見出し画像

新憲法試案(第4~9章 統治機構)


第4章   国会

 

第71条     国会は、国の最高議決機関であって、全国民を代表して立法権を行使する。

第72条     (1)国会は一院制とし、国民から直接選挙された議員で組織する。

(2)国会議員の定数は、200名とする。

第73条     (1)国会議員は、各道及び都を選挙区として選出される。

(2)各選挙区の定数は、5年ごとに行われる人口国勢調査の結果に基づいて、比例配分される。

(3)各政党は、選挙区ごとに順位をつけない候補者名簿を提出する。無所属の候補者は、1名で1政党とみなす。

(4)選挙権を有する者は、候補者1名に投票する。候補者への投票は、その所属する政党への投票とみなされる。

(5)各選挙区内の各政党の議席数は、各政党の得票数に基づき、比例代表の原則で配分される。

(6)候補者は、選挙区ごとに、その所属政党に配分された議席数の内で、個人名得票の多い順に当選とする。

第74条     (1)国会議員に欠員が生じたときは、前条第6項の順位に従って、繰り上げて補充し、その者が残りの任期を全うする。但し、残りの任期が6か月未満であるときには、これを補充しない。

(2)無所属の国会議員が欠けたときは、これを補充しない。

第75条     (1)国会議員の任期は、4年とする。但し、解散された場合は、その期間満了前に終了する。

(2)国会は、総議員の4分の3以上の多数による議決をもって、自主的に解散することができる。

第76条     (1)国会議員の総選挙は、その任期満了日の30日前の日から起算して20日以内に行われる。

(2)国会が解散されたときは、解散の日から30日以内に、国会議員の総選挙を行わなければならない。

(3)国会は、その任期が満了又は終了した後であっても、新たに国会が組織されるまで、引き続きその職務を行う。

(4)国の緊急事態において総選挙を行うことができないときには、国の緊急事態が解除された日から30日以内に総選挙を行わなければならない。

(5)総選挙が行われてから2年以内、又は国の緊急事態においては、国会は解散されてはならない。

第77条     国会議員は、全国民の代表者であって、一部の選挙人による委任に拘束されることなく、良心に従ってその職務を行う。

第78条     国会議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。

第79条   国会議員は、国会外における現行犯罪の場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、国会の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。

第80条   国会議員は、国会内で行った演説、討論又は表決について、国会外で責任を問われない。

第81条   通常国会は、毎年1月第3週に招集され、11月末に閉会する。但し、法律の定めるところにより、夏期休会その他の休会を定めることができる。

第82条   (1)内閣は、臨時国会を招集することができる。

(2)総議員の4分の1以上の要求があるときには、その20日以内に、国会議長が臨時国会を招集しなければならない。

第83条   国会議員の総選挙があったときは、その選挙の日から30日以内に特別国会を招集する。

第84条   (1)国会の中に、国会議員20名からなる常設委員会を置く。

(2)常設委員会は、国の緊急事態において国会を開くことができないときには、国会の代わりに決議をすることができる。

(3)前項において採られた措置は臨時のものであって、次の国会開会の後10日以内に国会の同意がない場合には、その効力を失う。

(4)常設委員会委員は、各政党の所属議員数の比率により、各政党に割り当てて選任される。この選任は、国会議員の総選挙後に初めて国会が招集された日から10日以内に行われる。

(5)常設委員会委員長は、国会議長が兼任する。

(6)常設委員会は、国会議員が任期満了するか、又は国会が解散されたときでも、次の常設委員会が組織されるまで、引き続きその職務を行う。

第85条   (1)国会は、その議員の資格に関する争訟を裁判する。但し、議員の議席を失わせるには、出席議員の3分の2以上の多数による議決を必要とする。

(2)1年以上会議を欠席している議員は、その議席を失う。

第86条   (1)国会は、その総議員の過半数の出席がなければ、議事を開き議決することができない。

(2)国会の議事は、この憲法に特別の定めがある場合を除いては、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

第87条   (1)法律案は、国会議員又は内閣がこれを提出する。国会議員は、1名で自由に議案を発議することができる。

(2)国会議員は、行政機関に対して、法律案作成に必要な調査研究資料又は情報の提出を要求することができる。

(3)選挙権を有する者は、法律の定めるところにより、その総数の1パーセント以上の署名によって、国会に法律案を提出することができる。

第88条   (1)国会の会議は、公開とする。但し、出席議員の3分の2以上の多数で議決したときは、秘密会を開くことができる。

(2)国会は、その会議の記録を保存し、秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるもの以外は、これを公表し、一般に頒布しなければならない。

(3)出席議員の4分の1以上の要求があれば、各議員の表決は、これを会議録に記載しなければならない。

第89条   (1)国会は、その議長、副議長その他の役員を選任する。

(2)国会は、その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、国会内の秩序を乱した議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の3分の2以上の多数による議決を必要とする。

第90条   (1)国会は、総議員の4分の1以上の要求によって、国政に関する調査を行い、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。

(2)前項の調査は、裁判を拘束せず、司法権の行使に影響を及ぼさない。

第91条   総理、閣僚及び法律の定めるその他の公務員は、議案について発言するために、何時でも国会に出席することができる。又、答弁又は説明のため出席を求められたときは、法律に定められた場合を除き、出席しなければならない。

第92条   (1)国の選挙、投票及び政党に関する事務は、中央選挙管理委員会が管理する。

(2)中央選挙管理委員会は、委員5名で構成する。任期は4年とし、国会が、その出席議員の3分の2以上の多数による議決をもって任命する。

(3)中央選挙管理委員会の委員は、国会議員及びその他の公選による公務員を兼ねることができない。又、政党に所属してはならず、選挙及び投票権行使以外の政治活動をしてはならない。

第93条   (1)公務員の選挙に関する法律案は、事前に中央選挙管理委員会に諮問し、その答申に基づいて、国会が議決する。

(2)前項の法律案の修正には、中央選挙管理委員会の同意を必要とする。但し、国会の出席議員の3分の2以上の多数で議決したときには、この限りではない。

 

第5章   内閣

 

第94条   (1)行政権は、内閣に属する。

(2)内閣は、その首長たる総理及び閣僚で組織する。

第95条   (1)総理は、国民が直接選挙する。総理選挙は、国会議員の総選挙が行われるときに、同時に行う。

(2)総理の選挙は、有効投票総数の過半数を得た者を当選とする。

(3)過半数を得た者がいないときは、1週間後に上位2名による決選投票を行い、多数を得た者を当選とする。

第96条   (1)総理選挙に立候補するには、国会議員又は国会議員選挙に立候補した者20名以上の推薦を必要とする。

(2)総理は、国会議員と兼ねることができない。

(3)総理候補者は、同時に行われる国会議員の総選挙にも重複して立候補することができる。但し、両方とも当選したときには、国会議員を辞めなければならない。

第97条   総理は、就任に際し、国会において、この憲法の遵守と職務の誠実な執行を厳粛に宣誓しなければならない。

第98条   (1)総理の任期は4年とし、再任することができる。但し、合計して8年を超えて在任することはできない。

(2)国会議員の任期が満了又は終了したときには、総理の任期も同時に終了する。

第99条   (1)任期の途中に総理が欠けたときは、30日以内に国民の直接選挙による補欠選挙を行い、当選した者が残りの任期を全うする。但し、残りの任期が1年未満であるときには、国会が総理を選出する。

(2)総理の補欠選挙においても、有効投票総数の過半数を得た者を当選とする。過半数を得た者がいないときは、1週間後に上位2名による決選投票を行い、多数を得た者を当選とする。

(3)総理の補欠選挙において国会が総理を選出する場合、国会議員の有効投票の過半数を得た者を当選とする。過半数を得た者がいないときには、直ちに上位2名による決選投票を行い、多数を得た者を当選とする。

(4)国会議員は、総理の補欠選挙に立候補することができる。但し、当選したときには、国会議員を辞めなければならない。

(5)総理が欠けたときには、新たに総理が選出されるまで、副総理がその職務を行う。

(6)総理と副総理が同時に欠けたときには、新たに総理が選出されるまで、国会議長が総理の職務を行う。この場合、国会議長の職務は、国会副議長が行う。

第100条   (1)総理は、閣僚を任命する。

(2)閣僚のうち1名は、副総理として任命される。

(3)閣僚は、行政各省庁の長官、委員会の委員長又は無任所閣僚として任命される。

(4)閣僚の人数は、20名以下とする。

(5)閣僚は、国会議員と兼ねることができない。

(6)総理は、任意に閣僚を罷免することができる。

第101条   (1)国会が、出席議員の3分の2以上の多数をもって、内閣の不信任決議案を可決したときは、総理は、任期途中であっても解任され、内閣は総辞職する。

(2)前項の場合に限り、内閣は、不信任決議案の可決後10日以内に、国会を解散することができる。

(3)内閣の不信任決議案は、総理の選挙が行われてから2年以内は、これを議決することができない。

(4)内閣の不信任決議案が否決された後1年間は、同一の総理に対して、再び内閣不信任決議案を提出することはできない。

第102条   (1)総理の任期が満了又は終了したときには、閣僚も同時に総辞職する。

(2)内閣は、総辞職した後も、新たに内閣が組織されるまで、引き続きその職務を行う。

第103条   総理は、内閣を代表して、一般国務及び外交関係について国会に報告し、閣議を主宰し、行政各省庁を指揮監督する。

第104条   内閣は、他の一般行政事務の外、次の事務を行う。

1,法律を誠実に執行し、国務を統括すること。

2,憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。

3,国会を招集すること。

4,国会議員の総選挙及び国民投票の施行を公示すること。

5,外交関係を処理すること。

6,条約を締結すること。但し、事前に、時宜によっては事後に、国会の承認を必要とする。

7,大使及び外交使節を信任し、接受すること。

8,法律の定める基準に従い、行政機関の職員を任免し、その事務を処理すること。

9,法律案及び予算案を作成して国会に提出すること。

10,この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。

11,大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。但し、事前に最高裁判所の承認を必要とする。

12,栄典を授与すること。

第105条   法律及び政令には、すべて主任の閣僚が署名し、総理が連署することを必要とする。

第106条   (1)国会で議決された法律又は予算は、法律でその公布日を指定された場合を除き、その議決後30日以内に、内閣によって公布される。

(2)内閣は、国会の議決した法律案又は予算案について異議があるときは、その議決から10日以内に理由を示して、これを再議に付することができる。

(3)前項の場合、国会が出席議員の55パーセント以上の多数で再議決したときは、法律又は予算として成立し、内閣はこれを30日以内に公布しなければならない。

第107条   (1)人事院は、法律の定めるところにより、国家公務員の採用、給与、任免、研修、懲戒その他の人事行政の公正の確保及び公務員の利益の保護に関する事務をつかさどる。

(2)人事院は、人事官3名で構成する。人事官は、国会の同意を得て、内閣が任命する。任期は4年とし、再任されることができる。但し12年を超えて在任することができない。

第108条(1)行政機関の職員は、満70歳に達した時には退官する。
(2) 行政機関の職員は、法律の定めるところにより、その離職後5年間は、以前在職していた機関と密接な関係のある団体又は企業に再就職することができない。

 

第6章   裁判所

 

第109条   (1)司法権は、憲法裁判所、最高裁判所及び下級裁判所に属する。

(2)下級裁判所として、道裁判所、地方裁判所、家庭裁判所、簡易裁判所、知的財産裁判所及び防衛裁判所を設置する。

(3)臨時の裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行うことができない。

(4)国民は、法律の定めるところにより、裁判員として裁判に参加することができる。

第110条   (1)国政が憲法に従って公正に行われているかを審査するために、憲法裁判所を設置する。

(2)憲法裁判所は、一切の法律、条約、命令、条例、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを最終的に決定する権限を有する。

(3)憲法裁判所の判決は、国及び地方自治体の全ての機関を拘束する。

第111条   憲法裁判所に提訴できるのは、次の場合である。

1,内閣が要求するとき。

2,国会の総議員の4分の1以上が要求するとき。

3,一つの地方自治体の議会が要求するとき。

4,国政監査院が要求するとき。

5,人権委員会が要求するとき。

6,選挙権を有する者の総数の1パーセント以上が、署名によって要求するとき。

7,最高裁判所又は下級裁判所が、その具体的訴訟事件において、憲法に適合するかどうか判断する必要があると認め、これを憲法裁判所に移送して裁判することを要求するとき。

第112条   憲法裁判所は、その権限を有する事項について、提訴された日から60日以内に判決を下さなければならない。

第113条   (1)憲法裁判所は、総理又は国会議員が、憲法又は法律に著しく反する非行を行ったときには、弾劾のために訴追することができる。その場合には、裁判官6名以上の賛成を必要とする。

(2)前項の訴追があったときには、総理については全国で、国会議員についてはその選出された選挙区において、弾劾のために国民投票が行われ、その過半数の賛成があったときには、罷免される。

(3)国民投票の結果、罷免された総理又は国会議員は、その罷免された日から10年間は、公務員となることができない。

第114条   閣僚、人事官、国政監査官、人権委員、検事総長、中央選挙管理委員会委員及び法律に定めるその他の公務員が、憲法又は法律に著しく反する非行を行ったときには、国会の常設委員会で訴追の議決がなされた後、憲法裁判所の弾劾判決によって罷免される。その場合には、裁判官6名以上の賛成を必要とする。

第115条   裁判官が、憲法又は法律に著しく反する非行を行ったときには、国会の常設委員会で訴追の議決がなされた後、国会の弾劾によって罷免される。その場合には、国会の出席議員の3分の2以上の多数による議決を必要とする。

第116条   (1)憲法裁判所は、国政上重要な政策について国会で審議がなされた後、国民の総意を問う必要があると判断するときには、その案件を国民投票に付することができる。但し、租税及び予算に関する案件を国民投票に付することはできない。

(2)国民投票で一度否決された案件は、国会議員の総選挙が新たに行われた後でなければ、これを再び国民投票に付することはできない。

(3)国民投票は、有効投票の過半数によって決し、その決定は、国及び地方自治体の全ての機関を拘束する。

第117条   憲法裁判所は、国の機関の相互間、国の機関と地方自治体、及び地方自治体の相互間の権限に関する争議について審判する。

第118条   (1)憲法裁判所は、9名の裁判官で構成する。

(2)憲法裁判所の裁判官は、任期を12年とし、再任されることができない。

第119条     (1)憲法裁判所の裁判官は、最高裁判所又は下級裁判所の裁判官として12年以上在職した有資格者の中から、これを互選する。
(2)前項の選出において、有資格者は、候補者1名に投票する。候補者は、その得票数が多い順に当選とし、最も得票が多かった者が、憲法裁判所の長官となる。

第120条     (1)最高裁判所は、15名の裁判官で構成し、そのうちの1名を長官とする。最高裁判所の長官は、憲法裁判所の長官が兼任する。
(2)最高裁判所の裁判官は、任期を12年とし、再任されることができない。
(3)最高裁判所の裁判官は、憲法裁判所が指名した者の名簿に基づいて、国会が任命する。この任命には、国会の出席議員の3分の2以上の多数による議決を必要とする。

第121条     最高裁判所の裁判官は、裁判官、検察官、弁護士又は大学の法律学教授として12年以上在職した者の中から任命しなければならない。


第122条   (1)道裁判所の裁判官は、道議会が、出席議員の3分の2以上の多数による議決をもって任命する。

(2)道裁判所以外の下級裁判所の裁判官は、その管轄する道裁判所が指名した者の名簿に基づいて、道議会が任命する。但し、知的財産裁判所及び防衛裁判所の裁判官は、最高裁判所が任命する。

(3)東京都に所在する下級裁判所は、関東道裁判所が管轄する。

第123条   下級裁判所の裁判官は、任期を8年とし、再任されることができる。但し、満70歳に達した時には退官する。

第124条   (1)最高裁判所は、訴訟に関する手続き、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。但し、憲法裁判所に関する規則は、憲法裁判所が定める。

(2)検察官は、最高裁判所の定める規則に従わなければならない。

(3)最高裁判所は、下級裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所に委任することができる。

第125条   (1)検察官の行う事務を統括するため、最高裁判所の下に、最高検察院及びその他の下級検察院を設置する。

(2)最高検察院の長は検事総長とし、最高裁判所がこれを任命する。任期は4年とし、再任されることができない。

(3)検察官は、常に厳正公平及び不偏不党を旨として、事案の真相を明らかにし、事件の処理においては基本的人権を尊重しなければならない。

第126条   (1)すべて裁判官は、その良心に従い独立してその職権を行い、この憲法及び法律にのみ拘束される。

(2)すべて裁判官は、政党に所属してはならず、選挙及び投票権行使以外の政治活動をしてはならない。

(3)裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行うことはできない。

第127条   裁判官は、全て定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、最高裁判所の同意なしに減額することができない。

第128条   (1)裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行う。

(2)裁判所が、公の秩序又は善良の風俗を害する恐れがあると決した場合には、対審は、公開しないで行うことができる。但し、この憲法第3章で保障する基本的人権が問題となっている事件の対審は、これを公開しなければならない。

第129条   (1)国政全般が憲法及び法律に従って公正に行われているか監査し、国の会計を検査するために、憲法裁判所の下に、国政監査院を設ける。

(2)国政監査院は、国の機関又は公務員の行為に不正、不当、不適切又は非能率があると思われるときには、自らの職権又は国民の直接の申立てにより、監査を行い、資料の提出又は業務の改善を命令し、憲法裁判所に報告する。

(3)国政監査院は、5名の国政監査官で構成し、憲法裁判所がこれを任命する。任期は8年とし、再任されることができる。但し、満70歳に達した時には退官する。

第130条   (1)人権侵害行為に対する調査、救済、予防、仲裁、勧告及び人権教育に関する事務を行うために、憲法裁判所の下に、人権委員会を設置する。

(2)人権委員会は、7名の委員で構成し、憲法裁判所がこれを任命する。任期は4年とし、再任されることができる。

 

第7章   地方自治

 

第131条   (1)地方の政治は、その地域の住民が、地方自治体を通して自主的に行う。

(2)住民に身近な立法及び行政事項は、できる限りその地方自治体が担当する。国は外交、防衛、通貨その他の国全体に関わる事項を行い、それ以外の事項は基本的に地方自治体が行うものとする。

(3)国及び地方自治体は、その事務を行うときに、互いに連絡調整し、協力し合わなければならない。

第132条   (1)広域自治体として道及び都を、基礎自治体として市区町村を設置する。

(2)道及び都は、次の通りとする。

1,      北海道

2,      東北道(青森、秋田、岩手、宮城、山形、福島)

3,      関東道(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、神奈川、旧東京都の23区以外の地域)

4,      北陸道(新潟、富山、石川、福井)

5,      東海道(長野、山梨、静岡、岐阜、愛知、三重)

6, 関西道(滋賀、京都、兵庫、大阪、奈良、和歌山)

7, 山陰陽道(鳥取、島根、岡山、広島、山口)

8, 四国道(香川、徳島、愛媛、高知)

9, 九州道(福岡、佐賀、長崎、熊本、宮崎、鹿児島)

10, 沖縄道

11, 東京都(23区のみ)

第133条   (1)地方自治体には、その議事機関として議会を設置する。

(2)地方自治体の議会議員は、その住民が直接選挙し、任期は4年とする。

(3)地方自治体の議会議員の定数及び選挙方法については、各自治体の条例で定める。

第134条   (1)地方自治体には、その執行機関の首長として、道及び都には知事を、市区町村には長を設置する。

(2)地方自治体の首長は、その住民が直接選挙し、有効投票の過半数を得た者を当選とする。過半数を得た者がいないときは、1週間後に上位2名による決選投票を行い、多数を得た者を当選とする。

(3)地方自治体の首長の任期は4年とし、再任することができる。但し、合計して8年を超えて在任することができない。

(4)地方自治体の首長の選挙は、議会の選挙と同時に行う。議会議員の任期が満了又は終了したときには、首長の任期も同時に終了する。

第135条   (1)地方自治体の議会が、出席議員の3分の2以上の多数をもって、首長の不信任決議案を可決したときは、首長は、任期途中であっても解任される。

(2)前項の場合に限り、首長は、不信任決議案の可決後10日以内に、議会を解散することができる。

第136条   地方自治体は、自主的に租税を課し、財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。

第137条   地方自治体が自立してその事務を行うため、十分必要な財政能力を持つことができるように、国は措置を講じなければならない。

第138条   (1)地方自治体は、その住民で選挙権を有する者の総数の4分の1以上の署名による要求があるときには、その首長若しくは議員の解職、又は重要政策について、住民投票を行う。

(2)住民投票は、有効投票の過半数によって決し、その決定は、その地方自治体の全ての機関を拘束する。

第139条   (1)地方自治体の住民で選挙権を有する者は、その総数の1パーセント以上の署名によって、条例案を議会に提出することができる。

第140条   (1)すべての道及び都の知事は、相互の連絡と財政調整を行い、地方自治に関する政策を協議し、国に提言するために、全国知事会を組織する。

(2)道及び都の知事は、全国知事会に自ら出席できないときは、その指名した者を代理として出席させることができる。

(3)国と地方自治体の役割分担、及び地方自治体の事務に関する法律を制定するには、国会で審議された後、全国知事会において過半数の同意を得ることを必要とする。

 

第8章   財政

 

第141条   国の財政を処理する権限は、国会の議決に基づいて、これを行使しなければならない。

第142条   あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。

第143条   (1)国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基づくことを必要とする。

(2)国の歳出は、法律に定める特別な場合を除き、公債又は借入金以外の歳入をもって、その財源としなければならない。

第144条   (1)内閣は、毎会計年度の予算案を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を得なければならない。

(2)継続支出の必要があるときは、年限を定め、継続費として国会の議決を得なければならない。

第145条   (1)予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基づいて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。

(2)すべて予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承認を得なければならない。

第146条   内閣は、必要に応じて、一会計年度のうちの一定期間に係る暫定予算を作成し、これを国会に提出することができる。

第147条   すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算案に計上して、国会の議決を得なければならない。

第148条   (1)国の収入支出の決算は、すべて毎年国政監査院がこれを検査し、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。

(2)国政監査院は、国の収入支出の均衡及び健全性を監査し、内閣に対して改善を命令することができる。

第149条   内閣は、国会及び国民に対し、定期に、少なくとも毎年2回、国の財政状況について報告しなければならない。

 

第9章   改正

 

第150条   (1)憲法改正案の提出は、国会議員20名以上の賛成、又は内閣によって行われる。

(2)憲法の改正は、国会が、その出席議員の5分の3以上の賛成をもって議決した後、

30日以内に国民投票が行われ、その有効投票の過半数の賛成を得たときに成立する。

(3)憲法改正について前項の賛成を得たときは、内閣は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。

第151条   (1)この憲法の基本原則を破壊することを目的とした憲法改正は、禁止される。

(2)総理の任期延長又は在任期間制限に関する憲法改正は、その提案当時の総理に対しては、効力を有しない。

(3)国の緊急事態宣言が発令されている期間は、憲法を改正することができない。

第10章   補則


 
第152条     (1)この憲法は、公布の日から起算して6か月を経過した日から施行する。
(2)この憲法を施行するために必要な法律の制定及び準備手続は、前項の期日よりも前に行うことができる。

 

いいなと思ったら応援しよう!