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アナリストによる横浜FM vs 鹿島 展望

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「サッカーアナリストのすゝめ」

さて、前回の投稿で来月からテイストを変え、プレビューやレビューを中心にして値引きした状態で再スタートを切ることをお伝えしましたが、その前哨戦(?)として8月28日に行われるオリジナル10(かつ降格経験のない)同士の戦い、横浜F・マリノスvs鹿島アントラーズのプレビューをお送りします。

事前情報

成績
横浜FM:26試合 19勝5分2敗 得点60 失点21
鹿島:26試合 13勝5分8敗 得点44 失点25

ホーム・アウェイ成績
横浜FM(ホーム):14試合 11勝3分 得点35 失点7
鹿島(アウェイ):14試合 6勝2分6敗 得点19 失点13

前回対戦
5月15日 第14節 15時KO
鹿島 5−3 横浜FM

前回対戦時のスタメンとマッチアップ

前回対戦時メンバー

前回対戦は点の取り合い、退場者あり、ハットトリック者ありとイベントが多かった展開となりましたが、果たして今回はそれを踏まえてどう進化しているか。

予想スタメンとマッチアップ

横浜FMvs鹿島 メンバー

今回の対戦の予想メンバーとマッチアップはこちら。

互いに中2日で組まれており、横浜FMは前節の鳥栖戦後、翌日に横浜に帰還しているはずで、準備としては27日のみと予想されます。

一方の鹿島も、清水アウェイ戦だったため、もしかすると鹿島に戻らず「帰り道の」横浜で調整し、前泊している可能性がある、と。

どちらも戦術的な練習はほぼできない日程で、映像やミーティングで確認することになるでしょう。そうなれば、互いに「頭脳戦」となることも容易に考えられます。

どちらも、夏のこの日程ではさすがにメンバーを変えざるを得ないでしょう。水曜に出ていないメンバーがスタメン発表されても驚くことではないです。

ホームの横浜FM視点で言えば、まず相手の強力な前線にマッチアップするセンターバック(CB)の人選。ここはある程度、疲労はありつつも連戦させることは可能とみます。エヴェラウド選手や上田選手らに対して、対人能力を発揮すべきCBは岩田選手と畠中選手か。チアゴ選手は怪我の情報もある中で、復帰できるかどうか。無理であれば岩田選手が連戦となるかもですね。裏への対応も必要になるので、實藤選手よりスピードと怪我耐性のある岩田選手の起用が有力でしょう。

サイドバック(SB)は、相手のサイドハーフ(SH)が中に入ってきたり、自分たちも中に入ったりと戦術理解度と状況判断力が求められます。相手のSHに対して先手を打てる選手を選ぶかもしれません。

ボランチ(VO)とトップ下(ST)は、前回対戦の苦い思い出と反省点があります。ボールの失い方です。センターライン付近で失いカウンターを受けるシーンが散見された経験から、よりボールを握れる選手が起用されたとすると狙いが見えてきます。また、失った後のリアクションの早さが求められるので、その特徴を持った選手を予想しました。

3トップは変わらない可能性が高いですが、相手のSBもスピードには自信を持っている選手たちなので、少し工夫するかもしれません。普段右をやっている選手が左にいったり、水曜はベンチだった選手が久しぶりに先発ということもあるかもしれませんね。

一方の鹿島は、犬飼選手が出場停止から戻ってきますので、4バックはいつものメンバーを予想。ボランチはここ最近、組み合わせを変えながら疲労も考慮に入れて起用しています。前回対戦で非常に好パフォーマンスを披露した三竿選手とレオ・シルバ選手を並べています。もちろん、ピトゥカ選手の連戦も考えられるでしょう。

最も悩ましいのが2列目の人選。清水戦で結果を残した遠藤選手、カイキ選手を続けて起用したい思いもあるでしょうが、フル出場した遠藤選手はベンチスタートでしょうか。トップ下も、上田選手が久しぶりの先発に応えて先制点となるミドルシュートを決めており、エヴェラウド選手との2トップも考えたい。試合中に変更することも当然考えられる中、最初は1トップにトップ下を置くのか、2トップで最初いって途中で変えるのか。スタートの配置と人選は注目です。

相手のビルドアップを封じるより、縦に早い攻撃を完結させるために2人のFWを並べるか、相手のビルドアップを封じるために荒木選手をトップ下で起用して中盤を厚くするか。まずはこの辺りから紐解いていきましょう。

横浜FM自陣での攻撃vs鹿島敵陣での守備

横浜FMvs鹿島 横浜FM自陣攻撃

横浜FMの自陣での攻撃です。自分たちの強みは相手を押し下げ、どんどん敵陣での攻撃に移って得点を狙い続けること。したがって、相手が前からプレッシャーをかけてこなければあっという間にゴール前まで進入を狙います。しかし、前節のサガン鳥栖や、ルヴァンカップで敗退してしまった時の相手北海道コンサドーレ札幌のようにマンツーマンで前から来られた時の対策はまだ不十分。鹿島は、状況に合わせて前から来ます。ずっとマンツーマンで来るわけでもなく、ずっとハイプレスで来るわけでもない。つまり、選手の状況判断が非常に重要です。いま繋ぐべきか、裏を狙うべきか。

相手の2トップを外すことは容易でしょう。2VOと2CBが立ち位置で優位に立てます。しかし、問題はそこではありません。前回対戦でもあったように、相手の中盤4枚を越える時に問題が発生します。

もし予想通りなら、土居選手、三竿選手、レオ・シルバ選手、和泉選手がそれに当たりますが、彼らは全員球際に強く、簡単にはがれません。ハーフライン付近で彼らに捕まり、強烈なカウンターを食らったのが前回。この反省を考えないはずがない、と。

そこで個人的に考えるのは、SBの立ち位置。普段であれば相手を見て中に入ったり相手のSHの後ろまで出ていって状況打破を試みますが、あえて下がる(図参照)。こうすると例えば和泉選手がつられて前に出てきます。最も警戒したいのは、ストレートボールを出して喜田選手がレオ・シルバ選手に捕まること。それを見越して、和泉選手とレオ・シルバ選手の間にWGの図で言えばエウベル選手が顔を出す。そこに通せずとも、喜田選手やトップ下のマルコス・ジュニオール選手に当ててワンタッチフリックで裏を狙い、エウベル選手が「中→外→中」の動きで相手のSBの裏をランニングする。こうすればハーフラインで奪われず、かつ相手の高い最終ラインの背後をとって一気にレオ・セアラ選手と前田選手がスプリントで迫れる状況を作り出せます。毎回は難しいでしょうが、鹿島をつり出して裏を突く回数を増やせれば決定機を生み出せるでしょう。

もちろん、普段はWGが幅を取り、SBが中を取ってきますが、相手もスカウティングして対策してきます。小さな「奇襲」ができれば相手を混乱に陥れることができるので、彼らの臨機応変さに期待しましょう。

一方の鹿島は、2トップが相手のCBに「行かない」可能性もあります。図のように岩田選手が持っていても放っておいて、次に入るSBやVOをケアしつつ、中盤の選手との挟み込みを狙うことも考えられます。特に序盤は、相手の出方を見る傾向にあり、徐々にプレス開始位置を変えたり強度を変えるのがスタンス。エヴェラウド選手や荒木選手の立ち位置と狙いは、後ろの選手からの声がけで変わるのか、それとも周到な準備でプラン通り動くのか。ピッチ上の「指示」にも注目したいですね。

その中で、やはり両VOが力を発揮したい。前回対戦と同じ展開になるとは思っていない中でも、彼らがボールを奪うケースを増やしたいのはいつも同じ。中盤は単純に2VOと相手の2VO+トップ下で数的不利なので、荒木選手を下げるのか、逆サイドのSH(図で言うと土居選手)が絞ってきてスライドで対応するのか。相手のSBも中に入ってくることが予想される中、中盤での振る舞いは見るべき点が多いはずです。

最終ラインは、常に相手の3トップの裏へのスピードを警戒することが必要。それは当たり前ですが、では、「1人余っている」選手が何をするかです。CBのどちらかとなりますが、相手のトップ下を見に前に出るのか、後ろを警戒して留まるのか。2CBで相手のCFを見続けていては、中盤の数的不利を解消できない可能性があるので、こちらもスライドのタイミングと連動性は鍵を握るでしょう。

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