す時間に関しての規制がない以上、ケージの中に一生閉じ込めておくことも法律上問題ないということになってしまう

この改正案を提出したのが、犬猫適正飼養推進協議会と一般社団法人ペットフード協会の会長を兼任する石山恒氏という方。

僕は無知でこの二つの会もこの方も存じ上げなかったのですが、今の日本のペット産業の中で大きな力を持っているのは間違いないようです。
その方がなぜこんな狭いケージの大きさにしようとするのか、といえば繁殖のコスパを上げるためですよね。
繁殖のコスパが上がれば犬の値段も安くなり、買う人が増え、ペットフードやペットショップが儲かることにも繋がるのでしょう。
だからといって、こんな狭いケージに犬を閉じ込めて繁殖だけをさせ続けるなんて、人道的に許されていいはずがない。

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ちなみに僕はペットショップで働いています。
プロボクサーといってもチャンピオンクラスの選手しかボクシングのみで生活することはできないのでほとんどのボクサーはほかの仕事をして生活をしているのですが、愛犬家で実家に愛犬を残して上京した一人暮らしの身としては犬との触れ合いが恋しく、犬に癒されたいとの些細で単純な理由からペットショップで3年前に働き始めました。

今もペットショップで働いているのですが(明日も仕事)、働いている自分だからこそ見えたものについて、ポジショントークをせずに声を上げるべき時は今だと感じるので、現場で自分が感じたこと、見えたことを包み隠さずに書こうと思います。

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このペットショップで働き始めて一番驚いたことは、ペットを誰がどれだけ販売したのかが明確に数字で貼り出されて、販売実績の高い人ほど給料が良くて仕事ができる人だと扱われることだった。
そのため、販売を上げるために手段を選ばないセールストークを使うスタッフもいて、僕は引いてしまうことが多々あった。

僕のお店はいわゆる高級店で、平均価格は50万を超える。
それだけの値段の商品を売るとなれば、お客さんが納得いくように説明するトーク力が必要だというのもわかる。働き始めた当初イメージしていたような、ペットのお世話だけしてれば自然と飼いたいお客さんが買いにくるようなことは中々起こり得ない金額だとは理解できました。
高いのにも理由があり(繁殖環境や健康状態の確保など)、犬の値段を高額にすることは今回の改正案のような薄利多売傾向を促進するものとは違うベクトルのペットの未来を作るためにいいことだと思います。

ただ、高額商品となっている犬を売ることを現場のスタッフのトーク力に任せていることや販売実績に対するインセンティブやランキング制度なんかを作ることで「売ることこそ正義」の価値観を抱かせていることには反対したい。
スタッフがお客さんに、飼ってないのに「僕、私も飼っていますけど〜」と言うのが当たり前の空気にすっかり僕も慣れてしまっている。
一人暮らしのお客さんには自分も一人暮らしで飼っていると言うし、ファミリー層には一人で飼うのは難しいけどお客様ならピッタリだと言う。
個人的にはしないようにしてるが、見て見ぬ振りをして一緒に働いている僕も同類なのだろう。

犬への愛着もなく自分の利益のためだけに悪どいセールストークをしているスタッフも何人か見たが、多くのスタッフは愛犬家だ。
その愛犬家のスタッフが当たり前のように嘘を交えたセールストークをしているのは、販売を重視する企業方針に原因がある。
人は場所に染まる。
嘘を交えてセールストークをすることが悪いことだと咎める人は誰もいなく、販売したら販売したスタッフにおめでとうと声をかけるような現場では、愛犬家の若い女の子だってセールストークをしまくる販売熱心な人間になるのだ。
金のないお客さんには分割払いを提案し、ペット不可物件に住むお客さんにも法的制限がないことから暗に勧めることを言う。
それが人と犬との未来のために良いことだとは僕はどうしても思えない。

それ自体は間違っていると思う。
ただ人は誰しも安い方がいいのだから、高級ペットショップが熱心に販売しなければ安価のペットショップに人が流れるだろう。
それに応じてブリーダーは繁殖にかかるコストを最低限に抑えるだろうし、ペットフード協会の会長石山恒氏が提出した今回の改正案のように、飼育環境はどんどん悪化していくことになる。
安かろう悪かろうは、ペット産業にも言えることなのだ。

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ペット産業がビジネスとして巨大な市場になったことで僕は愛犬と出会うことができたし、それによって発展した医療や潤沢な資本があることで守られている環境もあるのだから、ビジネス化してること全てを批判的には僕は見ていない。
ただ、ペット産業がビジネスとして成り立っている以上、業界の人間には打算が働く。

今声を上げて変えられるのは、愛犬家の僕たちしかいないと思う。
利益とは無関係な多くの人が声を上げることで、動物愛護の精神が広まればいいと切に願う。
多くの人の動物愛護の精神によって法が制定され、人と犬との共生が愛のある形になればいい。そのために今できることは、動物愛護法の決定権を持つ環境省にメールを送ることらしいので貼っておきます。
ぜひ皆さんの声を送ってください。

二階堂ふみさんのインスタより、こちらが環境省動物愛護管理室のメールアドレスになります。

moe@env.go.jp

環境省 総務課 動物愛護管理室
長田啓 室長様宛

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記入例も参考にして、皆さんの声を送ってみてください。
7月中でも意見を聞いて貰えるそうなので、ぜひお願いします。
今声を上げないとブリーダーの飼育環境におけるケージの大きさの最低基準
高さ=体高×1.3
幅=体高×1.1

の改正案が可決されてしまいます。
よろしくお願いします。

PS.僕はペットショップで働いてる以外にいかなる団体にも所属していないし一切の利益もありません。
ただ今回の件を知って、あまりに酷い現状に思わず声を上げずにはいられませんでした。
僕は犬の酷い飼育環境に対して加害者側の人間なのかもしれないし、ペットショップ自体への風当たりが強いことも理解しています。ただ、ポジショントークはせずに見てきたことや感じたことを書きました。
一人一人ペット産業に対する意見も感想も違うと思います。それでも愛犬家ならば今回の改正案は許せないと思うのです。
僕もこういった声を上げるのは初めてですが、むしろ今まで動物愛護団体なんかには冷めた目を向けていましたが、今日までかもしれないとのことで勢いで書きました。

拙い文章になりましたが読んでいただきありがとうございます。

追記: 猫もか!(笑)

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続 追記: この記事が働いているペットショップの上長に知れ渡り、その結果として退職することとなりました。何があったかは察していただければと思います。

最後に、民間企業であっても動物に関わる全ての人が動物愛護の精神を持って、関わる"動物最優先"を理念に動物達と接して欲しいなと心から思います。(7月14日)

続きはこちら

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