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成功する海外ビジネス~無限の可能性から確実な未来を選ぶ~

海外進出の目的を明確にすることが、海外進出事業の最初のステップです。今回は「自社分析により選択肢を絞る」重要性についてお話しします。選択肢を絞る行為は、機会損失の行為と思われるかもしれませんが、絞ることでリアルな実情が見えてきます。

自社分析とは

自社分析とは名前の通り、自社の置かれた環境や状況を冷静に分析することで、そもそも海外事業ができる状態にあるのか、また、自社戦略との整合性を確認することです。
大きく5つの自社分析があります。

1.SWOT分析:全社事業及び海外事業の2種類あり
2.展開する製品・サービス・技術(強みや競争優位性の明確化)
3.製品・サービスの展開方法(進出形態)の検討
4.担当役員・担当社員の選定
5.海外事業に関する予算措置(投資規模)

このうち、2番目と5番目は自社分析が終わった後に重要になるため、今回は1.SWOT分析、3.製品・サービスの展開方法、5.予算措置の3点に絞って説明します。

SWOT分析とは

SWOT分析は自社を取り巻く環境と自社の現状を把握することです。
まず自社でコントロールできる項目から見ていきます。
【内部環境】
 Strength ➡ 自社の強み
 Weakness ➡ 自社の弱み

具体的には、自社の人材、資金、技術力、営業力、ネットワークといった視点から、自社の強みと弱みを分析します。

次に、自社でコントロールできない項目を見ていきます。
【外部環境】 
 Opportunity ➡ 市場の機会
 Threaten ➡ 市場の脅威

具体的には、政治経済、社会的状況、競合他社、市場の状況など、自社努力ではどうにもならない環境を、自社に有利に働く機会と自社に不利に働く脅威に分けて、明確にしていきます。

この4項目の頭文字をとってSWOT分析と呼ばれています。海外事業を実施する上でSWOT分析にはメリットがあります。それは進出する国や地域、製品の選定を行う時の材料になるということです。
加えて、国の補助金申請の時にSWOT分析の提出が求められることが多いため、やっておいて損はない分析作業です。

具体的な事例(会社全体の場合)

会社全体のSWOT分析海外事業のSWOT分析の2種類あります。
まずは、会社全体のSWOT分析について。
ある食品加工メーカーA社を例として説明します。
A社はアジアのある国への海外進出を検討しています。
①自社の強み(Strength)
その製品分野で長い経験を持っているため、製品技術と経験を持っています。国産原料で製造しているため、高品質の製品を提供できます。西日本を中心とした強固な顧客基盤を持っています。
②自社の弱み(Weakness)
ルートセールス以外には認知度が低くく、ブランド力が低いです。新たな製品開発能力が低く、若手人材を育成できていません。
③市場の機会(Opportunity)
健康食品ブームにより、製品の需要が高まりつつあります。そのため、これまでの商流に加えて、新たなセールスチャンネルが産まれてきています。世界的な和食ブームも相乗効果となり、販売機会が増加傾向にあります。
④市場の脅威(Threaten)
国産原料が減少しているため、原料集めに苦労しています。他方で、安い海外製品が市場に入ってきている上に大手の競合他社が増えてきています。製品原料の他用途への利用拡大が進行しており、原料入手が困難になりつつあります。

具体的な事例(海外事業の場合)

次に海外進出に向けたSWOT分析を行うと、下記の状態になることが見えてきました。
①自社の強み(Strength)
これまで培った費用対効果の高い製品製造技術と豊富な経験があります。原料を豊富に持つ国々を調査しており、候補となっている国で有力なパートナー企業がいることも調査済みです。日本国内での販売先が決まっているため、出口戦略が見えています。
②自社の弱み(Weakness)
海外事業が初めてで、かつ現地での原料加工を想定しているため、現地生産のための投資資金をどう確保するかが課題です。海外事業における人員の確保が難しいことが分かっています。
③市場の機会(Opportunity)
進出先国の投資法が改正され、外資の現地進出が有利な条件に変わっています。A社と同製品を製造している現地企業がいないため、国産の製品がありません。進出先国政府が、外資導入に非常に積極的です。
④市場の脅威(Threaten)
今の時点では国産製品はないですが、近い未来に近隣諸国の製造メーカーによる進出の可能性があります。原料が日本産とは違うため、日本と同品質の製品をどのように製造するかが課題です。

海外事業のSWOT分析は、様々な要素が絡んできますので、今すぐ行う必要はありません。
まずは、会社全体のSWOT分析を行って、自社を取り巻く環境と自社の状況を知り、無限にある可能性から、確実な未来という選択肢を選んでみてください。
ご参考までに本内容の動画版をご紹介します☟

ここまでお読み下さりありがとうございました。

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