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復興まちづくり雑感

復興のまちづくりをサポートする立場として現場え見えた雑感などを少し。

▲以前書いた自己紹介。

復興事業のプロセスと様々な意思決定について。

以前書いたように、復興の過程ではフェーズが刻々と変わる。

特に、発災から2年程度は応急・復旧と方向性を定めたり、様々な意思決定の場面が求められる。
そして、5年程度が(主な)復興の期間と言えよう。
もちろん、地域差や被害の程度、復興の手法の差異もあるので一概には言えないが、一般的にはそのようにうつる。

これらの過程での意思決定について考えると、さながら、スイッチのオンオフボリュームの上げ下げ、あるいは、チャンネルの切り替えなどのように例えることができたように思う。
単に「オン/オフ」ではなく、様々なボリューム、チャンネルの調節も必要であり、それらを経てのオン/オフというイメージだ。

これらの中で特に、事業として行政の判断によるところがどれだけ大きいだろうか。
最終的なオン/オフやチャンネルの切り替えなど、最終判断は行政によるところが大きい。
地域住民の意思がこれらの判断の元になるものではあるが、もちろん、必ずしもそうはならない。

平時のまちづくりをサポートする立場であっても、この辺は変わらないわけだが、前述のように震災(災害)復興時には、意思決定にスピード感が求められる。
これは、行政も地域住民も双方にかかってくる。

コンサルタントなどのサポート的立場としては、それらの参考になる判断材料の提供の役割が大きいと思う。
(時には橋渡し役になって判断に大きく関与することもあるだろうが)
だとすると、その材料作りが非常に重要になるわけだ。
それは資料づくりであったり、意思決定プロセスにおける「進め方の工夫」だったりする。

災害からの復興の段では、行政は地域住民の安全・安心(市民の生命)を最優先事項として事業を決定していく。
しかし、その際にあらゆる要素を勘案して決定していくことが、難しくなる場面がある。

これは何も行政のみの責任ではなく、行政・地域住民・コンサルタント(サポートする立場)のそれぞれの落とし穴というか、エアポケット的なものであると私は考える。

ここには3つ大きなポイントがある。

一つは「安全・安心」に関わる事項が最優先されることによって、その事項のみが最大公約数化し、そのほかの様々な視点が入り込む「余地」が無くなること。
最初の例えで言うと、安全・安心のボリュームが大きくなりすぎることだ。
くどいが、もちろん最優先ではあるのだが。
振り返ってみると、それに気がつかない状態で進んでしまうことの危うさも感じた。
(当時は気がつかなかった)

もう一つは、あらゆる面でスピードが求められる点。
最大公約数化した状態で、事業やそのための意思決定にスピードが求められると、スイッチのオンオフの決定にも大きく影響するものだ。

最後に、プロセスメイキングの欠陥が挙げられる。
上記二つと大きく関連するが、意見の集約の場づくりと過程づくりが不十分なものだったり、不具合があると、バランスを欠くことになる。

地域住民の視点みた場合、上記のはじめの2点は外的な要因であるが、3点目で工夫することによって、改善をはかれるのではないだろうかと考える。
これを解消するためには、大きく二つが考えられる。

まずは、会議やワークショップなどの意思決定に関わる場、判断材料の持ち寄りの場の持ち方や進め方を工夫すること。
二つ目は、指針や方針、目標を立てて共有すること。

この二つに集約されていくのではなかろうか。

ここでは二つ目について考えてみると、早い段階で地域の意思を踏まえた小さいコミュニティ単位での計画・方針をまとめておくことは非常に重要だろう。ここまで述べたような視点からの結論としては、意外にうつるかもしれない。
しかし、大きなベクトルの共有は、個々の判断材料としても当然ながら重要なのだ。

仙台沿岸部の南蒲生地区の「南蒲生復興まちづくり基本計画」のような例もその一つと思う。


行政の計画も勘案しつつ、地域の意思を、数年後や中長期的な視点をもって計画する。
・安全・安心はマストだが、それ以外のビジョンを柱の一つとして取り入れ、バランスの取れたものにすること。

この辺をコツとして挙げたい。
発災年度、あるいはその翌年度くらいまでにはそういうビジョンの策定は、その後を左右する大きな「材料」となる。
もちろん、それには多くのエネルギーを要することになるが。

こういった場面において、コンサルタントやサポート役は様々な立場の意思を調整する潤滑油的存在でありたい。


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▼これらは、都市デザインワークスの仕事の一環で行ったものです


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