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欧州旅行記2024 パリ編1 地下鉄でパリの洗礼の巻

欧州旅行記、以下の続きです。


3月4日、旅程8日目。
この日はユーロスターで国境を越えて、ロンドンからパリに向かう。
朝5時45分、ホテルをチェックアウトし、地下鉄と鉄道でセントパンクラス(St. Pancras)駅へ。もともとタクシーで移動することを考えていたが、既に電車が動いている時間なのと、この数日の滞在でロンドンは大きな荷物を持っていても移動に支障がなさそうと判断できたので。

乗り換え。早朝のFarringdon駅。

ユーロスター内はもうフランス

ユーロスターの出発時間は朝7時。
手続き窓口に並ぶ前に、そのすぐ手前のカフェ(Le Pain Quotidien)で朝食のサンドイッチとコーヒーを購入。軽食を扱うカフェは構内にもあるが、事前に下調べした情報によるとそちらは長蛇の列と事前の情報で聞いており、実際その通りだった。

Advance Passenger Information (API)と呼ばれる必要情報(氏名、国籍、旅券番号等)を事前にオンラインでユーロスターに提出しておく必要がある。これは既に済んでいるので、当日はセキュリティチェックのみではあるものの、出国ゲートは出発時刻の30分前に閉まるので、駅には早めに到着しておくに越したことはない。
イギリスの出国ゲートを通過すると、すぐフランスの入国ゲートが続くのがちょっと面白い。

混雑する待ち合い所で朝食を摂りながら待っていると、出発の15分ほど前にプラットフォームへのゲートが開く。
各車両の前後に大型の荷物置き場があるので早めに確保し、念のためワイヤーチェーンでロック。

セントパンクラス駅。いざフランス。

出発前の数分でユーロスターを撮影。一通り乗客が乗り込むと、ホームは意外と閑散とした雰囲気になる。

発車してみると、車内アナウンスがフランス語。そこはもうフランスだった。

車内ディスプレイもフランス語。

乗車時間は2時間半。寝ていたらドーバー海峡の通過にも気付かず、あっという間に終点のパリ北(Paris Gare du Nord)駅に到着。

パリの洗礼

いざフランス。
ユーロスターの出口は改札もなくホームに降りたらもう自由。

パリ北(Paris Gare du Nord)駅

市内まではタクシーでの移動がよいと聞いていたが、地下鉄もあるのでそちらを選択。ロンドンも地下鉄で移動できたし、まあ行けるでしょと思ったが、これがとんでもない大失敗。

パリの地下鉄に乗ってみたら、ロンドンとは違って車内の壁に落書きがあり、いかにも治安が悪そうで緊張感がある。

地下鉄で移動中

何より困ったのは、駅にエスカレーターがないこと。
主要ないくつかの駅にはあるようだが、途中の乗り換えの駅にもホテルの最寄り駅にもエスカレーターはなかった。しかもいくつものアップダウンがある。
改札を出てみたら、地上まではエスカレーターが存在はしているものの、なぜか動いておらず、それはただの階段と化していた。人が近付いたら動く仕組みなのかと思ったが動かず。これ故障なの?電力不足なの?
何かボタンがあったので押してみたが応答なし。(もしかしたら非常停止ボタンだったかもしれない。)
ロンドンではどの駅にも必ずエスカレーターが整備されていたので完全に油断していた。ここは全く別の文化と仕組みを持つ違う国なのだ。
20キロ近くあるスーツケースを必死に運ぶ。
これがパリの洗礼…!

人の合間を縫って電車から降りる時など、ロンドンでは "Excuse me" や "Sorry" だったのが、パリに着くやいなや "Pardon" になって、当たり前だがびっくりした。
出口を探す際も、ロンドンで "Way Out" だった表示がパリでは "Sortie"だ。
車内案内や話されている言語もフランス語となり、全く耳馴染みのない言語になって緊張感が増す。ロンドンに6泊して割とヨーロッパに馴染んだ気がしていたので、急に異国に来てしまった感覚。(ロンドンも異国なのだけれど)
同じヨーロッパといっても、国が違えば文化も言葉もインフラも違う。
自分もアップデートしていかないと。

パリの地下鉄のしくみ

地下鉄のチケットは、予め「IDF Mobirites」というアプリで11回チケット(回数券)を購入済み(そして最終的には9回利用した)。
「Navigo Easy」という物理カードも存在するが、このアプリさえあればカードは不要。事前に情報収集したパリの紹介サイトなどでは、アプリで完結することはあまり触れられておらず、このアプリを使ってNavigo Easyにチャージできることを取り上げる案内が多かったが、スマホのみで完結した方が圧倒的に楽だよね。
11回チケットを購入すると、「Purchase」タブ内「On my phone」の「t+ Ticket」の項目に「Quantity: ⑪(数量:11)」と表示され、一度乗るごとに数字が1つずつ減っていく仕組み。

「IDF Mobirites」アプリの画面キャプチャ。
ここでは、t+ Ticketの残数が「8」になっている。

ロンドンの地下鉄はそもそも乗車アプリすら不要であり、クレカのコンタクトレス決済(タッチ決済)のみで乗り降りできたので、その便利さと比較するとやや劣る。
日本のSuicaでは、事前に一定金額をチャージしておき、降りる駅で所定の運賃が引き落とされるが、パリではそういう仕組みにはなっていない。
パリの地下鉄には乗り越し精算の概念がないので、常に必ず正規のチケットを持っていないと罰金が科される恐れがあるので要注意。

パリは不正乗車が多いのか、地下鉄の乗り換え通路に正規チケットを持っているかを確認する抜き打ち検査がたびたびある。パリに2泊いる間だけで3回ほど検査に遭遇した。スマホアプリを利用して乗車している場合は、スタッフが持っている端末にスマホをかざすと、問題ないと確認されて通過できる。

改札を出る際は特段タッチするものがなく、近付くとスッと扉が開く仕組み。最初は本当に開くか心配でおっかなびっくり進むが、何もチェックしていないと分かれば堂々と進める。逆に、出場時のチェックがないから通路での抜き打ち検査が多いのかも。

ちなみに、僕はこの旅行中、スマホはストラップを斜めがけにして利用した。これは盗難対策のみならず、紛失対策や落下対策にもなるのでよかった。男性でそうしている人を見ないので、クールかどうかはやや疑問ではあるが、楽だし便利なのでお勧めしたい。帰国してからもそうしている。

Paris Museum Passは本当にお得なのか

パリの観光には「Paris Museum Pass」(2Days/48H)を利用した。これは、ロンドンにおけるLondon Passと同様、パリ近郊の有料施設のパッケージチケット。
ただ、後から計算したら、利用した施設は3か所のみだったこともあり、支払ったコストとしては一人当たり2,000円弱のマイナス。利用施設にもよるものの、2日間のパスを買う場合、4か所以上利用すればメリットがあるだろう。
また、このチケットを買っても、各施設への入場時間の予約は別途行う必要があるので、結局個別で買うのと手間はほとんど変わらない。
さらに、各施設への入場時は、Paris Museum PassのQRコードと各施設の予約情報の両方を提示する必要があって余計な手間が増えた。
たとえば、ベルサイユ宮殿の予約は、QRコードをGoogle Walletに保存できるので、いちいちメールを見に行かなくて楽だと思っていたが、入場時にParis Museum Passのチケットも見せるように言われ、結局メールの添付ファイルをその場で検索して見せることになって煩雑だった。
結論として、今回の僕らの旅行に限っていえば購入メリットはなかった。

ルーブル美術館で国の違いを感じる

パリで宿泊するホテル La Bourdonnais(ラ・ブルドネ) は、エッフェル塔近くの7区にあり、最寄駅 École Militaire(エコール・ミリテール)から徒歩3分の好立地。治安もよいとされている地域。

La Bourdonnais(ラ・ブルドネ)

チェックインにはまだかなり早かったので、フロントでスーツケースだけ預かってもらい出発。スタッフは穏やかで丁寧。顔立ちと立ち居振る舞いからフランスを感じる。スーツケースは後で部屋まで運んでおいてくれるという。助かる~。

ルーブル美術館までは地下鉄。途中の乗換が Concorde駅だった。コンコルド広場のコンコルド。改めて、パリにいる実感が湧いてくる。

コンコルド駅

ロンドンの大英博物館も巨大だったが、ルーブル美術館はさらに巨大で訪れる人も多い印象。

ルーブル美術館入り口前のピラミッド型の天井

実際にどうかは調べていないが、入口前の広場の大きさと入場者の列の長さ、建物内部の迷宮のような広さでそれを感じる。
写真撮影は基本的にOKだが、見たものをすべて撮っていたら永遠に出られない。目に焼き付けていこう、と思ったが、毎日が刺激的だったこともあり、帰国してみたら撮影していないものはもうあらかた忘れている。恐るべし忘却曲線。写真の記録は僕の記憶でもある。

日本人がやたら多く、そこら中から日本語が聞こえてくる。ここにいる2,3割は日本人ではなかろうか。そしてなぜか大阪弁が多い印象。

展示物はどれもこれも素晴らしかった。

ルーブル美術館にて

上の絵は象徴的なもののひとつで、全体的に写実性や肉感にあふれ、豊かな色彩と臨場感のある「濃い」絵が多かった印象。

壁も天井も凄すぎる

こちらは特に見事だった場所。

イギリスとの対比でいうと、イギリスでは王室の系譜のほか、ナポレオン率いるフランス軍を撃破したワーテルローの戦いに関する説明やその将軍(ウェリントン侯爵)の話に照準が合わせられることが多かったが、フランスに来たらナポレオンは国の英雄として扱われており、そこをフィーチャーしたものが多い。絵画も「ナポレオン一世の戴冠式」が堂々と飾られているなど、ナポレオン関連の説明が豊富。
国ごとの立場と視点の違いが明確に出ていて興味深かった。

レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた有名な「モナ・リザ」も鑑賞したが、人が多すぎたのと、セキュリティのためあまり近くまで寄ることができなかった。

ところで、これは明らかにスマホで自撮りしてるよね。

スマホで自撮り像(勝手に命名)

館内のカフェは行列していたので、外に出たところで見付けたスタバで休憩。2人で4,800円。パリの物価はロンドンとそう変わらない印象。

ルーブルにいる間にカメラのSDカードがいっぱいになってしまった。64GBに約2000枚。まだパリがもう1日とバルセロナ2泊が残っているので、不要の写真を少し削除する程度ではとても間に合わない。Google Mapで電気屋を探して買い足す。

シャイヨー宮へ向かう。
青空ということもあり、ここから見るエッフェル塔が最高に美しかった。

エッフェル塔

今回のパリで最も美しい景色。
この塔を挟んだ反対側からのエッフェル塔もホテル近くの公園から見えて、それはそれで綺麗なのだが、シャイヨー宮の方が高くなっていることもあって、より綺麗に見える。来てよかった。

ギャラリーラファイエットの夕景

ギャラリーラファイエット

百貨店のギャラリーラファイエット。
屋上からの眺めがよいと聞いていたので行ってみる。

ギャラリーラファイエット屋上フロアからの夕景。
左手に見えるのはオペラ・ガルニエ(オペラ座)。

素敵だ。正面遠くにエッフェル塔が見える。
建物内は中央が吹き抜けになっていて、しかもその撮影スポットまで用意されている。

吹き抜け天井の模様が綺麗

撮影スポットは行列ができていたので、スルーして外側から軽く撮影。
特段の戦利品はなく、グルメ館でキッシュなどを買ってホテルへ。
戻る途中、トゥール・エッフェル庭園から夜のエッフェル塔もおさえる。

夜のエッフェル塔

かなり疲れたが、いい写真が撮れたので満足。
現像してみて初めてよく撮れたと気付く写真も中にはあるが、本当にいい写真はシャッターを切っている瞬間に手応えがある。
本日は23,400歩。泥のように眠る。

明日はベルサイユ宮殿だ。続きはこちらからどうぞ。


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