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経済学アメリカ博士留学(2)合格後

本記事では、合格後から渡米までの体験談をまとめたいと思います。受験のプロセスについては、経済学アメリカ博士留学(1)受験編をご覧ください。

オファー受諾とI-20発行

オファーを受諾するかどうかの回答は、(基本的に)4月15日までに行わなければなりません。オファーを受諾すると、成績証明書や学位証明書のハードコピーの送付が求められ、その後、I-20というビザ取得に必要な入国管理書類の発行手続きを進めることになります。I-20の発行には、「この人が学費や生活費を払うだけの財政力があるかどうか」を示す必要があります。大学からファンドが付く場合には、財政状況証明書などを提出する必要はありませんが、自弁の場合には、例えば奨学金の受給証明書や、銀行の残高証明書(いずれも英文)が必要になります。どれくらいの財政力が必要かについては、おそらく大学によって異なると思います(授業料や生活費が大学・地域によって異なるため)。自身の預金だけで、その要件を満たせない場合には、家族などに頼んでお金をかき集めることも必要になります。ちなみに、Penn Stateの場合は、1年目の学費・生活費の財政力があることを示せればI-20自体は発行されました。「2年目以降については**が財政上の責任を負う」といった書類を、両親の名義で提出した記憶があります。ただし、実際には、両親に援助を依頼することはできない状況でしたので、2年目に大学からの援助がもらえなかった場合には、退学するつもりで今した。

このI-20という書類は、アメリカに入国する際(最初の入国でも、2度目以降の再入国でも)、査証(ビザ)と合せて必要になる書類です。つまり、査証単体では入国ができません。また、1年ごとに、大学の留学生担当部局で「Travel Signature」というのをおしてもらう必要があります。これによって、この学生が今も当該大学に在籍する学生であることが認証される仕組みになっています。Travel Signatureが切れたI-20では入国ができません(ただし、救済措置として、入国後何日か以内に入管に証明書類を提出すれば良い、といったルールがあったと思います。)

査証(Visa)の発給

I-20は、国際郵便で日本の自宅に配達されます。I-20が到着したら、査証発給のために、居住地域管轄のアメリカ大使館・領事館にて査証発給の面接予約をします。名古屋の場合は、大阪の領事館で面接を受けることになります。オンラインで面接のスロットを予約します。その際に、証明書の顔写真もアップロードした記憶があります。面接では、どこの大学に行くのか?何を学ぶのか?何年のプログラムか?など事務的な質問を受け、淡々と答えます。面接の結果は、その場で言い渡されます("Your visa is approved"的なことを言われます)。書類はすべて用意できているのに、I-20にサインするのを忘れていると、それだけで不合格と言われ、もう一度面接予約からのやり直しになります。十分に注意して書類を準備してください。私の前にいた高校生くらいの子は、それが理由で却下されていました。ここでも財政証明書が求められた記憶があります。

なお、大使館にはカバンなどの持ち込みができないため、最寄り駅のロッカーにカバンを預け、書類とパスポートだけクリアファイルに入れて領事館に向かいました。査証発給が承認されると、パスポートを領事館に預け、査証が添付されたものが1週間くらいで自宅に返送されます。

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家探し

上述の通り、北米の大学院では、4月15日までにオファーを受諾するか決めることになっているので、4月後半になると「良い物件」はすぐに押えられてしまいます。早めの対応が重要です。

大学の寮(on-campus)か、民間のアパート(off-campus)かの選択肢がありますが、Penn Stateの場合には殆どの大学院生が民間のアパートに住んでいます。ただ、アメリカにいない学生が、民間のアパートを自分で探すのは簡単なことではありません。私は、Penn Stateの日本人の先輩にお願いをして、アパート探しを手伝っていただきました(内見や保証金の立て替えなどもお願いすることになりました)。一般化できることかは分かりませんが、不動産屋にメールで問い合わせをしても返ってこないパターンは少なくありません。また、アパートの評判もネットの情報だけでは分かりません。留学先のプログラムに日本人の学生がいれば、連絡を取ってみて家探しの相談をしてみることをおすすめします。留学生活は助け合いですので、きっと力になってくださる人がいると思います。

アメリカの家賃は日本に比べると高いため(Penn Stateのようなド田舎でも1BRで月1,000ドルくらい)、ルームシェアをする院生が多い印象です。私も、1年目から日本人の同期と2BRのアパートをルームシェアをしています(今住んでいるところは一月2人で1100ドル+電気代+ネット代という感じです)。不動産屋がルームメイトマッチングをしてくれる場合もありますが、あまりおすすめできません。学部生と一緒になってしまい、毎週末、真夜中までのパーティーに悩まされたという友人がいました。1年目はかなりストレスフルですので、せめて家だけはリラックスでき、勉強に集中できる環境に整えることが大事かと思います。大学院プログラムの事務のスタッフにお願いして、ルームメイト募集のメールを流してもらうのも一つのアイディアかと思います。

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健康保険(日本への一時帰国時の保険についても)

健康保険への加入は、アメリカの大学への在籍用件として必須です。大学からファンドがつく場合は、健康保険もその内容に含まれていることが多いので、特に気にする必要はありません。自費留学の場合は、大学の学生保険か、その他の保険に加入する必要があります。保険のカバレージが、大学の規定を満たしている必要があるため、特段の希望がなければ、大学の保険に入るのが一般的かと思います。費用は、1年で3,600ドルほど。普通の風邪や予防接種については、殆どがこの保険でカバーされるので、病院に行っても追加でお金を払う必要はありません(私は食物アレルギーがあり日本ではかなり高額なエピペンという注射器を携帯しているのですが、それも保険でカバーされました)。ただ、救急の場合には、追加で(かなり高額な)医療費が発生するようです・・・。とはいうものの、私の周りで追加的な保険に入っているケースは聞いたことがありません。

なお、日本での健康保険(私の場合は国民健康保険)は渡米時に解約しました。下記でも触れますが、住民票を抜く(海外居住にする)ことで国民健康保険は自動的に解約となります。日本への一時帰国の際には、(1)一次的に住民票を戻し国民健康保険に加入する、または(2)海外旅行保険に加入するの2つの選択肢があります。(1)国民健康保険に再加入するメリットは、再加入さえすれば、とにかく3割負担で、どこでも医療を受けられるということです。それ以上の手続きは必要ありません。デメリットは、住民票を入れる、抜くの作業を区役所等に赴いて行わなければならないこと、保険料が海外旅行保険よりも高額になる可能性がある(月1万円くらい?で月をまたぐ場合は2ヶ月かかる)と言うことです。(2)海外旅行保険に加入するメリットは、加入手続きは帰国前に全てオンラインででき、費用も割安と言うことです(1ヶ月の一時帰国で70ドルくらい)。デメリットは、日本で医療を受けた場合、まずは10割で支払いをし、その後払い戻し手続きを取るため、手続きが非常に煩雑であるということです。これについては、また別記事で詳しく解説しようと思います。海外旅行保険については、私はいつも下記を使っています:https://www.travelinsured.com/

予防接種

入学に際し、大学から予防接種が求められます。Penn Stateの場合には、MMR(麻疹・風疹・おたふく)が必須でした。私は名鉄病院の予防接種外来にお任せしたのですが、トータルで4万以上かかりました。情報の非対称性につけ込まれ、言いなりになったところもありますが、健康に就学できなければ元も子もないので、仕方ない出費だったと思っています。私は医学の専門ではないので、以下はあくまでも参考程度に。

Penn Stateの場合、MMRを「2回」打っていれば、抗体の有無がどうであれ規定的には問題ありません。ただし、幼児の時に打ったMMRの抗体は、20代後半には消えていることが多く、私の場合も、実際に罹患したおたふく以外は、すべて抗体価が規定以下でした。つまり、予防接種要件はクリアしていましたが、抗体はないと言うことです。アメリカのMMRワクチンは日本のワクチンと異なるため、輸入ワクチンの接種を推奨されました(これも輸入ワクチンである必要があったのかは謎です)。輸入MMRを日本で1回打ち、2回目を渡米直後にPenn Stateの大学病院で接種しました。アメリカでは、保険が適用されたため追加の費用は掛かりませんでした。2019年4月Penn Stateではおたふく風邪が少し流行したようですので、仮に「要件」は満たしていても、抗体価が低い場合には、(渡米後であっても構わないと思うので)打っておくと良いのではないかと思います。

その他推奨ワクチンとして、輸入Tdapワクチン(破傷風・ジフテリア・百日咳)を接種しました。これも、日本のDPTとは厳密には違うものだそうです。言うなりになって打ちました。

A・B型肝炎も推奨されていて、私は以前に、A・Bともに2回接種しており、A型については抗体が定着していたので、B型のみ3回目の接種しました。これは、3回受けておけば、その後しばらく抗体が維持されると言うことなので、アメリカに限らず他の国で肝炎の予防接種が推奨されている国に行くときには使えるのかなと思い、打った次第です。

日本では、小学校でBCG接種をするため、アメリカの「結核検査」で陽性と判断されてしまうことがあるそうです。そこで「結核ではないことを証明する」T-Spot検査なるものも受けさせられました。これは、Penn Stateの規定には何も書かれていなかったのですが、言われるがままに検査を受けました。

正直な話、どこまでが本当に必要だったのかは分かりませんが、「あなたの健康のためを思って言っている」とか、「うちは、これまでに留学に行く学生の予防接種をずっと見てきたので、うちに任せてもらえれば大丈夫」と言われれば断りづらく、そこにつけ込まれ感は否めません(正直あまり良い印象ではありませんでした・・・)。

アメリカへの引っ越し(荷物の配送)

アメリカへの航空券で無料で預けられるのは、23キロのスーツケース2つまで。それだけでは全ての荷物を運べないので、私はヤマト運輸の海外引っ越しサービス(航空便の海外留学宅急便)を使いました。EMSや通常の船便で送っていた友人もいましたが、アメリカはUSPS(郵便局)のサービスがひどいので、家にいないと郵便局留めになってしまうなど不便があります。その点、ヤマトで送った場合、アメリカではFeDexが運送してくれるのでトラッキング・再配達も含めて安心でした。私は、段ボール2箱(計50キロ)を約7万円ほどで送りました。デスクトップのPCもHDDを外して送りました。

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以下、持ってきて良かったなと思うものをまとめます:

オフィス系:
・ポータブルスキャナ(入学当初はペーパーワークの山でPDFで送るよう求められることが結構ありました。学期中も、提出した宿題を電子媒体で残しておいたりするのに大いに活躍しました)
・WiFiルータ(アメリカはケーブルインターネットが主流ですがモデムやルータをレンタルするかどうかで値段も変わってきます。私は、モデムはアメリカのAmazonで買い、ルータは日本から持って行きました。軽いものですし、すぐにネットが使えるようになるので便利でした)
・文具(こちらに売られている文房具は日本製が多いですが種類は少なく割高です。私は使い慣れているものが良かったので、大量に消しゴムやシャープ・ボールペンの替え芯を持ってきました)

書籍
・日本の経済数学の教科書
・暇つぶし用の小説(現実逃避用)

キッチン系:
・包丁(アメリカの包丁はひどいので…私は送別の品にいただいた日本橋木屋の牛刀を愛用しています)
・お箸、茶碗、どんぶり等基本の和食器
・おろし器

なお、アメリカには個人で中古品を売買するCraigslistというサイトがあり、それを使うと、電化製品や家具など、わりと低価格で仕入れることができるのでおすすめです。

航空券について

航空券については、片道で買う、あるいは往復で買う、という選択肢があります。「往復で買って片道だけ使うと、ブラックリストに載る」といった記述がネット上では散見されます。私は、その真偽の程はわかりませんし、それを推奨するわけでもありません。私の体験談をお伝えすると、私は、往復で買った航空券でアメリカに渡り、片道しか使いませんでした(授業や試験の日程的に、予定していた帰国便に乗れないことがこちらに来て分かったため)。航空会社には、帰りの便の搭乗日の1ヶ月くらい前にちゃんと連絡をして、事情を説明し、帰りの便に乗らないことを伝えました。航空会社からは、前もって教えてくれてありがとう、と言われて、それでおしまいでした。以降は、アメリカ発着の飛行機を予約して日本に一時帰国しています。

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