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「青天を衝け」30 量入為出

 おばんでがすー(朝読んでいる方は、おはようござりすー)。
 せっかくなので、渋沢栄一が主人公の大河ドラマ、「青天を衝け」で気になったところを考察していきたいと思います。
 とは言っても、あらすじなどは他の方々がわかりやすく書いているので、僕が気になったポイントだけ見ていきます。

大久保利通と意見の衝突

 史実でも、渋沢栄一と大久保利通は、財政の方針について衝突していました。以下、渋沢栄一の自伝『雨夜譚』から引用します。

 藩を廃して県にしたとて、すぐに歳入が増すという理もなく、要するに国庫の度支に定限がないことから、必要があればすぐに政府から支出を大蔵省に命じて、俗にいう取ったり使ったりというありさまでした。(中略)もとむる所は八方でこれに応ずるは一か所だによって、井上も大いにこれに苦慮したことであったが、大久保はとかく財政には注意せずして各省の需用に応じてその費用を支弁せんとする風だによって、自分はひとりこの間にいて特に苦慮尽力をしました。
(『雨夜譚』在官中の事業 大久保利通と意見の衝突 より)


 大久保利通自身は、私財を国家の事業に投入するほどで、暗殺された時点で、個人の資産より負債の方が多かったといいます。
 相当の覚悟を持って歳出の方針を出したと思われますが、「収入に応じた支出(量入為出)」を基本方針とした渋沢栄一とは、話が合うはずもありませんでした。

 そのころ自分はしきりに財政の統理せぬことを憂いて、同僚と合議して歳出入の統計表を作り、専ら量入為出の方針によって各省経費の定額を設け、その定額によって支出の制限を定めようと企てたけれども〜
(同上)

 この一件も、渋沢栄一が官僚を辞めて、民間で事業を起こすきっかけの一つだったようです。

量入為出

 量入為出りょうにゅういしゅつは、

入るを量りて出ずるを為すという故事成語によっていて、渋沢栄一の財政政策の基本方針でした。

以三十年之通制國用,量入以為出。

訳 国の予算を立てるには、30年周期で計画し、まず収入を量ってから支出額を決めること。
(『礼記』王制 より)


 収入額の見込みが決まってから、支出額を決める。当たり前といえば当たり前です。収入より支出が多ければ、借金をしなければいけません。

 ただ、スタートアップや、今みたいなコロナの状況では、固定費に対して収入が足りないということもあります。
 その場合は借入せざるを得ないのですが、借りた額をどのように返済していくか。返済スタートするときの収入をどう計画していくか、が経営者の腕の見せどころとなります。

 ちなみに「30年周期」というのは、現在でも景気循環の一説と考えられていて、期せずして渋沢栄一の玄孫である渋沢健さんも提唱しています。

 

おまけ(30話関係)

 

徳川家康がiPad使ってる

 

廃藩置県がリモート会議

 

渋沢栄一の女癖の悪さ

 「青天を衝け」ではほぼほぼ触れられていませんが(そりゃそうだ)、渋沢栄一は好色家で有名で、親族からも呆れられていたほど。『論語』の講釈をしていて、「おまいう」と思っていた人もいたとかいなかったとか。

 
 

 んでまず、おみょうぬづ(それでは、また明日)。

 

 

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